ワタスゲとは?
ワタスゲは日本国内の湿原に自生する高山植物の一種です。名前に「ワタ」とつくのは、花が終わったあとに白くて丸い綿毛をつけることに由来しています。この綿毛をつけたワタスゲが緑の湿原に群生する姿はとても美しく、初夏の風物詩として登山の愛好家などから人気を集めています。ワタスゲとはどんな植物なのか探っていきましょう。
ワタスゲの基本情報
学名 | Eriophorum vaginatum |
別名 | スズメノケヤリ |
分類 | カヤツリグサ科ワタスゲ属 |
形態 | 多年草 |
開花時期 | 5~6月 |
見頃(綿毛) | 6~7月 |
ワタスゲは漢字で「綿管」と書き、7月の季語として俳句に詠まれることもあります。
ワタスゲの花言葉
ワタスゲの花言葉は「揺らぐ想い」です。ふわふわとしたやわらかい綿毛が、高原の風に吹かれて漂うように揺れる姿にぴったりの花言葉で、ワタスゲの見た目の特徴をよく表しています。ワタスゲにはこのほかに「努力する」という花言葉もあります。
ワタスゲの分布
ワタスゲは日本をはじめ、中国やロシア、ヨーロッパ、北アメリカなどの高山帯に広く分布する植物です。日本国内では中部地方から北海道にかけて分布しており、気温の低い北の地域では低地でも見ることができます。日当たりと風通しのよい高地の湿原を好む性質で大きく群生するため、高山植物のなかでは比較的観察しやすい種類といえるでしょう。
ワタスゲの特徴
ワタスゲは草丈が20~60cmほどになる多年草です。根からたくさんの株がまとまって伸びて大株をつくります。葉っぱはやや硬くて細長く、断面は三角形をしています。葉っぱより長い茎が直立して、その先端部分に穂をつけます。穂は1本の茎に対してひとつだけです。5~6月頃に開花したあと種が熟すと白い綿毛になり、風に乗って別の場所へ運ばれます。
花の特徴
ワタスゲの花は意外なほど地味な姿をしています。花の色は黄緑色で、小さな花がたくさん集まって2cmほどの穂になります。花が地味な理由は、花粉を風で飛ばすワタスゲは昆虫にアピールする必要がないからだと考えられています。花の色が枯草に溶け込んでしまううえ、同じ時期にミズバショウなどが咲くため、ワタスゲの花に気付く人はほとんどいないでしょう。
綿毛
ワタスゲの最大の特徴といえるのが綿毛です。この綿毛を花だと思っている人も多いようですが、この綿毛はあくまでも花が終わったあとの「果穂」であり、タンポポの綿毛と同様に種を遠くへ飛ばすためのものです。綿毛をつけたワタスゲの群生が、風に揺られる姿を楽しむことができるのは、ある程度強い風がないと綿毛が飛ばないためです。
ワタスゲの開花時期と見頃
ワタスゲの観賞はほとんどの場合綿毛を目的にしているため、開花時期と見頃を分けて考える必要があります。あえて花を観察するなら5~6月頃、綿毛を楽しむなら6~7月頃が見頃です。地域や標高、またその年の天候などによってズレが生じるので、現地の観光センターのサイトやツアーガイドのブログなどであらかじめ情報を確認しておくとよいでしょう。
注意点
- インターネットなどの情報では綿毛の見頃を「開花情報」として紹介している場合もあります。掲載されている情報が、花の情報なのか綿毛の情報なのかをしっかりと確認しましょう。
ボタニ子
それでは次ページからワタスゲが楽しめるおすすめスポットを紹介します!