伊予柑(いよかん)とは?どんな種類がある?旬な時期や食べ方を解説!

伊予柑(いよかん)とは?どんな種類がある?旬な時期や食べ方を解説!

冬を代表する果物の伊予柑は、その名のとおりおもに愛媛県で栽培されている柑橘類です。絶妙なバランスの甘酸っぱさと芳醇な香りが特徴の伊予柑は、そのままでも加工してもおいしく食べられます。そんな伊予柑の特徴や種類、旬の時期などについて解説しましょう。

記事の目次

  1. 1.伊予柑とは
  2. 2.伊予柑の種類
  3. 3.伊予柑のおいしい食べ方
  4. 4.伊予柑の栄養成分
  5. 5.まとめ

伊予柑とは

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冬を代表する柑橘類の伊予柑は、明治時代から栽培されている歴史の古い果物です。その名前から愛媛県伊予市で発見されたものと思われがちですが、じつはまったく違う場所で発見され、愛媛県の特産品にまでなったという面白い経歴を持っています。

基本情報

和名 伊予柑(いよかん)
学名 Citrus x iyo
分類 ミカン科ミカン属
形態 中高木
原産地 日本
樹高 1.5m以上
果実の色 オレンジ
重さ 220~280g
収穫時期 11月下旬~3月

伊予柑の歴史

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伊予柑はもともと明治19年に山口県阿武郡東分村の中村正路氏の果樹園で発見された、枝変わり種(木の一部の枝のみの突然変異)でした。発見された土地が穴戸と呼ばれていたことから、当時「穴戸蜜柑」と名づけられました。このみかんの苗木を明治22年に愛媛県松山市の三好保徳氏が持ち帰ったことが、愛媛県での栽培の始まりとされています。

名前の由来

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「伊予柑」という名前は、伊予の国(愛媛県)で栽培が盛んであったためつけられた名前です。もともと伊予柑は山口県で発見された「穴戸蜜柑」と呼ばれるものでした。その後、愛媛県で栽培されるようになり「伊予蜜柑」と呼ばれましたが、愛媛県産の温州みかんとの混同を避けるため、昭和5年に「伊予柑」と正式に名づけられたのです。

産地

伊予柑のおもな産地は愛媛県です。そのほかにはみかんで有名な和歌山県や佐賀県、山口県、静岡県、広島県、鹿児島県などで栽培されています。また、愛媛県内では松山市が伊予柑の生産量が多く、今治市、八幡浜市も有数の産地に挙げられます。

旬の時期

伊予柑は冬が旬の果物です。11月下旬~3月ごろまでが伊予柑の収穫時期ですが、収穫後1カ月ほど貯蔵熟成させて酸味を抜いてから出荷するため、本格的な旬の時期は1月~2月ごろになります。また伊予柑は品種によって旬の時期が少しずれるので、長い期間味わえます。

伊予柑の特徴

伊予柑は海紅柑(かいこうかん)とダンシーという品種のみかんが交配して生まれた、リピーターも多い人気の柑橘類です。突然変異種なので実の姿形や色、においや味などほかの柑橘類とは少し違う特徴をもっています。

特徴①味・におい

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伊予柑は、糖度とクエン酸度の高い「高糖高酸」が特徴の柑橘類です。クエン酸度が高いため、収穫後しばらく貯蔵庫で熟成させて酸を抜き、甘味と酸味のバランスを整えます。また、においが格段によいのも伊予柑の特徴の1つです。その甘酸っぱい香りにはリラックス効果があるとされ、アロマオイルなどにも使われています。

特徴②実・皮

伊予柑の大きさは直径約8cm、重さ約220~280gの中玉サイズで、果肉は柔らかく果汁が多いのが特徴です。皮はツヤのある濃いオレンジ色をしています。温州みかんに比べるとやや厚めの皮ですが、はっさくなどと違い手でむけるくらい柔らかいという特徴も持っています。また、種が少なく食べやすいのも人気の理由の1つです。

伊予柑の種類

伊予柑にはいくつかの品種があります。柑橘類は人工的な品種改良がとても難しい果物で、伊予柑の品種もそのほとんどが枝変わりによるものです。現在ある品種は山口県で生まれた穴戸蜜柑や、愛媛県で多く栽培されている宮内伊予柑の枝変わり種です。

普通伊予柑

普通伊予柑とは明治19年に山口県で発見された伊予柑の原種で、別名「穴戸蜜柑」とも呼ばれる品種です。起源ははっきりしていませんが、ミカン類とオレンジの自然交配で生まれたのではといわれています。実はやや小さくて皮が厚く、酸味がほかの伊予柑よりも少し強めなのが特徴です。食べ頃は3月中旬~4月と遅めです。

宮内伊予柑

宮内伊予柑は昭和27年に松山市の宮内義正氏の農園で、普通伊予柑の枝変わりとして発見された品種です。宮内伊予柑は皮が薄くて香りがよく、果肉が柔らかくて果汁が多いという特徴があります。また毎年たくさんの実をつけ育てやすいことから、伊予柑の代表的な品種となっています。1月中旬~3月出回り、食べ頃は1月~2月ごろです。

弥生紅(やよいべに)

弥生紅とは宮内伊予柑を1月まで枝で完熟させ、さらに3月まで熟成させた糖度11.5度以上のブランド品です。甘みが強いだけでなくほどよい酸味もあり、バランスの取れた濃厚な味が特徴です。果皮は一般的な宮内伊予柑よりもやや厚く赤みを帯びています。しっかり熟成させているので、食べ頃は3月の1カ月間だけと短いのも特徴です。

大谷伊予柑(ダイヤオレンジ)

大谷伊予柑とは、昭和52年に愛媛県北宇和郡の大谷氏の農園で発見された宮内伊予柑の枝変わり種で、別名「ダイヤオレンジ」とも呼ばれるブランド品です。ほかの伊予柑と違い、皮がツルツルしているという特徴があります。甘みが強く酸味の少ないまろやかな味わいで、オレンジのような香りがします。食べ頃は1月中旬~3月です。

伊予柑のおいしい食べ方

糖度が高くほどよい酸味もある伊予柑は、そのまま食べてもジャムやお菓子などにしてもおいしい果物です。皮の部分も調理すると食べられるため、いろいろな味わい方ができます。

選び方

おいしい伊予柑を見分けるポイントは、皮にハリとツヤがあり果肉から浮いていないこと、色が濃くヘタの近くまで色づいていること、ヘタが小さいことです。果肉から皮が浮いているものは、味が落ちていて傷みやすいので注意してください。また、実の大きさは中くらいで、持ったときにずっしりとしたものがジューシーでおすすめです。

おすすめの食べ方

伊予柑はそのまま食べるのがおすすめです。時間が経つと水分が少なくなっていくため早めに食べてください。皮は手でもむけますが、むきにくい場合はお尻のくぼんだ部分に十字の切り込みを入れましょう。また、薄皮も厚いのでむいて食べるのが一般的です。果肉はゼリーやシロップ漬けにしてもおいしいのでお試しください。

伊予柑は皮もおいしい!

伊予柑は皮も調理すれば食べられます。果肉と一緒に煮てマーマレードジャムにすると甘酸っぱさが堪能できますよ。また細く切ったものを砂糖で煮てから乾燥させて「伊予柑ピール」にすると、子どももおいしく食べられておすすめです。

保存方法

伊予柑は貯蔵性のよい果物で、常温で1週間~10日ほど保存できます。常温保存の場合は、直射日光の当たらない風通しのよい場所で保存しましょう。しかし、暖房などで室温が高くなりすぎる場合は、冷蔵庫で保存することをおすすめします。その場合は乾燥しないよう保存用の袋に入れて、保存してください。

伊予柑の栄養成分

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伊予柑は果実や皮にビタミンCやミネラルといった、栄養成分が多く含まれている果物です。これらの栄養成分は体や心、美容にもよいとされています。

おもな栄養分

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伊予柑の果実に多く含まれている栄養分は、ビタミンC・クエン酸・カリウムなどです。ビタミンCは伊予柑100g中に35mg含まれているので、1個食べるとビタミンCの1日分の必要摂取量を摂れます。また、皮に多く含まれている栄養分は、ヘスペリジン・ナリンギン・ペクチン(水溶性食物繊維)などです。

100グラム中にビタミンCが35ミリグラム含まれています。

効能

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実に含まれるビタミンCには、免疫力アップ、ストレスの緩和、貧血の予防、美肌などの効果があるとされています。また、カリウムは高血圧の予防やむくみを改善する作用があるといわれる栄養素です。皮に含まれるヘスペリジンやナリンギンは高血圧の予防に有効とされ、ペクチンにはお通じをよくする効果が期待できます。

まとめ

伊予柑は特徴的な芳香や味わいから人気の高い柑橘類です。種類によって味わいや旬の時期などが違っているので、食べ比べてみるという楽しみ方もおすすめです。現在は市販だけでなく松山市や宇和島市、伊予市などのふるさと納税返礼品として伊予柑そのものやゼリーなどの加工品が扱われています。ぜひ利用してみてください。

ayamasa2223
ライター

ayamasa2223

植物が好きでプランターでのお花や野菜の栽培の勉強中です。どうぞよろしくお願いします。

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