梨の花とは？見た目はどんな特徴？開花の時期・季節や花言葉も紹介！

梨の木は主に、梨の名産地の梨畑やフルーツパークなどに植えられています。新潟市南区の大郷（だいごう）地区、富山市の呉羽（くれは）丘陵、長野県の松川町、奈良県の大阿太（おおあだ）高原などが有名です。また、鳥取県では二十一世紀梨の花が県花となるほど、梨の栽培が盛んです。

梨の花祭りが開催される場所もあります。東京都稲城市（いなぎし）、茨城県筑西市（ちくせいし）、奈良県大淀町（おおよどちょう）などです。夜のライトアップや飲食店、ステージやウォーキングなど、趣向を凝らしたイベントと一緒に梨の花が楽しめます。満開の時期とお祭り開催がずれることがあるため、花を見るのが目的の場合は注意が必要です。

梨は「無し」の意味があるとして、家の庭には植えないという風習もありますが、縁起がよいという見方もあります。鬼門の方角に梨を植えると、「鬼門無し」で縁起がよいというのです。また、梨という字が木の上に「利」と書くこと、黄金色の実をたくさんつけることから、金運アップの縁起木ともいわれます。注意してみれば、意外に身の周りにも梨の木が植えられているかもしれません。

梨の開花は桜と同様に、その年の天候に左右されるうえに花期が短いので、いつ咲くのかよく見極めて出かけましょう。また、梨の花を愛でるには、よく晴れた日の空が青い時間帯がおすすめです。梨の花は白いので、空が雲で白っぽいと背景にとけ込んでしまい、映えないかもしれません。夕暮れ時やライトアップが入るころの時間帯は、白い花びらがほんのりと染まって特に美しいという方もいます。

雨上がりの時間帯の梨の花も素敵です。中国では、春雨に濡れた梨の花を、美女（楊貴妃）が恋人（玄宗皇帝）を思いながら一人涙を流す様子に喩えたといいます（『長恨歌』）。雨のしずくが残る梨の花を愛でながら、玄宗皇帝と楊貴妃の恋に思いを馳せるのも風流かもしれません。個人個人の好みもあるため、自分のお気に入りの表情をみせてくれる時間帯を探ってみるとよいでしょう。

中国では、梨の花を楊貴妃に喩えたほどですから、たいへん美しいものとされていました。その美しさはいくら褒めたたえても足りないと評され、詩文にも詠まれていたのです。しかし日本では梨の花を愛でたり、和歌に詠んだりすることはほとんどありませんでした。清少納言の『枕草子』でも、梨の花は味気なく、枝に手紙を結んで送ることもしないと表現されています。

夏から秋の季節に食べるとシャリッとみずみずしい梨。その花は日本ではあまり観賞されてきませんでした。しかし、春の梨畑が一斉に開花の時期を迎えると、辺りは一面白い絨毯を敷いたように美しく、魅了される人が増えています。春の到来を祝うかのように咲き誇る梨の花を、見に出かけてみてはいかがでしょうか。