どんぐりの概要
どんぐりは、椎の実やコナラの実などブナ科の木の実の俗称です。ブナ科の木は北半球を中心に世界各地に分布し、日本には約22種類のどんぐりの木があるといわれています。どんぐりの木は雑木林のほか、神社や公園などにも植えられていて、秋になると枝に実ったどんぐりや、地に落ちているどんぐりが見られます。
栗もどんぐりなの?
どんぐりといわれることはほとんどありませんが、栗もブナ科クリ属の実で、ブナ科の実を表すという広い意味ではどんぐりの仲間です。狭い意味のどんぐりはコナラやクヌギなどを指すため、栗は含まれません。
ボタ爺
どんぐりの形状
どんぐりは、かたい皮に包まれた堅果(けんか)で、その年に実る一年成と翌年に結実する二年成があります。形は、コナラなどの細い楕円形や、クヌギのような丸みのある形などさまざまです。お椀のような殻斗(がくと)が、堅果の一部や全体を包んでいます。
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殻斗は、俗にいう、どんぐりの帽子やハカマの部分じゃ。
どんぐりの栄養成分
デンプンが多く含まれるどんぐりは保存しやすく、カケスやリスなどの貴重な食料です。カリウム、マグネシウム、カルシウムなどもバランスよく含まれていて、動物だけでなく、人間も縄文時代から食べてきた痕跡が残っています。タンニンの量が多い種類のどんぐりは渋味が強く、水にさらすか火を通すなどのアク抜きが必要です。
<参考>椎の実分可食部分100gあたりの含有量
エネルギー | 252kcal | 炭水化物 | 57.5g | 脂質 | 0.8g |
タンパク質 | 3.2g | 食物繊維 | 3.3g | 鉄 | 0.9mg |
カルシウム | 62mg | マグネシウム | 82mg | 亜鉛 | 0.1g |
カリウム | 390mg | ビタミンC | 11g | リン | 76mg |
渋味の程度
渋味がほぼない | スダジイ、ツブラジイ、クリ |
渋味が少ない | マテバシイ、イチイガシ、ブナ、イヌブナ、シリブカガシ |
渋味がある | コナラ、ミズナラ、クヌギ、アベマキ、カシワ、ナラガシワ、ウバメガシ |
渋味が強い | アラカシ、シラカシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、オキナワウラジロガシ、ハナガカシ |
渋抜きした粉を団子にしたり、パンやクッキーに混ぜて焼いたりするんだね。
どんぐりの見分け方
どんぐりの木の名前がわからないときや、いくつかの種類のどんぐりが落ちていて、どれがどのどんぐりの木の実かわからないときは、まず実の形や大きさ、殻斗の形を見てみましょう。それでもわからない場合は、幹や葉の形状や生育地などからどんぐりの木の名前を割り出すとよいでしょう。
①堅果の形や大きさ
どんぐりの形は、先がとがった細長い楕円形が多く、球形に近い種類(クヌギ、アベマキ)やそばの実のような三角錐の形(ブナ、イヌブナ)などもあります。長さや大きさ、色などで種類を見分けます。一番大きなどんぐりはオキナワウラジロガシで、栗、クヌギやアベマキ、カシワも大きめのどんぐりです。小さなどんぐりは、ツブラジイ、スダジイ、ブナなどです。
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クヌギの大きさは直径が2~3cmくらいじゃ。同じどんぐりの木でも大きさには個体差があるぞ。
ブナは三角錐の形、ツブラジイは小さくて黒っぽくて丸みがある!特徴的などんぐりは、見分けやすいですね。
②殻斗の形
どんぐりの種類を見分けるときに注目したいのは、堅果を覆う殻斗の状態で、次の4つに大別されます。①浅いお椀形で、鱗片がうろこ(網目)状のタイプ、②浅いお椀形で、鱗片が横じま模様、③全体をすっぽりまたはチューリップのような形で包む、④イソギンチャクのようなヒゲ状のタイプです。栗のイガは④のヒゲタイプですね。
③そのほかの見分け方
どんぐりの木の名前がわからない場合は、木の生育地や葉の特徴で見分けましょう。まず、常緑樹か秋に葉の枯れる落葉樹で見分けます。また、ブナやナラの仲間は東日本に多く、椎の仲間は西日本に多くみかけられます。
常緑樹 | スダジイ、ツブラジイ、マテバシイ、シリブカガシ、アラカシ、ウバメガシ、アカガシ、シラカシハナガカシ、イチイガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、オキナワウラジロガシ |
落葉樹 | ブナ、イヌブナ、コナラ、ミズナラ、クヌギ、アベマキ、カシワ、ナラガシワ、栗 |
主などんぐりの種類<コナラ属><ブナ属>
コナラ
属名 | コナラ属 |
形態 | 落葉樹 |
分布 | 北海道~九州 |
堅果 | 細長い、茶色 |
殻斗 | 浅いうろこ状 |
コナラの実は、イラストなどでよく見かけられる形のどんぐりです。細長い楕円形の堅果にうろこ状の浅い殻斗がかぶさっています。東北地方を中心に、実を粉にして団子などにして食べられてきました。アクが強いため、生食には向いていません。野鳥や野生動物が好んで食します。
コナラの概要
コナラの木は、北海道から九州の山林に分布する落葉樹です。炭や薪としての需要が多かった時代に、民家に近い里山などに植栽されました。葉は先が広い楕円形で先端はとがっていて、縁にはギザギザがあり、秋には黄色~赤く色づきます。また、4月~5月に黄褐色の小さい花が咲きます。
コナラという名前は、ミズナラ(オオナラ)に比べて全体的に小ぶりなことからきています。別名はホウソやハハソです。
コナラとミズナラの見分け方
よく似ていますが、ミズナラよりコナラのほうが小ぶりです。葉の付け根の葉柄の長さで見分けられます。コナラは葉柄が長めで、ミズナラは葉柄がないかとても短いです。
クヌギ
属名 | コナラ属 |
形態 | 落葉樹 |
分布 | 岩手以西の日本各地 |
堅果 | 直径約2cmの丸形 |
殻斗 | お椀型、鱗片がヒゲ状 |
クヌギの実は、直径が約2cmの丸形の堅果と、お椀のような殻斗から針状の鱗片が反り返って伸びています。実は渋くてそのままでは食べられませんが、縄文時代の遺跡から土器と共に見つかっており、アク抜きして食していたと考えられています。
クヌギの概要
クヌギは、北海道以外の日本各地の山林に自生しています。コナラとともに関東の雑木林に多い落葉広葉樹で、成長が早く伐採後の切り株からの萌芽更新も著しいため、薪や炭づくりに重宝されてきました。葉は縁に針状の鋸歯(ギザギザ)のある長楕円形で、鋸歯の先が黄緑色です。
樹液を吸いにカブトムシやクワガタが寄ってくるから、昆虫愛好家にも人気の木だね。
クヌギとアベマキの見分け方
コナラ属のアベマキ(別名:コルククヌギ)とクヌギの実は、ヒゲ状の殻斗があり、よく似ています。樹皮などいくつかの違いがありますが、個体差があって見分けがつきにくい場合があります。
クヌギ | アベマキ | |
堅果 | 約2cmで丸い | 球形または楕円 |
葉の裏 | 緑色 | 星状毛があり白っぽい |
樹皮 | 弾力はあまりない | 成長するとコルク層が発達 |
生育地 | 関東に多い | 西日本に多い |
ボタニ子
次のページで、カシや椎の仲間をご紹介!
どんぐりを漢字で書くと団栗じゃからな。