ムラサキハナナとはどんな植物?
ムラサキハナナ(オオアラセイトウ)は、春に儚げな紫の花を咲かせる植物です。空き地や野原に群生している様子がたいへん美しく人気があります。可憐な見た目に反し、丈夫で育てやすいため初心者の方にもおすすめです。そこでムラサキハナナの名前の由来や特徴、育て方や種まきによる増やし方などを詳しく解説します。
基本情報
学名 | Orychophragmus violaceus |
科名・属名 | アブラナ科・オオアラセイトウ属 |
和名 | オオアラセイトウ |
原産地 | 中国 |
樹高 | 50cm |
開花時期 | 3~5月 |
花色 | 紫 |
複数の名前
ムラサキハナナの正式名は「オオアラセイトウ(大紫羅欄花)」です。しかし、春に黄色い花を咲かせる「菜の花」によく似た紫色の花を咲かせるため「ムラサキハナナ(紫花菜)」と呼ばれています。菜の花と同じ十字形の花を咲かせるアブラナ科植物ですが、属性が異なります。ムラサキハナナほかにも違う呼び名をもつおもしろい花です。呼び名を下記にまとめました。
ムラサキハナナの複数の呼び名
- ムラサキハナナ・・・菜の花に似た紫色の花を咲かせるため
- オオアラセイトウ・・・花姿が一重咲きのアラセイトウ(ストック)に似ているため
- ショカツサイ・・・諸葛亮孔明が軍隊の食料用に種をまいて栽培させたため
- シキンソウ・・・中国南京の紫金山周辺にたくさん咲いていたため
「ハナダイコン」と呼ばれることもありますが、よく似た別の植物です。間違えないようにしましょう。
ムラサキハナナの特徴
ムラサキハナナは、中国原産の秋まき一年草です。日本には江戸時代に輸入され栽培されるようになりました。こぼれ種から自然に成長する強い繁殖力が特徴で、道ばたや空き地などで野生化しているものも多く見られます。春に紫色の可憐な花を咲かせ、群生して咲く姿はとても美しく魅力的です。そんなムラサキハナナの特徴を詳しく紹介します。
特徴①花
ムラサキハナナの開花時期は3~5月です。春になると枝を伸ばして茎の先に総状花序を出し、花径1~3cm程度の花を次々と咲かせます。花の色は、濃淡のある紫です。咲き始めは濃い紫色をしていますが、徐々に淡い色に変わり最後には白色になります。4枚の花弁を十字形にひらき、中心に黄色い雄しべが6本と雌しべが1本あります。
開花には「寒さ」が重要
ムラサキハナナは耐寒性の強い植物です。冬越しをして開花するためには「寒さ」に当てることが重要になります。しっかり寒さに当てると春に多数の花を咲かせます。冬は室内よりも屋外で霜に当たらないように管理しましょう。
特徴②葉
草丈は10~50cm程度、茎は直立して上部で分枝します。根元の近くの葉は羽状で深い切込みと葉柄がありますが、花の近くの葉は先が尖った長卵形です。中国では、この葉を野菜として栽培し、花が咲く前の若葉が食用として使われています。
花が咲くと葉が固くなってしまうため、まだ柔らかい若い葉を食べるそうですよ。
特徴③種
ムラサキハナナは、花後に長さ7~10cm程度の果実をつけます。果実の中には黒褐色の3mmほどの種がたくさん入っています。この果実が熟すと自然に裂けて種が飛び散り、どんどん増えて広がる繁殖力の強さが特徴です。また、この種を搾ると油を採取でき、江戸時代は菜種油として食用に使われていました。
「菜種油」とは、アブラナ科の種子から搾った油を指します。一般的に菜の花から採れる菜種油が知られていますね。
次のページで「ムラサキハナナの育て方」を詳しく見ていきましょう。
出典:写真AC