食用クチナシ色素の種類と使い方
一般に入手できるクチナシ色素には、果実を乾燥させたものと粉末にされたものがあります。粉末にした食用のクチナシ色素は、本来の黄色系を基本にほかの色も作られています。天然由来の色素で危険性の低い安全な色素です。食品の原材料表示では食用着色料としてクチナシ色素、着色料(クチナシ)などと表示されます。
クチナシの実(ホール)
大きめのスーパーマーケットや食料品専門店で販売されているクチナシ色素は、「ホール」という果実をそのまま乾燥させた状態のものです。これはおせち料理に欠かせない栗きんとんやサツマイモを煮るときに利用しましょう。クチナシに含まれる黄色い色素成分は「クロシン」といい、水溶性です。水から煮出して色出しをするのが使い方の基本です。しっかり煮出して鮮やかな黄色を出してください。
使い方
- まな板など清潔な平らな台の上で手のひらで押しつけるように割る。硬いようならキッチンバサミなどを使用して皮を割る
- 鍋にクチナシの果実1個と500mLの水を入れ中火で煮立てる
- 沸騰したら弱火にして15分くらい煮出す
クチナシ色素(黄)
天然のクチナシ果実から抽出した食品に使用できる黄色色素の粉末です。適量を水と混ぜて、クッキーなどに使うアイシング、和洋菓子、冷菓(ゼリーなど)、栗きんとん、漬物などに使用します。天然の植物由来の色素なので、柔らかく温かみのある色に仕上がります。
クチナシ色素(青)
天然のクチナシ果実から抽出した、食品に使用できる青色素の粉末です。クチナシ果実から得られるこの色素は、日本で食品添加物(着色料)として認められている天然色素の数少ない青色です。子どものおやつなどにも安心して使えるでしょう。また、安全性の高い小麦粉粘土を使って作業するときに色づけする使い方もあります。
青の作り方は?
青色色素は、緑変を起こす物質をクチナシの果実からとり出し、工業的工程を経て作られます。もともと、黄色のクチナシ色素が人肌や麺(タンパク質)に触れると緑や青く変色することは知られていました。1960年代に、緑変させるのが「ゲニポシド」という成分であるとわかります。これをクチナシからとり出して人工的に青色を作り出すことに成功しました。
クチナシ色素(緑)
クチナシ果実から抽出した、食品に使用できる緑色素の粉末です。クチナシの黄色色素と青色色素を混合して緑色にしています。抹茶やよもぎなどの味をつけることなく、自然な緑色に着色できるのが特徴です。柔らかく、やさしい緑色に仕上がります。
クチナシ色素(赤)
クチナシの赤色色素も青色と同様に、日本で食品添加物(着色料)として認められている天然色素の数少ない赤色です。適量を水と混ぜて、蒸しパンやクリームなどに使用できます。毒どくしさのない、自然な赤色に着色できます。
クチナシ色素を使ったレシピ
栗きんとん
材料
- サツマイモ:500g
- 栗の甘露煮:15個くらい
- クチナシ(ホール):2個
- 砂糖:180g
- 栗の甘露煮のシロップ:50mL
- みりん:30mL
作り方
- サツマイモの皮は厚めにむいて、2cm程度の輪切りにし水にさらす
- 鍋にサツマイモと皮を割ったクチナシを入れ、かぶる位の水を加え強火にかける(クチナシはお茶パックなどに入れるととり出すときに便利)
- 沸騰したら中火にし茹で、串がスッと通るやわらかさまで加熱する
- 茹で上がったらクチナシの実と湯は捨てる
- 熱いうちに、茹でたサツマイモと砂糖を裏ごし
- 4と甘露煮のシロップを鍋に入れ強火にかけ、練る
- サツマイモがなめらかになり、照りが出るまで強火で練り続ける
- つやが出たら弱火にし、栗とみりんを入れ、5分ほど混ぜる
- 大きめのバットや耐熱容器に広げ、よく冷ます
サツマイモの甘煮
材料
- サツマイモ:大1本
- クチナシ(ホール):1個
- しょうゆ:10mL
- 水:300mL
- 砂糖:大さじ1
作り方
- サツマイモを厚さ1.5cmの輪切りにして水にさらす
- サツマイモとかぶるくらいの水を鍋に入れ、皮を割ったクチナシの実を加えて強火にかける
- 串がスッと通るやわらかさまで加熱する(20分〜25分程度)
- 鍋の水が透明になるまで、ゆであがった芋を水にさらし、色づけし、水気を切る
- 煮汁の材料全てを鍋に入れ、一煮立ちさせ、4のサツマイモを加え煮る
たくあん
材料
- 大根:500gくらい
- 砂糖:75g
- 塩:15g
- 酢:15g
- クチナシ(ホール):1個
作り方
- 大根の皮をむき、半分に切る
- 皮を割ったクチナシの実をお茶パックなどに入れる
- ジッパーつきの保存袋に、1と2と砂糖、塩、酢を入れて軽く揉む
- 室温で半日くらい置き、水分がでてきたら冷蔵庫に入れ、ときどき混ぜながら1週間ほど置く
クチナシ色素で安全でカラフルなメニューを
クチナシ色素は日本に自生する「クチナシ」の果実からとれる天然の色素です。古くから食品の着色料や染料として人びとの生活に利用されてきました。自宅の庭で育てた木から収穫して利用することもできます。天然の色素なので危険性が低く、子どもおやつの色づけにも安心して利用できるでしょう。
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