花びらのない植物<草本>
花びらがない植物は樹木に限った話ではありません。草本でも、花びらがないものがあります。
①ドクダミ
学名 | Houttuynia cordata |
分類 | ドクダミ科ドクダミ属 |
種類 | 多年草 |
花期 | 5月~8月 |
ドクダミは、どこでも見かけられる野草です。特に湿り気のある半日陰を好みますが、日の当たる道端や住宅地など場所を選ばずに生えています。厄介な雑草に分類されますが、ドクダミの葉は食べられます。また、葉を乾燥させることによりドクダミ茶が作れるため、まったく役に立たないわけではありません。
ドクダミの花
周りの白いのは花びらじゃなくて、葉なんですね。
ドクダミには花びらもがく片もありません。花びらのように見える白い部分は、総苞といわれるつぼみを包む役割のある葉です。中央にあるのは、雄しべと雌しべです。中央の部分は穂状で、黄色い色をしています。
②オシロイバナ
学名 | Mirabilis jalapa |
分類 | オシロバナ科オシロイバナ属 |
種類 | 1年草・多年草 |
花期 | 6月~10月 |
オシロイバナには、ピンク・黄色・白などさまざまな色の花があります。オシロイバナは1つの株から、多色の花を咲かせるケースもあるのです。夕方に開き翌朝まで咲いていて、ほぼ翌日の午前中にはしぼんでしまうところも大きな特徴です。
オシロイバナの花
ピンクや白の部分は花びらじゃないんですね。
オシロイバナの花びらのように見えている部分は、がくです。がくのように見える部分は、総苞です。一目見る限りでは美しい花びらのようですが、オシロイバナには花びらがないのです。
花びらのない植物<イネ科>
イネ科は、風媒花が多く花びらのない植物が多数あります。
①カモガヤ
学名 | Dactylis glomerata |
分類 | イネ科カモガヤ属 |
種類 | 多年草 |
花期 | 5月~7月 |
カモガヤはイネ科の仲間で、よく見かけられる野草です。明治時代に日本に入ってきて、そのまま野生化してしまいました。利用価値がないわけではなく、牧草に利用されることもあります。
カモガヤの花
カモガヤはイネ科のため花びらがなく、代わりに穂と呼ばれるものがあります。茎の先端に円錐花序をだし、小穂を多数つけるのが特徴です。カモガヤの花粉は花粉症を引き起こすこともあります。
②ネズミムギ
学名 | Lolium multiflorum Lam. |
分類 | イネ科ドクムギ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 5月~7月 |
ネズミムギはイネ科の仲間の野草です。カモガヤと同じく、牧草として使われることもあります。ネズミムギは、「ホソムギ」という同じイネ科の植物とよく似ています。また、ネズミムギとホソムギが交雑し、ネズミホソムギという植物も生まれました。この3種は見分けるのは、なかなか難しいです。
ネズミムギの花
ネズミムギは茎の先端から穂状花序をだし、直立した穂をつけます。直立した穂に、小穂を多数つけるのが特徴です。ネズミムギにも、花びらはありません。
③チガヤ
学名 | Imperata cylindrica (L.) P.Beauv. |
分類 | イネ科チガヤ属 |
種類 | 多年草 |
花期 | 5月~6月 |
チガヤもイネ科の仲間で、どこにでも生えている野草です。群生して生えていることが多く、葉は真っすぐと立ち上がるのが特徴です。チガヤは、万葉集にも名前が出てくるほど古くから親しまれていました。
チガヤの花
チガヤにも花びらがありません。まだ葉が伸び切ってないうちに、茎の先端から赤褐色の花穂を伸ばします。小穂の基部に白い毛があるのが特徴です。熟したあとは、風にのって種子が遠くまで飛ばされていきます。
まとめ
花びらのない植物は、それぞれの理由があって花びらをなくしました。一見、花びらにしか見えない部分が、実は違うものであるなど植物の奥深い面ともいえるでしょう。紹介した植物を見つけたら、本当の花の部分をよく観察してみてくださいね。
出典:筆者撮影