ショウジョウバカマの特徴
ショウジョウバカマは山野草や高山植物として知られていますが、園芸用に販売や栽培もされています。ショウジョウバカマとはどのような特徴を持った植物なのでしょうか。
草丈や葉の特徴
ショウジョウバカマは開花時の花茎の高さが10~30cmです。葉は長さ5~20cmで細長く、光沢と厚みがあります。根元から多数出た葉が、ロゼッタ状に広がるのも特徴です。常緑性なので冬でも枯れません。凍結防止のためにアントシアニンを生成するので、条件によっては冬に真っ赤に染まった葉が見られます。葉の寿命は3年です。つまり1つの株には1年葉と2年葉と3年葉があります。
葉先に子供ができる
栄養状態がよい株では、親株の周りを取り囲むように子株が生えている姿が見られます。これは、老いてきた3年葉の先が地面に接すると、葉先に不定芽(無性芽)がつくためです。不定芽をつけた葉は、子苗に栄養を送って自立できるようになる頃に枯れ、子苗を独立させます。
花の特徴と開花時期
花期は一般的な鉢植えでは2~4月、低山では3~4月です。高山植物としては、雪渓が溶けた6~7月に咲きます。花色の種類は、一般的な赤紫色の他に、紫色、淡紅色、白などです。ショウジョウバカマは4~8個の花が直径3~5cmほどの球形に集まって、かんざしの飾りのように見えます。
1つの花に花被片は6枚
一つ一つの花は長さ1~1.5cmで、6枚の花被片(かひへん)があります。花被片とは、ユリやチューリップのようにがくと花びらがほとんど区別できない場合に、がくと花びらをまとめた呼び方です。花被片の根元部分は少しふくらんで、花柄との境目がはっきりしています。
蕾が開く前に雌しべが突き出す
ショウジョウバカマは雌性先熟で、雌しべは花被片が開く前に蕾の先から突き出します。それから数日後に花被片が開くのです。雄しべは雌しべより少し短く、6本あります。花粉の運び役の昆虫たちを誘う手段は、花被片の基部にある蜜です。ショウジョウバカマは雌性先熟ではありますが、他家受粉だけでなく自家受粉も行われているという研究結果があります。
実の特徴
#ショウジョウバカマ の花跡
— 加賀友禅 ゆうほう (@kagayuuzen_Uhou) May 19, 2014
なんともエレガントなライン#野草
ところで「花跡」は ハナアトと読むのか それともカセキ? 植物図鑑には色んな用語が出てくるが 読みを書いてあるものは 先ず無い pic.twitter.com/kj10iQdNB4
ショウジョウバカマは開花後10日ほどで、花被片や雄しべが色あせて緑色に変わりますが、咲いたときの形を維持したまま枯れません。それと同時に花茎は50~60cmまで伸びます。これは、実が熟したときに種子を遠くまで飛ばすためです。実は蒴果で数百~千数百個もの種子が入っています。
実が熟すと種子は風で飛ばされる
6月頃に実が成熟して開くと、両端に糸のようなものが付属した線状の種子が風で散ってゆきます。種子は乾燥すると発芽できなくなるので、種子の命運は風次第です。ショウジョウバカマの子葉は幅1.5mm、長さ5mm程度で、他の植物に光をさえぎられるなどして、ほとんどが枯れてしまいます。前述した不定芽による増やし方は、ショウジョウバカマの生き残りの知恵なのです。
ボタ爺
次ページからはショウジョウバカマの種類と似た花について紹介するぞ!
出典:筆者撮影