緑黄色野菜とは
「緑黄色野菜」と聞いたとき、多くの人は「緑の野菜」「色が濃い野菜」を想像するのではないでしょうか。実は緑黄色野菜には、明確な定義が存在します。
緑黄色野菜の意味
辞書で「緑黄色野菜」の意味を調べると、「有色野菜」「カロテンを多く含む野菜」などと出てきます。実は野菜自体の色が薄く見える場合でも、カロテンが多く含まれていれば緑黄色野菜に分類されるのです。しかしカロテンは野菜の色素の一種のため、カロテンが豊富に含まれている緑黄色野菜のほとんどは濃色です。
緑・黄緑の野菜が多い
緑黄色野菜には葉物が多く分類されています。そのため緑や黄緑の野菜が多く、それが緑黄色野菜と呼ばれる理由でもあります。
緑黄色野菜の定義
どのくらいのカロテンが含まれていると緑黄色野菜に分類されるのでしょうか。「緑黄色野菜」の定義は以下のとおりです。
厚生労働省で定められた条件
緑黄色野菜に分類される条件は、実は厚生労働省で明確に定められています。それは「可食部100gあたり600μg以上のカロテンを含む野菜」というものです。また緑黄色野菜にはカロテンだけでなく、ビタミンや葉酸、ミネラルなども豊富に含まれています。
一般には、緑色や黄色・赤色などの色の濃い野菜ととらえられていますが、「原則として可食部100g当たりカロテン(カロチン)含量が600マイクログラム(μg)以上の野菜」という基準が厚生労働省により決められています。
色の濃さで簡単に見分けられる
緑黄色野菜に分類されるかどうかはカロテンの含有量によって決まるので、色が濃い野菜のすべてが緑黄色野菜といえるわけではありません。しかし緑黄色野菜のほとんどは、カロテンによって鮮やかな色をしているので、「色が濃いのが緑黄色野菜」と覚えてもよいでしょう。
基準値を満たしていない緑黄色野菜もある
緑黄色野菜の中には、カロテン含有量が600μgを下回るものもあります。たとえばトマトやピーマンは緑黄色野菜ですが、カロテン含有量は600μg未満です。これらの野菜は日常的に食べる回数や量が多く、含有量は少なくても1日あたりの摂取量を満たすと期待されているため、緑黄色野菜に分類されています。
健康によいとされる理由
がん予防・アンチエイジングが期待できる
緑黄色野菜に含まれているカロテンとは、にんじんなどに多く含まれる「βカロテン」のことで、体内に必要な量だけビタミンAに変換されるため「プロビタミンA」とも呼ばれます。体内の活性酸素を減らしてくれる抗酸化作用もあり、がん予防やアンチエイジングといった効果が期待されています。
カロテンには体内の活性酸素を減らす抗酸化作用があります。またβ-カロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されるので「プロビタミンA」とも呼ばれています。
ビタミンが体内や肌の健康を守る!
緑黄色野菜のβカロテンは、体内の不足分だけビタミンAに変換されることもあり、ビタミン補給にはぴったりの野菜です。ビタミンAは視覚作用や、皮膚・粘膜の正常化を促す効果があります。また同様に多く含まれるビタミンCは、コラーゲンを生成する働きをするので、風邪予防や美容にもよいとされているビタミンです。
カロテン(ビタミンA)だけでなく、ビタミンCやK、葉酸、カリウム、鉄、カルシウムなど、他の栄養素もいろいろ含んでいる野菜もあります。
緑黄色野菜以外の野菜の総称
緑黄色野菜以外の野菜は、一般的に「淡色(たんしょく)野菜」と呼ばれます。正式には「その他の野菜」と称されていますが、緑黄色野菜に対し淡い色の野菜が多いので、このような呼び方が生まれたようです。
主な緑黄色野菜
緑黄色野菜には、具体的にどのような野菜が分類されているのでしょうか。緑黄色野菜としてよく知られているものから意外なものまで、代表格とされる緑黄色野菜を6種類ご紹介します。
カボチャ
カボチャは緑黄色野菜の代表格で、果実や種子を食用とする野菜です。カロテンの含有量は約700μgとされています。カロテン以外にもビタミンやミネラルが豊富で、煮物にして食べられることが多いです。種子は「パンプキンシード」と呼ばれ、おやつや酒のおつまみとして食べられています。
ニンジン
ニンジンは、カロテンを多く含む野菜の一つとして知られています。その含有量は約1300μgと、緑黄色野菜の中でも飛び抜けて多いです。ビタミンAもかなり豊富で、中くらいのニンジンを半分食べれば1日の必要量が摂れてしまうほどです。ニンジンは生でサラダとしてもよいですし、加熱すれば料理の具材としても活躍します。
トマト
トマトのカロテン含有量は約449μgと基準値の600μgを下回っていますが、食べられる量が多いため緑黄色野菜に分類されます。生食のほか、サラダや焼きトマトなど、トマトを主役とする料理も多いです。また調味料として、ケチャップやソースにも加工されます。
ピーマン
ピーマンのカロテン含有量は約208μgと少ないですが、よく食べられているため緑黄色野菜に分類されています。味が少し苦く、子どもの嫌いな野菜としても有名ですね。サラダや天ぷらにして素材の味を楽しむほか、酢漬けにされたり、青椒肉絲などの料理に用いられたりと幅広く活躍します。
ブロッコリー
ブロッコリーも、食べられる回数の多さで緑黄色野菜に分類された野菜のひとつです。カロテン含有量は約361μgですが、卵などに含まれるルテインの量が特に豊富で、約1403μgも含まれています。ほかにもビタミンCや鉄分、カリウムなどが含まれており、日本では生食よりも茹でたものにマヨネーズなどをつけて食べるのが主流となっています。
オクラ
オクラには約670μgものカロテンのほか、夏バテ対策に効果的といわれているビタミンAやカリウムが豊富に含まれています。刻んだときに出るヌメリは食物繊維でできており、コレステロールを抑える効果もあります。生食または軽く茹でて、マヨネーズや味噌などを付けて食べるのが主流です。
カブの葉
カブの果実はほとんど水分でできており、カロテンなどの栄養素はあまり含まれていません。しかしカブの葉は、カロテンを始めとした栄養素が豊富に含まれています。煮物や味噌汁として、果実と一緒に楽しまれることが多い食材です。
緑黄色野菜に間違われやすい野菜
続いて、よく緑黄色野菜に間違われやすい淡色野菜の一例を紹介します。淡色野菜はカロテン含有量は少ないものの、そのほかのビタミンやミネラルがたくさん含まれているので、緑黄色野菜と一緒に食べたい野菜です。
キュウリ
キュウリは頻繁に食べられていて表皮の色も濃いので、緑黄色野菜と間違われやすい野菜です。カロテン含有量が約330μgと基準値を下回るほか、果実を切ってみると中身の色は白っぽく、淡い色をしているのが分類されなかった要因であると考えられます。またキュウリに含まれるカロテンは、皮に多く含まれます。
ナス
ナスは可食部の93%が水分でできており、カロテンなどの栄養素は少ない淡色野菜です。表皮の色は濃いですが中身は白っぽいので、緑黄色野菜の主な特徴にも当てはまりません。しかし、ナスに含まれるアントシアニンやナスニンには抗酸化作用があり、ガンの予防に効果があるとされています。
トウモロコシ
トウモロコシは、カロテン含有量が600μgを下回る淡色野菜です。しかしながらビタミン群やカルシウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。日本で一般的なトウモロコシとして知られているのは、甘味種の「スイートコーン」です。
緑黄色野菜のおすすめの食べ方
緑黄色野菜には豊富な栄養が含まれていますが、現代人は野菜不足が深刻な問題となっています。緑黄色野菜にはにんじんやピーマンなど、子どもが嫌いな野菜にランクインする野菜も多いです。そんな緑黄色野菜をよりおいしく、より効果的に食べられるおすすめの食べ方を紹介します。
食べ方①油とともに加熱する
緑黄色野菜に含まれるカロテンは油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」なので、油脂と一緒に食べると吸収率がよくなります。サラダ油などで野菜炒めにしてもよいですし、カボチャやニンジンは天ぷらにしてもおいしいですよ。また、子供が嫌いがちなピーマンは、炒める前に切り方を輪切りにすることで、苦みを抑えられます。
食べ方②サラダにする
緑黄色野菜には生で食べられるものも多く、特にトマトやキュウリはよくサラダにされる野菜です。油が使われているドレッシングやマヨネーズをかけて食べれば、カロテンの吸収率もアップします。ホウレン草やアスパラガス、モロヘイヤなど、濃い緑の野菜を取り入れると色味も鮮やかになり、おいしそうに仕上がりますよ。
食べ方③スープやジュースにする
緑黄色野菜に限らず、野菜には頑丈な細胞壁があるため、生食では栄養の吸収率が悪くなりやすいです。しかしスープやジュースにしてしまえば細胞壁が破壊されるので、吸収率もぐっとよくなります。特にカロテンは熱に強い栄養素なので、スープにして溶け出たカロテンを丸ごと摂取できますよ。
まとめ
緑黄色野菜にはカロテンを始めとした栄養素やミネラルが豊富に含まれており、ガン予防や免疫力の向上に効果があるとされています。また緑黄色野菜だけでなく、淡色野菜もビタミンやミネラルなどの栄養が豊富です。両者ともバランスよく食べるようにし、どちらかに偏ることがないように心がけましょう。