植物・花の写真テクニック<背景をぼかす>
周囲を美しくぼかした写真はおしゃれに見えますね。背景をぼかすテクニックを覚えて、ぜひ試してみてください。背景をぼかす方法は手順がわかれば意外と簡単で、植物や花畑を撮るのがますます楽しくなることでしょう。
ステップ①絞り値を小さくする
背景をぼかすには、一眼レフやミラーレスカメラの設定を、絞り優先モードにしましょう。そして、絞りの単位「F値」の数字を小さくします。F値が小さくなるほどレンズ内が明るくなり、その反面ピント(フォーカス)のあう範囲は狭くなるので、周りにきれいな「ボケ」が生じます。
F値を小さくすると絞りが開けて、取り込む光の量が増えるんです。
絞り優先モードとは
絞り優先モードとは、絞り(光の量)を自分で決めるようにして、シャッタースピードは自動で絞りにあわせるモードです。一眼レフカメラやミラーレスカメラの撮影モードダイヤルを「A」(ニコンなど)または「Av」(キャノンなど)に設定すると絞り優先モードになります。一部のコンパクトデジカメにもついています。
F値(絞り)を最小にする
次に、F値を小さく設定します。一眼レフやミラーレスカメラの仕様に従って、コマンドダイヤルなど回してF値を最小に設定してください。表示パネルに「F/2.8」のように数値が出ます。F値が大きいほど全体がくっきり映り、小さくなるほどぼかしやすくなります。例として、F/36とF/6.3で撮った花壇の写真を見比べてみましょう。
ステップ②望遠(ズーム)で撮る
広角(広範囲に撮れる)よりも、望遠でズームして撮った方が背景はボケやすくなります。その場合、ズームレンズは望遠にすると最小F値(開放)が大きくなります。一方、単焦点レンズは最小F値が小さくて、「明るいレンズ」と呼ばれています。F値が小さい単焦点レンズの方が、ボケがより柔らかく質が高いです。
ステップ③被写体に近寄って撮る
背景のボケは、カメラと被写体、背景の位置もかかわってきます。「カメラと被写体」の距離が近いほど、「被写体と背景」の距離は遠い方が、背景をぼかしやすくなります。被写体に近づいて取りましょう。
公園や花畑などの、立ち入り禁止領域には踏み込まないように気をつけましょうね!
スマートフォンで撮る
単焦点モード
一眼レフやミラーレスカメラほど自在ではありませんが、スマートフォンのカメラ機能でも、背景を少しぼかすことはできます。「マクロ」「接写」「単焦点モード」がついていれば可能です。「単焦点モード」などがついていない場合は、アプリをダウンロードしてみましょう。アプリで加工すれば、ぼかした雰囲気を出すことができます。
さまざまなボケ効果
玉ボケ
背景に丸いボケがたくさん入った写真はおしゃれですね。これらは玉ボケ(丸ボケ)と呼ばれ、キラキラ光る「点」がピントを外れ、レンズの形に丸くボケる現象です。イルミネーション、雨や朝露などの水滴、水面、木漏れ日などのキラキラが背景にあると玉ボケができやくなります。
- 撮り方
- カメラのF値を最小に設定する
- キラキラするものを見つけて背景にする
- 手前の被写体にピントを合わせ、ズームで撮る
前ボケ
手前に咲く黄色いユリオプスデイジーをフレームに入れ、向こうの青いバビアナにピントを合わせています。
「前ボケ」は、背景だけでなく被写体の前を印象的にぼかす手法です。撮り方は、他のボケ写真同様にF値を小さくしてボケやすくし、望遠でピントを合わせる被写体の手前にあるものをぼかして撮り込みます。色彩を意識して入れるのがコツです。幻想的な雰囲気を演出することもできます。
ボタニ子
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出典:筆者撮影