カンアオイ属の姿の特徴
ここからは、葉・花・種子の主に形状について、カンアオイ属全体の一般的な特徴をお伝えします。
カンアオイ属の葉の特徴
カンアオイ属の葉の特徴は、ハートや三角形に例えられる形状で、多くの品種に斑が入っていることです。地下茎から出た葉茎は花茎より長くなり、1本の茎に数枚の葉をつけます。
カンアオイ属の花の特徴
品種によって色、形状は異なりますが、カンアオイ属の花の特徴は、葉陰に隠れるように、地面に近いところに短い花茎を出して咲くことです。色はさまざまですが、くすんだ色合いで目立たないものも多いのも特徴です。
花のように見えるのは萼片(がくへん)
カンアオイ属で花のように見えるものは、筒状や壺状になった萼片です。通常は先のほうが3つに裂け、奥に雄しべ、雌しべがあります。花びら自体は退化し見られませんが、萼の奥を観察すると片鱗が見られることがあります。
カンアオイの種子の特徴
カンアオイ属は萼片の奥にある雄しべと雌しべの受粉により、種子を作ります。一般にアリやハエなどによる虫媒花といわれていますが、詳細はわからないことが多いようです。種子の発芽率は低く、園芸においては株分けで増やすほうが一般的です。
カンアオイ属の主な品種
次に、カンアオイ属の中の基本品種として、フタバアオイ亜属(1種)とカンアオイ亜属(2種)をご紹介します。こちらの3種は、表で紹介したように「節」としての分類を与えられています。
フタバアオイ亜属の品種①フタバアオイ
フタバアオイは、古来より日本で親しまれてきた定番の品種です。葵祭で有名な賀茂神社の神紋や徳川家の葵の紋は、フタバアオイの葉をデザインしたもので、日本で単に「葵」といえばフタバアオイを指すのが一般的です。カンアオイ属ではありますが、こちらの品種は、冬は落葉し、花期は初夏です。
カンアオイ亜属の品種①ウスバサイシン
ウスバサイシンは葉が薄く、根に辛味のある品種です。根が生薬として利用される一方、地上部の毒性も報告されています。漢字で「薄葉細辛」と書き、特徴がそのまま名前の由来となっています。冬は落葉し、花期は初夏です。
カンアオイ亜属の品種②カンアオイ
カンアオイ属の中の、カンアオイという品種です。「寒葵」の名前の特徴を最も多くもち、寒い時期でも葉は枯れず、常緑です。開花時期も寒い時期の秋から冬になります。狭い意味で「カンアオイ」といえば、この品種を指すことが多いでしょう。
カンアオイ属の開花時期
カンアオイ属の開花時期は品種によって異なり、大きくは初夏のものと、秋から冬のものに分かれます。品種ごとの花期をチェックしておけば、それぞれの季節に多くのカンアオイ属の花を鑑賞できますね。
花言葉は「秘められた恋」
カンアオイ属には「カンアオイ」としての花言葉があります。花言葉のカンアオイは狭義のカンアオイであったり、多くの品種を指していたりしますが、葉の陰に控えめに咲く共通の特徴を表しているようです。
姿に由来した花言葉
カンアオイの花言葉は「秘められた恋」です。葉陰に隠れるように咲く姿に由来した花言葉ではないでしょうか。カンアオイを花束にしてプレゼントするのは難しいですが、鉢植えを手元において、秘められた恋を見守ってあげるのもいいかもしれませんね。
まとめ
カンアオイ属の植物全体を紹介しました。何気なく使っている「アオイ」という植物の名前ですが、属の構成や品種に目を向けると新たな発見がありますね。カンアオイ属の植物は野山で観察するほか、通信販売などで購入し鑑賞できます。基本品種を中心にご紹介しましたが、花の色味が鮮やかなものやユニークな形のものなどもあり、とても奥が深い植物です。
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