ヘアリーベッチとは？植物としての特徴から効果・活用方法まで解説！

ヘアリーベッチは、耐寒性と耐雪性に優れ、丈夫で旺盛な生育力をもつ植物です。もともとは牧草として利用するために輸入された植物ですが、研究によって化学肥料の代わりや土壌を改善する効果があることがわかり、農業やガーデニングでは緑肥としての使い方が一般的です。そこでヘアリーベッチの性質を活かした4つの効果と活用方法について詳しく解説します。

ヘアリーベッチは緑肥効果をもつことが最大の特徴です。ヘアリーベッチの根についている根粒菌が空気中から窒素を取り込み、土壌に窒素を供給する「窒素固定」によって栄養豊富な土づくりができます。また、ミミズが活発に動き回ることで土に空気が行き渡り、土を耕し柔らかくなり排水性もよくなります。次の農作物を植える間の休閑期に種をまき、健康的な土づくりをしましょう。

野菜を作付けない畝にヘアリーベッチの種をまき、花が満開になったら土にすき込みましょう。トマトやナス、ピーマンなど夏野菜の苗の植え付けに利用できます。しかし、発芽を抑える働きがあるため、ニンジンやダイコンなど種を直まきする野菜の畝の側にはまかないようにします。また、冬の間は水田でヘアリーベッチを栽培し、春にすき込みをすると化学肥料を使わない稲作が可能です。

ヘアリーベッチの葉や茎には、シアナミドと呼ばれる雑草を抑制する成分が含まれています。シアナミドは石灰窒素が分解される際に生成される物質で、多くの植物の発芽を抑制するため雑草が生えるのを防止する効果があります。この効果が「アレロパシー効果」です。

稲刈りの終わった水田や、野菜の作付け予定の畝にヘアリーベッチの種をまいて育てましょう。また、果樹園や家の庭などで育てても雑草の抑制になります。河川敷や休耕地などで育てれば景観もよく、土の飛散防止にも繋がります。栽培する土地面積にあわせて種の量を調節し、あらゆる場所に活用しましょう。

果樹園に下草を生やすことを草生栽培といいます。草生栽培は降雨による土壌侵食を防止する効果や、草の根を地中深くに伸ばすことで水の流れをよくして、果樹の栽培環境を改善する技術です。この草生にヘアリーベッチが活用されています。堆肥や敷き藁（わら）を果樹園に搬入するのは大変な重労働ですが、ヘアリーベッチを活用すれば、その場で有機物を補給することが可能です。

果樹園の下草にヘアリーベッチを活用しましょう。地中に根を張り土地を豊かに耕せて、枯れた茎や葉は肥料としてすき込めます。敷き藁として寒さから果樹を守る使い方もできます。特に耕うん機が使えない傾斜地の果樹園におすすめです。

ヘアリーベッチの開花時期は春から初夏にかけてです。和名に「藤」がつくように、藤の花に似た紫色のかわいらしい花を咲かせます。辺り一面に満開に咲き誇る様子は、花畑にいるような感覚を覚えさせてくれるでしょう。このかわいらしい花は甘い香りを漂わせているため、花の蜜を求めてたくさんのミツバチが集まってきます。このミツバチの働きによって、他の農作物や草花の受粉効果が活発になります。

ミツバチが活発に動き回ると、ヘアリーベッチは「はちみつの蜜源」になります。養蜂の使い方をしてみるのもおもしろいです。また、つる性の茎を活かしてグランドカバーにしてみましょう。かわいらしい花を庭に敷き詰めると景観もよくなるうえに、雑草抑制にもつながりますね。蜂を嫌ってアブラムシなど他の虫が寄りつかなくなる効果も期待できます。