クロコスミアの概要
色鮮やかな夏の花
クロコスミアは古くから栽培されてきた球根植物です。開花時期は夏で、赤やオレンジなど鮮やかな花が穂状に開花します。栽培された歴史が長いこともあって、「ヒメヒオウギスイセン」「モントブレチア」など別名が多く、こちらの名前でも親しまれてきます。性質は非常に強健で、野生化することも珍しくありません。その強健さから、緑化材料としても利用されています。
日本渡来は明治時代
熱帯アフリカ原産のクロコスミアが、日本へやってきたのは明治時代中期です。以降は「ヒメヒオウギスイセン(姫檜扇水仙)」「モントブレチア」という名前で各地に普及していきました。ヒメヒオウギスイセンは、クロコスミア・オーレアと、クロコスミア・ポトシーとの交配種です。ちなみにクロコスミア・オーレアの別名はヒオウギスイセン(檜扇水仙)といいます。
名前の由来
学名でもあるクロコスミアの名前の由来は、ギリシャ語でサフランを意味する「krokos」と、匂いを意味する「osme」です。天日干しにしたクロコスミアの花を、湯に浸すとサフランに似た香りがすることからこの名前がつけられました。
クロコスミアの基本データ
学名 | Crocosmia |
科名 | アヤメ科 |
属名 | クロコスミア属(ヒメトウショウブ属) |
和名 | ヒメヒオウギスイセン(姫檜扇水仙) |
別名 | モントブレチア、トリトニア |
原産地 | 南アフリカ |
草丈・樹高 | 40cm~150cm |
開花時期 | 6月~8月 |
花色 | 赤、オレンジ、黄、複色 |
クロコスミアの特徴
特徴①穂状の花
クロコスミアの一番の特徴は明るく鮮やかな色の花を、穂のようにたくさん咲かせることです。花径は3cm~5cmと、それほど大きくありませんが、稲穂のようにたくさん咲かせるため、開花時期は見応えがあります。赤やオレンジと派手な花色ですが、全体的にスッキリとした花姿なので、上品な印象にまとまっている点も人気です。
特徴②剣状の葉
アヤメ科の植物らしく、細長い筋の入った剣状の葉をまっすぐ生やします。この葉姿のおかげで、開花時期に明るい色の花をたくさん咲かせても、シャープでスッキリとした印象を見る人に与えられるというわけです。
特徴③旺盛な繁殖力
クロコスミアは非常に丈夫で、繁殖力も強い植物です。球根で増えるのが基本ですが、こぼれ種でもよく増えます。熱帯地域原産ですが、耐寒性があるうえに順応力も高いことから、現在では世界各地で野生化した株が見られるようになりました。クロコスミアを侵略的外来種に指定している国や地域もあるほどです。
ニュージーランドではすでに、クロコスミアを「侵略的外来種」に指定しています。
日本でも佐賀県がクロコスミアを「移入規制種」に指定しているよ。県内では栽培も禁止しているんだ。
クロコスミアの種類・品種
ヒメヒオウギスイセン(姫檜扇水仙)
もっとも普及している花
1800年代にフランスで作出されたクロコスミアの園芸品種です。美しい花姿と育てやすさから、もっとも広く普及しています。交配親のオーレア種(檜扇水仙)と姿がよく似ているため、混同されることが多いです。なお、世界各地で野生化した株が問題視されている品種でもあります。
ルシファー
真っ赤な花が特徴の人気品種
ルシファーは「クロコスミアの代表品種」といわれるほど、高い人気を誇る園芸品種です。1966年にイギリスで作出されました。アーチ状の茎に上向きに咲く花と、目を見張るような鮮やかな赤い花色が大きな特徴です。クロコスミアのなかでは大型の品種で、草丈60cm~120cmに成長します。
エミリー・マッケンジー
オレンジの花色に赤い模様が印象的な園芸品種
エミリー・マッケンジーは草丈40cm~50cmと、ややコンパクトな園芸品種です。「エミリー・マッキンジー」と表記されることもあります。オレンジの花色に、赤い輪のような模様が入るのが大きな特徴です。草丈はコンパクトですが、花径は5cm~6cmと大きいため、花がとてもよく目立ちます。
クロコスミアの花言葉
クロコスミアの花言葉は「楽しい思い出」「謙譲の美」「陽気」です。「謙譲の美」の花言葉は、鮮やかな花色を持ちながらも、うつむきがちに咲く花姿が控えめな美人を連想させることに由来しています。「楽しい思い出」「陽気」の花言葉は、赤や黄色、オレンジ色など、見るだけで気持ちを明るくしてくれる花色が由来です。
クロコスミアの花言葉まとめ
- クロコスミア全般の花言葉:「楽しい思い出」「謙譲の美」「陽気」
- 種類別・色別の明確な花言葉はなし
ちなみに別名のモントブレチアは、フランスの植物学者コクベール・ド・モンブレの名前にちなんでつけられました。