食用菊の栽培②手入れ
食用菊の栽培中の手入れは、摘心と苗の転倒予防の作業が大切です。摘心をしっかり行うと、わき芽を増やし花を多く咲かせられます。また、食用菊の苗は種類によっては背丈が1mほどにもなり、支柱などで支えないと倒れてしまいます。この大事な作業のほか、肥料の与え方や病気の予防など食用菊の手入れ方法を紹介します。
食用菊の摘心
摘心は、茎の先にある新芽を摘みわき芽を増やす作業です。植物は、茎の一番先にある頂芽が伸びる性質を持っています。摘心を行わないと、頂芽だけしか成長しません。ところが、食用菊は頂芽を摘むと脇芽を出し、脇芽にもつぼみをつける特徴があります。この特徴を利用して、つぼみの数を増やして花の収穫量を増やせます。
摘心を行う時期
摘心は、苗を植えつけて新芽が伸びてきた時期に行います。芽が見えてきたら、はさみでこの芽を切ります。この1回だけでも脇芽は出せますが、成長がよい株であれば開花の2カ月前の7~9月にも行いましょう。さらに花の数を増やせます。
食用菊の支柱立て
せっかく育った食用菊の株が倒れてしまうと、花は収穫できません。支柱立ても食用菊の栽培では大切な手入れです。植えている本数が多いときは、ネットを利用しましょう。草丈が30~40cmになったら、支柱を立て株が倒れるのを予防します。
食用菊の肥料の与え方
食用菊は、成長に多くの養分が必要なため元肥だけではなく追肥も施しましょう。追肥には、油かすがよく利用されます。油かすは葉を育てるチッソはありますが、花を育てるリン酸は含んでいません。開花の時期近くには、リン酸を含む化学肥料や液肥を与えましょう。
食用菊の病気予防
食用菊に限らず、キクのかかりやすい病気にうどんこ病や黒カビ病、黒斑病などがあります。病気になると枯れてしまうこともあり、予防が大切です。風通しをよくし、じめじめしないよう水を与え過ぎないようにしましょう。病気の予防や治療に、農薬も使用できます。しかし、花は食用にするため、収穫の2週間前から農薬の使用は避けましょう。
食用菊の栽培③植え替え
食用菊は多年草で、関東より西の地域では屋外で冬越しもできます。しかし、同じ土で連作すると病気にかかりやすくなります。育てる土の更新も兼ねて、植え替えましょう。食用菊の植え替えは、冬と春に行えます。植え替える用土は、苗を植えつける用土と同じです。
食用菊の冬の植え替え
花が終わり食用菊の茎を根元近くで切ると、冬至芽と呼ばれる新芽が株元から出てきます。この新芽は、冬越しする前に植え替えられます。花が咲いた後の11~12月が植え替えの目安です。株全体を掘り起こし、親株から離れている新芽を選んで植えつけましょう。もともと生えていた親株は育てられないことはないですが、花つきが悪くなったり病気にかかりやすくなったりするため、処分します。
食用菊の春の植え替え
食用菊は、花が咲いたあとに出た冬至芽を冬越しさせ、しっかり育てた春にも植え替えができます。春の植え替えを行う時期は、苗の植えつけと同じです。冬の植え替えと同じように、新芽だけを残し古い枝や親株は処分しましょう。
出典:写真AC