葉牡丹の概要
基本情報
学名 | Brassica oleracea var. acephala |
科・属名 | アブラナ科・アブラナ属 |
園芸分類 | 草花 |
原産地 | ヨーロッパ(地中海沿岸など) |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
形態 | 一年草扱い(多年草) |
葉牡丹はヨーロッパが原産のアブラナ科の草花です。キャベツの仲間で、結球しないキャベツやケールを改良した品種だといわれています。日本には江戸時代あたりに持ち込まれ、当初は食用でしたが、次第に観賞用に改良が進みました。
葉牡丹の特徴
花のようなカラーリーフ
葉牡丹の外側の葉は緑色で、寒くなると内側の葉が赤紫色やピンク、クリーム色などに発色し、花のような形になるのが特徴です。葉の重なり方が牡丹の花に似ていることから、葉牡丹の名前が付きました。短い茎から葉が広がりますが、切り花用に改良した茎の長い高性品種もあります。
葉牡丹は草花ですか?野菜ですか?
葉牡丹はキャベツや菜の花の仲間で野菜としても栽培されていましたが、現在の品種は観賞用の草花です。食べられなくはないですが、市販の苗は矮化(わいか)剤や農薬が使われていることもあるため、食用には向いていません。
ボタ爺
矮化剤とは、植物を小さく育てるホルモン剤じゃ。枝や花がまとまって見栄えがよいので、観葉植物などに使われるぞ。
一年草扱いの多年草
ボタニ子
パステルカラーのツリーみたいで、かわいい!
葉牡丹は冬を中心に晩秋~早春の葉が見ごろです。葉だけを観賞する一年草(越年草)として育てるのが一般的ですが、本来は多年草です。春には茎が伸びて三角錐の形になり、花茎の先に黄色い花が咲きます。花後は莢(さや)がなり、夏に種ができます。
葉牡丹の栽培カレンダー
季節ごとのポイント・作業
夏は種まき(種から育てる場合)
葉牡丹は気温が20℃程度が発芽しやすいため、種まき適期は7月~8月ごろです。正月用に間に合わせるには、7月中に種をまいて育てましょう。蒸らさないように日陰で育苗ポットに種をまき、発芽後は日の当たる場所に置いて育てます。
秋は植え付け
発芽後は、日の当たる場所で間引きしながら育苗ポットで育てます。気温が低くなって発色が始まる秋に、庭かプランターに植え付けてください。
苗から育てるなら冬に入手
葉牡丹の葉は寒くなると内側の葉の発色がよくなるため、冬が見ごろです。苗から育てるなら、初冬~正月準備のころに多くの種類の苗が園芸店やホームセンターに並ぶため、好みの色や葉の種類を入手しましょう。
葉牡丹は寒さに強いですが、霜害や凍害が起こります。寒冷地では室内管理や寒冷紗を使うなど防寒対策が必要です。
春に花茎切りや処分
ボタニ子
葉牡丹って、いつまで育てたらいいのかな?
多年草として育てるなら、春に伸びた花茎を切って枝分かれを促すと、「踊り葉牡丹」と呼ばれるユニークな形に育てられます。一年草として育てる場合は、春に花が咲く前か、花後に種を採ったあとに株を処分します。
葉牡丹の育て方【種まき~育苗】
種まきの適期と準備
葉牡丹の種まきに適した時期は、7月~8月です。寒冷地では6月ごろからまきはじめましょう。用土は小粒赤玉土とバーミキュライトを2:1程度の割合で混ぜて使います。市販の種まき・挿し芽用培養土でもかまいません。使い古しでなく、肥料の入っていない清潔な土を使いましょう。
ボタ爺
葉牡丹は寒くなると発色を始める。寒さが早くやってくる寒冷地では、それまでに苗を大きくさせるために早めに種をまいて育てるんじゃ。
市販の草花用培養土は肥料が含まれていることもあるので、「種まき用」を使ってくださいね!
育苗ポットの大きさ
育苗ポットか育苗トレイなどに種をまきます。トレイはどのような大きさでも問題ありませんが、最初から育苗ポットで育てる場合は大きさを選んでください。ミニ葉牡丹なら直径6~9cm程度のポット、大きめに育てる場合は直径12cm程度の大きさが目安です。
手順
- 用土を育苗ポットか育苗トレイに入れて、水で湿らせる
- 種を1ポットに数粒ずつまく(トレイにはすじにまく)
- 3mmくらい用土を被せて水やりする
- 日陰か半日陰に置き、発芽まで乾かさないように管理する
- 発芽したら日当たりのよい場所におく
- 本葉4枚くらいのときに間引きする
育苗トレイのほうは、ピンセットなどを使って1株ずつ育苗ポットに鉢あげして育てます。ポットに入れる土は、赤玉土と腐葉土を6:4でブレンドしてください。
発芽~育苗の環境とポイント
夏の暑い時期に種をまくため、発芽までは風通しのよい日陰か半日陰に置き、蒸れさせず、乾燥させないようにしましょう。発芽後は、日当たりをよくして育てます。
ボタ爺
発芽後にいつまでも日陰に置いておくと、徒長といって無駄にひょろ長くなってしまうから、気をつけてな。
育苗のポイント
品種にもよりますが、育苗時のポットの大きさや1ポットで育てる株数によって、ある程度のミニ株や大きめの株が作り分けられます。小型に育てるなら直径9cmくらいの育苗ポットに1~3株、大きく育てるなら直径12cmほどのポットに1株が目安です。
葉牡丹の育て方【植え付け】
鉢植え
種から育てた苗、または市販の苗から植え付けます。茎が太く葉数の多い苗を選んでください。赤玉土と腐葉土を6:4の割合で混ぜ合わせた土を使います。市販の草花用培養土を使うなら、酸度調整済みと書かれた製品が望ましいです。プランターはどのような種類でも植えられますが、排水口の小さい鉢に植える場合は鉢底石を多めに敷いてください。
種から育てた苗の植え付け適期は、9月~10月ごろです。購入した苗は入手したときに植え付けてください。
植え方
- 水はけをよくするため、プランターに鉢底石を敷く
- 土を少し入れ、元肥として緩効性肥料を混ぜる
- 肥料が隠れるくらいに土を入れてから、苗を植える
- 残りの土を入れ、水やりする
寄せ植えのポイント①正月用
白と赤紫色の葉牡丹は、正月用の寄せ植えによく使われます。花言葉は「祝福」「慈愛」「利益」です。ミニ葉牡丹・大型株ともに、南天や松などと一緒に植えるとセンスよくおさまります。
お正月用の寄せ植えはいつまで飾ってよい?
正月用の寄せ植えにした場合は、松の内(7日、地域によっては15日)を過ぎたら片付けます。葉牡丹の見ごろはまだ続くため、葉牡丹だけ残すか別の寄せ植えを作り直すとよいでしょう。
寄せ植えのポイント②あわせやすい植物
アイビーやハツユキカズラ、シロタエギクなどのリーフ系を一緒に植えると葉牡丹が映えます。花は同じ季節に咲くビオラやスイートアリッサムなどがあわせやすいでしょう。
寄せ植えのポイント③高低差をつける
葉の形の異なる葉牡丹や高性種とミニ葉牡丹、大型株などを立体的に植えあわせてもおしゃれです。根が強いため、高さを調節して深植えにしても問題ありません。
庭植え
適した場所と土壌
庭植えは、日当たりと水はけのよい場所が適しています。アブラナ科の連作障害を避けるため、2~3年間葉牡丹などアブラナ科の植物を植えてないところに植えましょう。土壌はできれば弱酸性が望ましく、苦土石灰を少しまいて酸度調整してください。水はけが悪そうなら腐葉土を混ぜるとよいでしょう。
苦土石灰は、植え付けの1~2週間前に鋤き込んでおきましょう。
植え方
発色した葉牡丹はそれ以上横に広がらないため、株間をあけずに植えても問題ありません。大株は花壇の縁取りにでき、苗が多ければほかの花との色合わせを工夫して円形や列状に長く植えるなどするとおしゃれです。
出典:写真AC