夏の高山植物図鑑25選!花を観察しながら登山・山歩きを楽しもう!

夏の高山植物図鑑25選!花を観察しながら登山・山歩きを楽しもう!

梅雨が終わると夏の登山・山歩きシーズンの到来です。高山植物を観察しながら、さわやかな風の吹く夏の山を歩いてみませんか。日常的に見かける花々とは違った新鮮さと発見があることでしょう。この記事では比較的よく見かける夏の高山植物を、色系統別に25種ご紹介します。

記事の目次

  1. 1.高山植物とは
  2. 2.夏に咲く高山植物<白い花>
  3. 3.夏に咲く高山植物<ピンク色の花>
  4. 4.夏に咲く高山植物<黄色の花>
  5. 5.夏に咲く高山植物<青~紫色の花>
  6. 6.夏に咲く高山植物<赤~オレンジ色の花>
  7. 7.絶滅危惧種の多い夏の高山植物

夏に咲く高山植物<ピンク色の花>

①ヤナギラン(柳蘭)

Photo byCouleur

原産地 日本
分布 北海道~中部地方
開花時期 7~9月
群生地 霧ヶ峰(長野)、大江湿原(福島)
特徴 柳のような葉、草丈1m、ピンク色の総状花序

高原に咲く山野草のヤナギランは、草丈は50~100cmと見栄えがよく、夏に咲く花が大群生しているようすは圧巻です。「ヤナギ」の名称は葉の形がヤナギのような細い葉であることが由来です。通信販売で流通していますが耐暑性は弱いため、暖地で栽培する際には注意が必要です。

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ヤナギラン(柳蘭)とは?基本の育て方やおすすめの群生地をご紹介!
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②シラネアオイ(白根葵)

Photo by arudhio

原産地 日本
分布 北海道~中部地方
開花時期 5~6月
群生地 白根山(群馬)、苗場山(新潟)
特徴 カエデのような葉、花径4~8cm

初夏の野草のシラネアオイには、青味がかったピンク色のほかに白い花色もあります。30cmほどの草丈に咲く大きな花は開花期間も長く、カエデのような大きな葉も観賞価値が高いところから、山野草の愛好家たちにもとても人気のある花です。
 

ボタニ子

ボタニ子

園芸種並みに大きな花を咲かせる山野草なんだって

ボタ爺

ボタ爺

ゴージャスな花ということでヤマフヨウ(山芙蓉)、ハルフヨウ(春芙蓉)とも呼ばれてるんじゃ。花色も白、ピンク、赤紫、紫と豊富じゃよ

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③イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)

Photo by odako1

原産地 日本、朝鮮半島
分布 北海道~九州
開花時期 5~8月
群生地 伊吹山(滋賀~岐阜)、礼文島(北海道)
特徴 強い香りのある常緑低木、這い性

イブキジャコウソウは、這性タイプの初夏の野草です。ハーブのクリーピングタイムに属する常緑低木で、葉には薄荷(はっか)のような強い香りがあります。別名の百里香は、百里先までよい香りが漂うといわれることが由来です。夏に咲く花として園芸店などでポット苗が流通していますが、暑さと蒸れに弱いため涼しい地域での栽培をおすすめします。

ボタニ子

ボタニ子

イブキジャコウソウは日本在来の山野草でしょ?クリーピングタイムって違う品種?

ボタ爺

ボタ爺

クリーピングタイムの名称は、這い性タイプのジャコウソウ属の総称として使われておる。這い性タイプのタイムは世界中に350種ほどあるんじゃよ

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イブキジャコウソウの育て方!植え方や挿し木などの増やし方を解説!
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⓸コマクサ(駒草)

出典:写真AC

原産地 日本、東北アジア
分布 北海道~中部地方
開花時期 5~7月
群生地 岩手山(岩手)、燕岳(長野)
特徴 馬の顔のような花、パセリのような葉

高山植物の女王ともよばれるコマクサは、馬の顔を思わせる花の形状が名前の由来です。ほかの植物では生育が困難とされる砂礫地に、根を深く伸ばして自生しているたくましい夏の花です。日本の各地で絶滅危惧種に認定されており、長野の木曽駒ケ岳のように営林署が増殖活動を行っている地域もあります。

ボタニ子

ボタニ子

縦に長いつくりの花は確かに馬面かも…?

ボタ爺

ボタ爺

馬面でも高山植物の女王じゃな。絶滅危惧種じゃが通信販売での取り扱いもある。株全体に毒性があるから間違っても口にしてはいかんぞ。

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コマクサとは?高山植物の女王ともいわれる花の特徴・見分け方を解説!
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⑤カライトソウ(唐糸草)

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

原産地 日本
分布 北海道~中部地方
開花時期 6~10月
群生地 雪倉岳(富山~新潟)、白馬岳(長野~富山)
特徴 長いピンク色の雄蕊

カライトソウの「唐糸」とは絹糸を意味し、花穂が絹糸の集まりのように見えることが名前の由来です。青味がかった葉色はカラーリーフとして観賞価値が高く性質も強健のため、冷涼な地域ではガーデニングに取り入れるのもよいでしょう。極端な乾燥を嫌うので栽培する際には注意してください。

夏に咲く高山植物<黄色の花>

①ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)

Photo byWikimediaImages

原産地 日本
分布 北海道~中部地方
開花時期 4~8月
群生地 白馬岳(長野~富山)、乗鞍高原(長野)
特徴 花径2cmの5弁花、葉に鋸歯がある

ミヤマキンポウゲは、くっきりとした黄色の花が目にも鮮やかな夏の花です。湿った土壌を好み、沢の脇などの斜面に群生する姿は、夏の山野草の代名詞ともいわれています。同じように黄色の花を咲かせるキンポウゲ科の品種は多数あり、山を歩く人々の目を楽しませてくれます。

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ミヤマキンポウゲとは?似た花との見分け方や基本の育て方をご紹介!
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②ニッコウキスゲ(日光黄萱)

Photo by houroumono

原産地 日本、朝鮮半島
分布 北海道~中部地方
開花時期 5月上旬~8月上旬
群生地 霧降高原(栃木)、雄国沼(福島)
特徴 草丈60cm前後、直径7cmのラッパ型の花

ユリ科のニッコウキスゲは、夏に咲く花として登山者たちにもなじみ深い山野草です。日本各地に群生ポイントがあるため、調べて観察に行くのもよいでしょう。花は朝に咲き夕方にはしぼんでしまう一日花ですが、最盛期には辺り一面を黄色で埋め尽くすほどになります。
 

ボタニ子

ボタニ子

ニッコウキスゲの別名はゼンテイカ(禅庭花)というのよね

ボタ爺

ボタ爺

名前の由来は、①自生している戦場ヶ原を中善寺の庭に見立てた、②禅定と呼ばれる山々の山頂付近に咲いているから、という説があるんじゃ

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ニッコウキスゲは正式名を「禅庭花(ゼンテイカ)」といいます。夏になると日光の戦場ヶ原や尾瀬、霧ヶ峰など山地の高原に黄色の花を咲かせます。そこでニッコウキスゲの概要と名前の由来、花の特徴や開花時期と花言葉、名所や家での育て方もあわせてご紹介します。

③ハンゴンソウ(反魂草)

Photo by wlcutler

原産地 日本、朝鮮、モンゴル、ロシア
分布 北海道~中部地方
開花時期 7~9月
群生地 日光白根山(栃木~群馬)、鏡台山(長野)
特徴 草丈1~2m、下向きの手の形のような葉、黄花

反魂草の名前の由来は、複数あります。「薬効によって死者を蘇らせた」「供花として死者を呼び戻す」「掌状に裂けた葉の形が幽霊の手のように見える」などです。湿地を好む山野草で、大きいものでは2mほどに成長します。近似種にはオオハンゴンソウ(ルドベキア)があります。

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⓸トモエソウ(巴草)

Photo by anro0002

原産地 日本、朝鮮半島
分布 北海道~九州
開花時期 7~8月
群生地 栗駒沼倉地区(宮城)
特徴 巴紋型にねじれた花弁

トモエソウの名前は、花弁が少しねじれて「巴紋」のような形になるところからきています。オトギリソウ属のなかでは最も大きな品種で、草丈は50~130cmに成長し、直径5~8cmの一日花を咲かせます。園芸店にも流通し、株分けやこぼれ種でもふえることから、育てやすい夏の山野草といえるでしょう。

ボタニ子

ボタニ子

「巴紋」って、手裏剣やブーメランみたいな形よね

⑤クサレダマ(草連玉)

Photo byNennieinszweidrei

原産地 日本
分布 北海道~九州
開花時期 7~8月
群生地 入傘湿原(長野)、八幡湿原(広島)
特徴 湿地を好む、草丈40~80cm、薬用

クサレダマの「クサレ」という文字は、「腐れ」を連想されがちですが、マメ科のレダマ(連玉)と似ていることから草+連玉で「草連玉」と名づけられました。草丈は40~100cmで、円錐花序の黄色い花がとても美しい山野草です。別名は「硫黄草」で、花色の緑がかった黄色が硫黄を思わせることが由来です。

ボタニ子

ボタニ子

最後のページでは、青~紫系と赤~オレンジ系の夏に咲く高山植物をご紹介しますね

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夏に咲く高山植物<青~紫色の花>

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