キルタンサスの育て方
キルタンサスは管理が簡単で、年中植えっぱなしにしておいてもよく育ちます。基本的な育て方だけで冬の庭が華やぎますよ。病気や害虫にも強く、剪定も簡単な花がら摘みをするくらいです。ただし、種類によって水やりの仕方などがちがうため、ポイントをおさえておきましょう。
球根・苗の選び方
キルタンサスの育て方で一般的なのは、球根から育てることです。また、芽出し球根の苗から育てることも可能です。春や秋にホームセンターや園芸店で出回り、通信販売で入手することもできますよ。
球根の場合
球根は鮮度や品質のよいものを選ぶようにしましょう。選び方のコツは、ツヤがあってしっかりと重みがあり、しまっているかチェックすることです。傷があったり、小さすぎたりするものは避けてください。
また、夏咲き種のキルタンサス・サンギネウスやキルタンサス・エラタスは、多湿・多肥に弱く、球根をしっかり太らせないと花が咲きません。
苗の場合
芽出し球根はポット入りの苗で売られています。しっかりと根が張り、株元が安定しているものを選びます。葉色のよさや、虫がついていないかなどもチェックしておきましょう。
植え付け適期
キルタンサスの球根の植え付け時期は、夏咲き種は3月~4月、冬咲き種は9月~10月が適しています。3月頃に植えると夏前に開花する品種もあります。苗は購入したらすぐに植え付けるようにしましょう。
用土
日当たりや水はけがよければ、やせた土地でも育ちます。一般的な培養土や、赤玉土と腐葉土を7:3で配合して鹿沼土や軽石を少々混ぜた用土を使うこともできます。また、元肥として少量の緩効性化成肥料も混ぜておくとよいでしょう。
球根は浅めに植えるのがポイント
鉢植えの場合、球根は頭を1/3ほど出して約5cm間隔に植えましょう。庭に地植えする場合も1/3~2/3くらいの深さにして、10~15cm間隔に植えます。植え付け後はしっかりと水やりをしておきましょう。
置き場所
キルタンサスの置き場は、日当たりのよい場所がよいでしょう。開花期はとくに日ざしと水が必要になります。なお、冬咲き種の置き場として、夏の半休眠期のあいだは風通しがよく明るい日陰がよいでしょう。庭に地植えしている場合はそのままで問題ありません。
冬越しも難しくない
キルタンサスは、ほかの球根植物のように球根を掘り上げて冬越しをする必要がありません。とくにマッケニーは-2℃くらいまでの耐寒性があります。生命力が強いため、育て方も簡単なのがうれしいですね。
ただし、霜に当たると葉も花も枯れてしまいます。鉢植えの場合は、霜に当たらない日当たりのよい軒下で管理し、凍りそうであれば置き場を室内に移動しておきましょう。庭植えの場合はそのままでかまいませんが、霜よけをしておくと安心です。
水やり
キルタンサスは水を好むので、表土が乾いたらたっぷりと水やりをします。ただし、過湿になると球根が腐りやすくなります。球根から葉が伸びるまでは水やりを控えめにしましょう。また、受け皿の水が残っていると球根が傷むので、必ず捨てるようにしてください。
地植えの場合、雨水だけでも十分なため、基本的に水やりの必要はありません。雨があまり降らないときにだけ、乾燥しているようであれば水やりをしましょう。
品種によっても水やりの量を変える必要があります。マッケニーは土が乾くのを嫌います。反対に、エラタスやサンギネウスのように多湿を苦手とする種類は、水やりのしすぎに注意しましょう。
肥料
キルタンサスは、肥料を与えなくてもしっかり育ちます。エラタスやサンギネウスのように、品種によっては多肥を苦手とするものもあります。植え付けのときに緩効性化成肥料を少量混ぜておくくらいで、あまり肥料は与えないでよいでしょう。
植え付け後に生育をよくするため、液体肥料を月に一度与えたり、緩効性固形肥料または油かすのような有機肥料を置き肥したりすることも可能です。
剪定
キルタンサスは基本的に剪定を必要としない育てやすい植物です。しかし、花後は種子に栄養が取られてしまわないように剪定(花がら摘み)をしておきましょう。そうすると、より長く次の花を楽しんだり、株を元気に育てたりできますよ。そして、花がすべて咲き終わったあとの茎は、根もとから剪定してしまいます。
病気・害虫
キルタンサスは、病気に強いという点でも初心者に育てやすいといえます。害虫としては、夏や乾燥している時期にハダニがつくことがあります。ハダニは栄養分を吸い取ってしまいます。葉の裏に群生するので見つけにくいですが、よく観察してチェックしておきましょう。殺虫剤や水を吹きかけて駆除するとよいでしょう。
植え替え
通常、球根植物は花後に球根の上部分が枯れたら、掘り上げて植え替えをします。しかし、キルタンサスの場合は植えたままにして、数年は根を張らせるのがよいでしょう。鉢植えは、育てているうちに芽が混みあってきます。それは、球根から新しい球根ができるためです。そうなってきたら、根詰まりしないように植え替えが必要です。
庭に地植えしている場合も、球根が増えて株が大きくなると花が咲きにくくなってきます。そのため、2~3年に一度は植え替えするのがよいでしょう。植え替えに適した時期は春か秋です。植え付けのときと同じように、新しい土で植え替えます。古い土を落とすときに、根を傷めないように注意しましょう。
キルタンサスの増やし方
キルタンサスの増やし方を覚えておくと、よりたくさんの花を楽しめるだけでなく、元の株も元気に育てることができますよ。育て方だけでなく、増やし方も手軽にできるので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
種まき
キルタンサスを種から育てる増やし方では、開花まで約5年ほどかかります。種はあまり流通していませんが、栽培している株の花後に花がら摘みをせずにいると種をとれますよ。採取した種は、乾いてしまう前にまきましょう。
株分け
キルタンサスの増やし方でより手軽な方法は、分球することです。球根は植えているあいだに新しく子球がつきます。子球を切り離して、株分けのように増やしましょう。キルタンサスは、ほかの球根植物のように球根を太らせるための管理をしなくても、次々と分球していきますよ。
分球の時期
分球には花後が適期です。そのため、冬咲き種の場合は3月、初夏・夏咲き種の場合は9月に行いましょう。
分球のやり方
球根と根を傷つけないように注意しながら、株ごと掘り起こします。まわりの土を落とし、根をほぐしておきましょう。手またはハサミなどで子球を外していきます。
分球したらなるべく早めに植え付けをするのがよいでしょう。すぐに植えられない場合は、球根を保存しておきます。土を落としてから、しっかり乾くまで風通しのよい半日陰に置いておきましょう。球根を乾かしてから根や茎を落とし、湿気がこもらない袋などに入れて保存しておきましょう。
まとめ
キルタンサスの育て方や剪定、病気・害虫対策、増やし方などについて解説しました。生命力が強い植物なので、育て方の基本をマスターするとすくすく育ちますよ。栽培したキルタンサスに、花言葉を添えてプレゼントするのもよいですね。ポイントをおさえて、ぜひ栽培を楽しんでくださいね。
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出典:写真AC