ジュンサイってどんな植物?
ジュンサイは、全国各地の池や沼などに生える水生植物です。若芽はゼリー状の膜におおわれていて触るとぬるぬるしますが、ぬるぬるした部分も含めて食べられます。ただし、近年は栽培地・自生地ともに激減しているため、出荷量も限られ「幻の旬食材」と呼ばれています。
生産量日本一は秋田県
ジュンサイの生産量日本一は、秋田県三種町です。秋田県三種町は豊富な地下水と白神山地の名水が有名な地域で、新鮮な水が収穫に影響するジュンサイの栽培に適しています。ただし、国内で流通している食用ジュンサイの80%は中国産のため、国産のジュンサイそのものが珍しいといえます。
地域によっては絶滅危惧種に指定
ジュンサイは日本全国に分布していますが、水がきれいな場所以外では育たないため、地域によっては絶滅種または絶滅危惧種に指定されています。絶滅種・絶滅危惧種に指定された地域でも、かつては自生が確認されていましたが、池や沼などの水質汚染が原因で個体数が急激に減少しました。
食用として栽培するのは日本と中国だけ
ジュンサイは世界各地に分布していますが、食用として栽培するのは日本と中国だけです。表面のぬるぬるした部分は和食や中華料理では重宝されますが、世界ではぬるぬるした食材を食べる習慣がありません。しかも、世界の食文化では「ぬるぬるする=腐っている」と解釈されるため、観賞用以外でジュンサイの栽培はしません。
ぬるぬるの正体は?
ジュンサイのぬるぬるの正体は「ぬめり」です。ぬめりはぬるぬるしたゼリー状で、若芽全体をおおっています。ジュンサイの若芽は柔らかく、魚などの外敵に狙われやすいです。そのためジュンサイの若芽は、表面をぬるぬるしたぬめりでおおうことで外敵から身を守っています。
旬の時期
ジュンサイの旬の時期は初夏です。国産ジュンサイの収穫量90%を占める秋田では4月~9月が収穫時期ですが、収穫時期のピークは6月~7月で、この時期のジュンサイが特に味が美味です。ジュンサイは生でも食べられますが、下処理や水煮などにしないとすぐに鮮度が落ちるため、旬の時期の生ジュンサイは高値がつきます。
育て方の難易度
ジュンサイの育て方の難易度は「食用で栽培する」「観賞用で栽培する」かで違います。食用ジュンサイを栽培する場合、栽培管理が収穫量や質に影響するため、育て方の難易度は高めです。ただし、ジュンサイは本来は自生する植物のため、育て方のコツがわかれば初心者でも栽培できます。
花言葉
ジュンサイの花言葉は「望郷」です。「望郷」の意味は、四字熟語の「蓴羮鱸膾(じゅんこうろかい)」に関係します。この四字熟語は貧しい地域出身の中国の高官が、地元の郷土料理の蓴羮(ジュンサイの汁物)を思い出すたびに故郷を想ったという話に由来します。さらに四字熟語が転じて、「望郷」がジュンサイの花言葉になりました。
「揺れる恋心」という花言葉もある
ジュンサイの花言葉には「揺れる恋心」という花言葉もありますが、この花言葉は日本の古語に由来します。ジュンサイは古語で「ぬはな」です。ぬはなの名前の由来は、水の中での動きと関係しています。水中で左右に揺れるジュンサイが、恋に揺れる心の動きに見えることが、古語の由来であり花言葉の意味です。
ジュンサイの育て方【栽培環境編】
水がきれいだった時代には全国各地で自生していたジュンサイですが、環境汚染が深刻化した現在では、自生している姿を見ることはほとんどできなくなりました。ただし、ジュンサイは多年草の水生植物のため、栽培管理がきちんとできれば地植えだけでなく鉢植えでも栽培できます。
①栽培適地
ジュンサイは、淡水の沼や池が栽培に適しています。水面に丸い形をした葉を広げ、池や沼の底に根を張り茎を伸ばします。水深があまり深すぎても栽培には適しません。収穫時期を迎えたジュンサイでも、茎の長さは50cm~1mのため、底が深い池や沼に地植えする場合は、深さ1m前後の浅瀬を栽培地に選びましょう。
鉢植えの場合は深さのあるスイレン鉢で
ジュンサイを鉢植えする場合は、深さのあるスイレン鉢を選びます。鉢植えしたジュンサイも順調に育てば、茎が50cm前後まで成長します。鉢の深さも茎の長さを参考にするのがおすすめです。さらに、ジュンサイは葉を水面に大きく広げるため、鉢の直径も30cm以上を目安にするとよいでしょう。
②用土
ジュンサイは、粘土質の土壌を選びます。水面に丸い葉を広げるのが特徴のジュンサイですが、水底の土に根を張って茎や葉を広げるため、柔らかく根が張りやすい粘土質の土が適しています。ホームセンターなどで購入する場合は荒木田土がおすすめですが、休耕田や田んぼの土を用土にしてもOKです。
③肥料
ジュンサイの栽培では、基本的に肥料を使いません。肥料にはさまざまな成分が含まれていますが、それらの成分が水に溶けて水質が変わると、ジュンサイの成長はストップし枯れてしまいます。そのためジュンサイの肥料は、用土に含まれる有機質だけで充分です。
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