香水は自分の好きな香りをまとえるアイテムで、その日の気分にあわせて肌や服につけたり、空間にスプレーしたりと使い方もさまざまです。香りの成分は自然香料（動物性、植物性）と合成香料があり、これらをブレンドして作ります。多くの種類がある香料のなかでも植物性香料は花の香りをもつものが多いため、馴染みのあるものが多いでしょう。

「花のような香り」を「フローラルノート（Floral note）」と表現します。「フローラルの香り」といってもさまざまな表現があり、1種類の香料を使った香りは「シングルフローラル」、ブレンドしたものは「フローラルブーケ」、白い花由来の香料だけを使った「ホワイトフローラル」といった具合です。いかに多くの花が香水に使われているのかがよくわかるでしょう。

フローラルの香りを作る花の中でも、「バラ」「ミュゼ」「ジャスミン」の3種類は「三大フローラル」と呼ばれます。どれも香料として人々に愛され、古くから使われてきたものです。

バラは種類が豊富で、観賞用の植物としても世界中の人から愛される植物です。見た目や香りも甘美で、うっとりとした気持ちになるかたも多いでしょう。人気香水ブランドからも「ローズ系」の香りとして、数多くの商品が発売されています。

ミュゼは、日本では「スズラン」の名で親しまれています。小さな白い花が鈴のように咲く姿は儚げですが、香りは甘く強いのが特徴です。ただ強いだけではなく、ミュゼの香りは清楚で上品なため、自然によい香りをまといたい方におすすめです。

ジャスミンは高級感があり、妖艶さと上品さをあわせ持った香りが魅力です。たくさんの花からわずかにしか香料が抽出できないため、「花の王」という異名をもちます。ジャスミンの香りはストレスを緩和し、心を癒してくれる働きもあるため、落ち込みがちな気持ちを上げたいときにおすすめの香りです。

「リラ」は「ライラック」の名前でも親しまれている、紫色やピンク色の花を咲かせる初夏の花です。キンモクセイ科の仲間のため、香りは強くヨーロッパではとくに人気があります。「恋の香り」とも表現され、ときめく甘い気持ちをさそってくれるでしょう。バラ、ミュゼ、ジャスミンの三大フローラルにリラを加えたものを、四大フローラルと呼びます。

スミレのさわやかな甘みのある香りは、ほかにたとえられないともいわれ、かのマリーアントワネットも愛したといわれます。香水に使われる種類は「ニオイスミレ」と呼ばれるもので、1輪部屋にあれば部屋中がスミレの香りに包まれるほど強く香ります。カクテルのバイオレットフィズの香りといえば、ピンとくるひともいるでしょう。花から抽出できる香料はわずかなため、天然のスミレ香料は高級品です。

クチナシは香りのよい花をつける樹木「三大香木」の一つです。夏が訪れると白い花を咲かせ、あたり一面にジャスミンのような妖艶で優美な香りを漂わせます。欧米ではクチナシを「ガーデニア」と呼び、プロポースの際に花束で贈ることもあるため、クチナシの香水を最愛の人にプレゼントするのもおすすめですよ。

ピオニーは日本では芍薬（しゃくやく）と呼ばれています。5月のバラとも形容され、バラに似た香りですがバラよりも甘さが控えめで爽やかさが強いといえるでしょう。使うシーンや性別、年齢を選ばない香りでいつの時代も人気のある香りです。

香水はうまく使いこなすと、気分の切り替えをしやすくなりますよ。優しいフローラルな香りは少し落ち込んでいる日や、今日は絶対に成功させるという決意の日にそっと背中を押してくれるでしょう。新しいステージへ進む人生の節目を迎える人への贈り物にも香水はおすすめです。