綿花はどんな花?
綿花(コットンフラワー)は、ワタの種子についたふわふわとした実綿(みわた)のことを指します。見た目がまるで花のようであることから、「花」という名前で呼ばれています。本来は多年草ですが、耐寒性が低く、冬を越すのが難しいため一年草として育てるのが一般的です。
生産地
綿花は熱帯アフリカが起源といわれています。その後インド、中国と渡り、日本にも渡来しました。現在の主たる生産地は、インドや中国、アメリカです。一時は日本でも盛んに栽培されていましたが、今ではほとんど生産されていません。
名前の由来
「綿(ワタ)」という名前は、人間の内臓にちなんでいます。体の中に入っている内臓のことを「はらわた」や「わた」と呼ぶことから、衣類の中に入れるやわらかな綿を内臓に見立てて、ワタと呼ぶようになりました。また、綿の果実のことは「綿花」と呼びます。ふわふわとしたかわいらしい姿が花のように見えることが、名前に「花」がつく理由です。英語でも同様に、コットンフラワー(cotton flower)と呼びます。
綿花の特徴
特徴①花
綿の花は、7月~9月に開花期を迎えます。5枚の花びらはやわらかなクリーム色をしていて、中心部分が赤黒くなっているのが特徴です。アオイ科の多年草のため、同じアオイ科のムクゲやフヨウによく似た、渦を巻くような形の花を咲かせます。一般的に花色はクリーム色ですが、品種によっては白やピンクの花びらや、花芯が濃いピンク色をしたものもあります。
花言葉は「優秀」「私を包んで」
綿の花言葉は「優秀」「私を包んで」です。衣類の素材である綿は、人間の生活に大きな恩恵を与えました。そうした植物としての価値の高さから、「優秀」という花言葉がつけられたとされます。また、ふわふわとした肌触りは「私を包んで」というフレーズにぴったりの優しさですね。綿花のドライフラワーで仕立てたブーケやアレンジメントは、年齢や性別を問わずギフトにもおすすめですよ。
特徴②果実
綿は秋になると熟した果実がはじけて、中からふわふわの白い綿毛が現れます。これが「綿花」という名前で親しまれる、綿の果実です。綿毛が枝にたくさんついているナチュラルな姿は、まさに花のように魅力的ですね。綿の色は白いものがほとんどですが、茶色や青色、緑色をしているものもあります。やわらかくて肌触りがよく、通気性にも優れているため、古くからいろいろな形で利用されてきました。
綿花の育て方
育て方①栽培環境
綿花は日当たりと風通しのよい場所で栽培します。水はけと通気性のよい、砂質の土壌が適しています。市販されている草花用培養土を使って育てるのが簡単です。自分で配合する場合には、赤玉土と腐葉土、パーライトを使用します。パーライトは軽石でも代用可能です。酸性土壌を嫌うため、あらかじめ苦土石灰や消石灰を混ぜ込んで土壌を改良しておきましょう。
おすすめの培養土
花と野菜の培養土(アイリスオーヤマ)
アイリスオーヤマ 花と野菜の培養土
参考価格: 443円
「花と野菜の培養土」は、名前のとおり花にも野菜にも使用可能な培養土です。バークたい肥が配合されていて、土壌環境を整えます。元肥入りのためガーデニング初心者にも非常に使いやすい培養土ですよ。
育て方②植え付け・植え替え
綿は庭植え・鉢植えのいずれでも栽培が可能です。庭植えの場合、株間は高性種で50cm、矮性種で30cm~40cmが目安です。鉢植えで育てる場合は、8号以上の大きめの鉢を使用します。よく育つことを見越して、ゆとりを持って植え付けてくださいね。時期は5月初旬~中旬が適しています。日本では、多年草としてではなく一年草として扱うことが多いため、植え替えは不要です。
育て方③水やり
綿花は庭植え・鉢植えのいずれの場合も、たっぷりと水やりをしましょう。ただし若苗のうちは加湿に弱いため、与えすぎないようにしてください。真夏の開花期には、たくさんの水が必要です。水が温まらないように、朝や夕方の涼しい時間を選んで水やりをしましょう。水切れは苗が弱ったり、枯れてしまったりする原因になります。
育て方④肥料
綿栽培の元肥には、三要素等量の緩効性化成肥料を規定量を使用しましょう。追肥は植え付け~開花直前の7月中旬ごろまでが適期で、元肥と同じく緩効性化成肥料を使います。ただし肥料が多すぎるとかえって花がつきにくくなってしまうため、開花状況を見ながら量を調節することがポイントです。多少やせた土壌であっても、綿は元気に育ちますよ。多肥状態は花付きが悪くなるほか、病気や害虫の原因にもなります。
おすすめの肥料
花と野菜のまくだけ肥料(自然応用科学)
参考価格: 904円
「花と野菜のまくだけ肥料」は、チッソ、リン酸、カリの三要素が等量で配合された肥料です。土の上にパラパラとまくだけで、効果が長期間持続します。元肥としても追肥としても利用可能な肥料です。
育て方⑤収穫
綿の実は9月~11月が収穫の適期です。熟した実がはじけ、ふわふわとした綿が現れたら摘み取りましょう。開花から計算すると、40日後くらいが目安です。特に繊維として使いたい場合は、綿花が見えたらすぐに収穫します。実がはじけた直後は水分を多く含んでいるため、保存している間にカビが発生しないように、しっかり乾燥させてくださいね。ドライフラワーに用いる場合も、なるべく早めに茎ごと収穫しましょう。
育て方⑥冬越し
綿は本来多年草で、一般的ではありませんが冬越しも可能です。東北や北関東、日当たりが悪い場所などは、十分な量の綿花が収穫できるようになる前に冬を迎えてしまいます。そのため初年は収穫せずに冬を越し、翌年たっぷりとコットンボールを収穫するという方法もあります。その場合は鉢植えで栽培し、気温が下がってきたら屋内に移動させてください。
育て方⑦病気・害虫対策
病気
綿は「苗立枯病(なえたちがれびょう)」という病気に注意が必要です。土中の糸状菌というカビの一種が原因で、葉を黄色く変色させたり、株を枯死させたりします。春に活発に繁殖するのが特徴で、雨が降ると花壇やプランター全体、さらに種にも広がります。多湿状態を好むため、水はけ・通気性のよい環境で栽培することが重要ですよ。発病した株は見つけ次第、根のまわりの土ごと取り除きましょう。
おすすめの薬剤
STダコニール1000(住友化学園芸)
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「STダコニール1000」は長期にわたる防除効果がある薬剤です。苗立枯病以外にも、うどんこ病・べと病・炭そ病など、カビを原因とするさまざまな病気に効果がありますよ。耐光性や耐雨性にも優れています。
害虫
綿に発生しやすい害虫はハマキムシです。細い糸をはいて丸めた葉の中に隠れる習性から、葉巻きに見立てたこの名前で呼ばれています。葉や芽、果実などに食害が起こり、株を弱らせたり枯らしてしまったりします。被害が発生するのは4月~11月で、ちょうど綿の栽培時期です。特に7月ごろから被害が増えるため、丸まった葉の中に幼虫を見つけたら、すぐに葉を摘み取り駆除しましょう。
おすすめの駆虫剤
スミチオン乳剤(住友化学)
住友化学 スミチオン乳剤
参考価格: 1,767円
発売から40年以上という長い歴史を持つのが「スミチオン乳剤」です。害虫が直接薬剤にふれたり、薬剤の付着した植物を食べたりすることにより駆虫します。植物の中に食入した虫にも効果がありますよ。
家庭園芸用GFオルトラン水和剤 (住友化学園芸 )
住友化学園芸 家庭園芸用GFオルトラン水和剤
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「オルトラン水和剤」は浸透移行性で、効果が長く持続します。花や野菜、果樹など、広範囲の防虫におすすめです。葉汁を吸うアブラムシやグンバイムシ、葉を食害するハマキムシやアオムシなどに効果があります。水で薄めて散布しましょう。
ボタニ子
次のページでは、収穫した綿花の活用方法をご紹介します!
出典:写真AC