ヘリオトロープとは
ヘリオトロープは、咲かせる花からバニラの香りがするため、ハーブとしても使われることが多い植物です。日本にはじめて輸入された香水ともいわれており、ヘリオトロープを使った香水が、夏目漱石の「三四郎」の作品のなかでも登場しています。
ヘリオトロープの基本情報
学名 | Heliotropium arborescens |
科名 | ムラサキ科 |
属名 | キダチルリソウ属 |
英名 | Heliotrope、Cherry pie |
和名 | 木立瑠璃草(キダチルリソウ) |
別名 | ヘリオトロープ 香水草(コウスイソウ) 匂ひ紫(ニオイムラサキ) |
ヘリオトロープの名前の由来はギリシア語が語源で、学名の「Heliotropium」は「helios(太陽)」と「trope(向く)」で太陽に向かうという意味があります。またヘリオトロープの花はバニラのような香りがすることから、香水草(コウスイソウ)や匂ひ紫(ニオイムラサキ)という別名がつけられています。
ヘリオトロープの花
花の色は紫が一般的ですが、白色もあります。小さい星のような形の花を密に咲かせます。開花時期が4月下旬~10月頃と長いこともヘリオトロープの特徴の1つです。切り戻しをすると、たくさんの花を長く咲かせてくれることにつながります。また切り戻しで切り取った花はドライハーブとして活用できます。
ヘリオトロープの花言葉
ヘリオトロープには花にまつわる神話があり、その神話が花言葉と由来とされています。ヘリオトロープの代表的な花言葉は「献身的な愛」です。その他にも「夢中」「忠実」「熱望」「私はあなたを見つめる」などの花言葉もあります。
ヘリオトロープにまつわる神話
ヘリオトロープには花言葉の由来とされる神話があります。ギリシャ神話に登場する水の妖精クリティが、太陽の神アポロンに恋をしたことからはじまる話です。自分の行いを恥じたクリティが太陽を見つめながら地面に9日間座り続けたことから、ヘリオトロープの花になってしまったといわれています。
太陽に向かって咲く理由
神話のなかでは、アポロンが王女のレウトコエと恋仲であることに嫉妬したクリティによる密告で、レウトコエは生き埋めにされ、アポロンにも振られてしまいます。そのことからクリティはただただ太陽を見つめるヘリオトロープとなってしまったのです。
ボタニ子
このギリシャ神話はキンセンカやヒマワリの神話としても有名ですね。神様に恋をして花になってしまう妖精は多かったのかしら?
ヘリオトロープの種類
種類 | コモンヘリオトロープ | ビッグヘリオトロープ |
学名 | Heliotropium arborescens | Heliotropium europaeum |
形態 | 一年草、低木 | 多年草 |
原産地 | ペルー | ヨーロッパ南部 |
耐寒性 | とても弱い | 弱い |
香りの強さ | 強い | ほのかに香る程度 |
花の色 | 紫、白 | 紫、白 |
花の大きさ | 小さい | 大きい |
流通度 | あまり見かけない | 園芸店でよく見かける |
ヘリオトロープは熱帯から温帯の各地に、合計すると250種類以上あるとされています。代表的なヘリオトロープは、コモンヘリオトロープとビッグヘリオトロープの2種類です。種類によって香りの強さや耐寒性、花の大きさが異なります。それぞれの特徴についてご紹介します。
種類①コモンヘリオトロープ
ヘリオトロープの種類の1つであるコモンヘリオトロープは、「キダチルリソウ」とも呼ばれ、香りが強いのが特徴的です。ペルーが原産地で、主にハーブとして活用されています。小さな花も特徴的で、色は白と紫の2種類です。寒さに弱いため、日本では一年草とされています。
ハーブを楽しむならコモンヘリオトロープ
コモンヘリオトロープには、香りが強いという特徴があります。置いておくだけで、空間が香りで満たされます。日本にはじめて輸入された香水といわれている、フランスのロジェ・ガレの「Heliotrope Blanc」に使用されていたものもコモンヘリオトロープです。園芸店であまり見かけることはありませんが、ハーブとして楽しみたい方はコモンヘリオトロープがおすすめです。
ボタニ子
群生したら、とてもよい香りがするんでしょうね!
種類②ビッグヘリオトロープ
ビッグヘリオトロープは、名前のとおりに花が大きいのが特徴です。香りはほのかに香る程度で、ヨウシュキダチルリソウとも呼ばれています。コモンヘリオトロープと比べると寒さに強いため、多年草として扱われます。園芸店で取り扱われているヘリオトロープの大半はビックヘリオトロープであることが多いです。花色は白と紫の2種類があります。
観賞用ならビッグヘリオトロープ
ビッグヘリオトロープは香りがほのかに香る程度で、ハーブというよりは観賞用として適しています。紫や白の花と多年草であることを活かして、寄せ植えしてほかの花のアクセントにしてもよいでしょう。
ボタニ子
次のページでは、ヘリオトロープの香りについてご紹介します。
出典:写真AC