イブキジャコウソウとは
イブキジャコウソウは山の岩場や草地に自生している高山植物です。横に広がる性質から花壇のグランドカバーとしても使われています。はじめにイブキジャコウソウがどのような植物かについてご紹介します。
イブキジャコウソウの基本情報
科名/属名 | シソ科/イブキジャコウソウ属 |
学名 | Thymus quinquecostatus |
別名 | イワジャコウソウ(岩麝香草) |
和名 | ヨウシュイブキジャコウソウ |
生薬名 | ヒャクリコウ(百里香) |
形態 | 常緑低木、多年草(宿根草) |
草丈 | 3~10cm |
イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)は草丈が3~10cmほどで、常緑低木の宿根草です。伊吹山に分布していることから「イブキ」と名前に入っています。ハーブに近い種類でもあり、料理として利用されるほか、生薬としても利用されることがあります。
イブキジャコウソウの特徴
イブキジャコウソウは低木に分類されますが、木には見えない葉や枝の伸ばし方が特徴的です。また「伊吹麝香草」という漢字の通り、香りがするという特徴があります。
木だけど草のように見える
イブキジャコウソウは小さな葉に細い枝で地面を這うように成長します。一見すると草のように見えるのが特徴的です。比較的涼しい環境を好み、寒さにも強く、冬は葉をつけたまま冬越しします。
ボタニ子
株全体から香りがする
ハイブキジャコウソウはタイムの一種であり、株全体から香りがするのが特徴です。葉を触れるとさらに香りが強まります。タイムの中では、日本に自生している唯一の種類とされており、「クリーピングタイプ」と呼ばれる種類に分類されます。
ボタ爺
タイムとはシソ科の小低木の総称で、ハーブとして活用されています。
初夏に小さな花をつける
花の色 | 紫、ピンク、白 |
開花時期 | 5~7月 |
イブキジャコウソウは初夏になると小さなかわいらしい花を咲かせます。色は紫、ピンク、白の3種類です。白の花色は少なく、多くは紫、ピンクの花色のイブキジャコウソウの種類が流通しています。
イブキジャコウソウの植物とは?
- 高山植物で涼しい環境を好む
- 木は草のように見える
- 株全体からは香りがする
- 初夏に小さな花を咲かせる
イブキジャコウソウの育て方
イブキジャコウソウは高温と多湿に注意すれば、比較的寒さにも強いため、育てやすい植物です。育てるときは、苗を購入して育てるようにしましょう。
育て方①水やり
鉢植えの場合、水やりは1日1回にあたえます。土の表面が乾燥したのを確認してからあたえるようにして、過湿に注意しましょう。あたえるタイミングは春と秋は朝、夏は夕方の気温が下がった時間帯です。冬の水やりは控えめに、土の表面が乾燥したらあたえます。
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地植えの場合は雨水のみで水やりをしなくても成長してくれます。
育て方②置き場所
イブキジャコウソウは日陰だと間延びするので、日当たりのよい場所に置きましょう。しかし高温は苦手なため、夏場は半日陰に移動させます。また風通しのいい場所で通気性をよくし、鉢内が蒸れるのを防ぎましょう。地植えの場合も同様です。
冬は風にあてないようにする
耐寒性のあるイブキジャコウソウですが、冬の冷たい乾燥した風には弱いです。鉢植えで育てる場合は、冷たい風のあたらない場所へ移動して冬越ししましょう。
育て方③用土
イブキジャコウソウに適した用土は水持ちと水はけのよいものです。地植えの場合も用土に腐葉土を混ぜて水はけをよくしましょう。鉢植えは平鉢など横に広いものを使用し、用土は鹿沼土3、赤玉土3、腐葉土2、軽石2などの割合で水はけをよくします。
育て方④肥料
春~夏 | 4月下旬~7月上旬 |
秋 | 9月下旬~10月 |
肥料は春と秋に緩効性の化成肥料をあたえます。もしくは2週間に1回液体肥料をあたえましょう。また花が終わった後に置き肥をする方法もおすすめです。肥料はあたえすぎると香りが薄れて間延びするので、成長にあわせて控えめにあたえます。
ボタ爺
地植えの場合は鉢植えよりも肥料を必要としません。
育て方⑤手入れ
イブキジャコウソウは成長が盛んなため、剪定を行います。またイブキジャコウソウは湿気が苦手なので、特に梅雨前には一度切り戻しを行い、風通しをよくしましょう。剪定時期は5~7月です。またアブラムシがつくことがあるので、害虫を予防を行い、見つけ次第除去します。
イブキジャコウソウの育て方のポイント
- 日当たりのいい場所で間延びさせない
- 夏は半日陰、冬は風のあたらない場所に移動する
- 風通しの良い場所で株を蒸らさない
- 肥料は成長を見ながらあたえる
- 梅雨前に切り戻しをして通気性をよくする
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次のページからはイブキジャコウソウの植え方と増やし方についてです。
冬でも葉がなくならないのはグランドカバーとしても嬉しいですね。