山桜桃梅(ユスラウメ)とは?
山桜桃梅(ユスラウメ)は中国北西部、モンゴル高原、朝鮮半島などを原産とするバラ科の落葉低木です。主に庭木として扱われていますが、開花時期には梅や桜に似た愛らしい花をつけ、後にはサクランボに似た果実をつけることから、果樹として扱われる場合もあります。耐寒性も耐暑性もある上に、病気にかかりにくく育てやすいことから庭木として、とても人気の高い植物です。
山桜桃梅の名前の由来
山桜桃梅の名前の由来は諸説あります。主な説は、果実を収穫する際に枝をゆすって落とす、または風が吹くと揺れる様子から「ユスラ」と呼ばれるようになった説、もう一つは、原産地の一つである朝鮮では「移徒楽(イサラ)」と呼ばれていたのが、転訛して「ユスラ」になった説です。「ウメ」の部分は、梅に似た花を咲かせることに由来しています。
略称はユスラ(山桜桃/山桃桜)
漢字表記と読み方は?
略称で「ユスラ(山桜桃/山桃桜)」と呼ばれることもあります。漢字表記だと山桜桃・山桃桜と複数ありますが読み方は同じで、どちらを使ってもOKです。ユスラウメと呼ぶ際にも、梅桃・山桜桃梅と、複数の漢字があてがわれています。ただし、「山桜桃」はユスラウメと読むこともあります。漢字表記が複数ある影響なのか、読み方に関しては意外とフリーダムです。
山桜桃梅の基本データ
学名 | Prunus tomentosa |
科名 | バラ科 |
属名 | サクラ属 |
別名 | ユスラゴ、梅桃、山桜桃梅、山桜桃、山桃桜 |
開花時期 | 3月~4月 |
花色 | 白~淡紅色 |
山桜桃梅の特徴
赤い実と白い実をつける品種に大別される
山桜桃梅の特徴というと、サクランボに似た赤い実が真っ先に思いつきますが、白い実をつける「白実ユスラウメ」という品種もあります。両方植えて、紅白の競演を楽しむのもよいでしょう。サクランボに似た見た目を持つ山桜桃梅の果実ですが、味もサクランボに似て甘酸っぱいです。この点も特徴と言えるでしょう。収穫した果実は早めに生で食べるか、お酒やジャムにするのがおすすめです。
山桜桃梅の栄養は?
山桜桃梅の果実に含まれている主な栄養成分には、クエン酸があります。クエン酸とは、かんきつ類やお酢に含まれている酸味成分で、疲労回復や免疫強化、ミネラル分の吸収を高める効果があるとされています。この他にも糖分や有機酸が含まれているので、お酒にして食前や就寝前に適量を飲めば、不眠症や低血圧、滋養強壮や疲労回復に効果があります。
栄養だけではなく薬効もある
山桜桃梅の種は、洗って乾燥させると「毛桜桃(モウオウトウ)」という生薬になります。適量を煎じて空腹時に服用すると、緩下、利尿、肩こり、手足のむくみ、便秘に効くと言われています。栄養だけではなく、薬効もあるということです。ただし、いくら体によくても摂り過ぎは逆効果にしかなりません。用法・用量をきちんと守って摂取することを心がけましょう。
山桜桃梅の花言葉
山桜桃梅の花言葉は「郷愁」「ノスタルジー」「貴び」「輝き」です。これらの花言葉は、山桜桃梅の果実がツヤがあって宝石のように見えることと、山桜桃梅が庭木として人気が高いことに由来しています。子供の頃、住んでいた家の庭や畑に山桜桃梅が植えられていて、それを食べた思い出があるという方も少なくありません。ゆえに、山桜桃梅を見ると故郷の思い出が蘇ることから、この花言葉がつけられました。
山桜桃梅の育て方
山桜桃梅は1品種を植えるだけでも実をつけることができる上に、強健で病害虫にも強いので栽培は比較的容易です。樹高も2mから3mとそれほど高くならないので、果樹の入門用植物として、うってつけの植物と言えるでしょう。ここでは、山桜桃梅の育て方のポイントを紹介します。育て方のポイントをしっかりと抑えて、美しい花と美味しい果実を楽しみましょうね。
山桜桃梅の育て方:一年間の管理スケジュール表
行う作業 | 適期 |
開花時期 | 3月~4月 |
収穫期 | 6月~7月 |
植え付け・植え替え | 12月~3月 |
剪定 | 11月~3月 |
肥料 | 2月~3月(鉢植えの場合は8月にも与える) |
育て方のポイントその①:日当たりと場所
山桜桃梅を栽培する場所は、日当たりがよいことが絶対条件です。山桜桃梅は日当たりがよくない場所だと、実の付き方が悪くなってしまいます。多湿も苦手なので、水はけのよい土壌であることも重要です。
育て方のポイントその②:植え付け・植え替え
地植えの場合
適期は地植えも鉢植えも12月から3月です。まずは苗よりも一回り大きめの植穴を掘ります。掘り出した土には腐葉土と堆肥を混ぜ込んでおきましょう。穴の底に少し土を戻したら苗を置き、掘り出した土を入れていきます。土を入れ終わったら水をたっぷりと与えておきましょう。根付くまでは苗の安定と過度の乾燥を防ぐために、苗の横に支柱を立てて、株元には腐葉土や藁を被せておきます。
鉢植えの場合
まずは苗よりも一回り大きめの鉢を用意しましょう。1年生の苗なら、7号から10号くらいの鉢が目安です。水はけと通気性のよい土を好むので、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:川砂1の割合で混ぜた土か、市販の果樹用培養土を用意して植え付けます。水はけをよくするために、鉢底には鉢底ネットと鉢底石を敷いておきましょう。土を鉢の半分から1/3くらいまで入れたら、苗を置き、残りの土をかけて固定します。終わったら水をたっぷりと与えましょう。
植え替えの周期は?
植え替えは土の通気性をよくするため、鉢植えの場合は、それに加えて根詰まりを防ぐために行います。適期は山桜桃梅の落葉期にあたる2月から3月です。鉢の大きさや株の成長具合にもよりますが、周期は2年から3年に1回の割合で行います。
ボタニ子
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出典:写真AC