フィロデンドロンは種類が豊富
フィロデンドロンは約250~700の種類があるといわれる熱帯~亜熱帯地域原産、サトイモ科の多年草です。茎はつる性や半つる性で樹木に着生したりほふくや直立したりする種類があり、原種・希少種などさまざまな種類が観葉植物として育てられています。
葉の形や色が豊富
フィロデンドロンの葉は、枝からたがい違いに生え(互生)、卵のような形や長い卵形、ハート形やカギ形など、さまざまな形をしています。葉色は緑だけでなく斑入りやピンク、黄色みを帯びたものなどいろいろな種類があるために、癒しを求める観葉植物としてだけでなく、コレクションとしても人気があります。
花はサトイモ科特有
フィロデンドロンの花は、ミズバショウなどサトイモ科の植物に見られる仏炎苞(ぶつえんほう)を持つ肉穂花序(にくすいかじょ)です。花びらに見える外側が仏炎苞、真ん中が肉穂花序です。どちらも種類により白や赤、ピンクなどさまざまな色があります。開花時に大きく開く仏炎苞は、わずか1日で閉じてしまいます。
ボタニ子
日本で観葉植物として育てるフィロデンドロンは、ある程度成長して環境や条件が整えば花が咲くわ。
ボタ爺
フィロデンドロンのように、分厚い花軸に花が密集して咲くものを「肉穂花序」というぞい。
ボタニ子
その肉穂花序を保護するために葉が変化したものが「仏炎苞」なのよ。
フィロデンドロンの種類【①~⑥】
①フィロデンドロン・グラジエラエ
フィロデンドロン・グラジエラエは、肉厚でハートの形をした葉が特徴的なつる性の品種です。葉や少し太めの茎が鮮やかな黄緑色でかわいらしく、ハートフィロデンドロンという名で販売される場合もあります。
②フィロデンドロン・バーキン
フィロデンドロン・バーキンは艶のある緑色に葉脈のような白い斑の入った葉が特徴的な品種です。新芽のうちは葉が白く、枝や幹ではなく地表面から直立する葉姿が上品で高級感のある観葉植物として注目されています。光が不足すると葉色が悪くなるため注意しましょう。
ボタニ子
フィロデンドロン・バーキンは、ほかの種類の突然変異から偶然生まれた比較的新しい園芸品種です。
③フィロデンドロン・グリーンプリンセス
フィロデンドロン・グリーンプリンセスは艶のある濃い緑色の葉が美しい品種です。葉は小さめで枝分かれが盛んなことから、こんもりとした姿が美しく部屋の観葉植物にピッタリです。
ボタニ子
グリーンプリンセスは丈夫な品種なので肥料をたくさん与えなくても育ちます。
ボタ爺
肥料を与えすぎるとすぐに大きく育ってインテリアとしての樹形が崩れやすくなるぞ。
④フィロデンドロン・リネッティ
フィロデンドロン・リネッティは鳥の羽根のような形の葉脈があり、葉の裏側はやや白いフィロデンドロンです。寿命が短く、一般的に生産されていないためにレアな品種とされています。たまに観葉植物専門店に入荷し販売されるときがあります。
ボタニ子
フィロデンドロン・リネッティの仏炎苞は緑がかった白、肉穂花序は白です。
⑤フィロデンドロン・シルバーメタル
フィロデンドロン・シルバーメタルはフィロデンドロン・インベとも呼ばれます。インベにはアカインベ、クロインベなどの種類があり、シルバーメタルは初心者向け園芸種のひとつです。葉の色がメタリックなシルバーでややビニールのような柔らかい質感が特徴的な品種です。
ボタニ子
フィロデンドロン・シルバーメタルは流通量が多く、園芸店やネットで比較的簡単に購入できます。
⑥フィロデンドロン・インペリアルレッド
フィロデンドロン・インペリアルレッドは、仏炎苞も肉穗花序も赤く、鮮やかな赤い色の新芽が美しい品種です。葉は成長すると少しずつ深い緑色に変化します。
フィロデンドロン・インペリアルレッドはやや成長が遅く形が崩れにくいため、インテリアにぴったりですね。全体的に大きくダイナミックな形に成長しますが、部屋の中央など光の届きにくい場所に置くと葉に勢いがなくなるため注意しましょう。
フィロデンドロンの種類【⑦~⑬】
⑦フィロデンドロン・セローム(ヒトデカズラ)
フィロデンドロン・セロームは大きな葉にヒトデのような形の大きな切れ込みの入った、南ブラジル原産の直立型品種です。生まれたてのフィロデンドロン・セロームの葉は丸く、3年目ごろより切れ込みが入り始め、古い葉が落ちた後は茎に跡が残ります。
ボタニ子
フィロデンドロン・セロームは流通量が多く南国風の観葉植物として大変人気のある品種です。
ボタ爺
フィロデンドロン・セロームは光が不足すると葉柄が垂れ下がり元気なく見えるので要注意じゃ。
⑧フィロデンドロン・ホープ
フィロデンドロン・ホープはセロームの園芸品種です。セロームの中でも葉が垂れ下がりにくいところから、スタイリッシュな姿が保ちやすいのが魅力です。乾燥に強く、水を与えすぎると葉が垂れ下がる原因になるため、鉢の土が乾いてから水を与えましょう。
⑨フィロデンドロン・クッカバラ
フィロデンドロン・クッカバラはブラジル原産の観葉植物です。セローム同様に切れ込みのある葉が茎の先につき、葉が落ちた後も葉の跡が残ります。根は空気中の水分を吸収し、土につくと土の養分を吸収します。特徴がセロームと似ていますが、クッカバラのほうが全体的にコンパクトです。
ボタニ子
「クッカバラ」はオーストラリアに生息するワライカワセミのことです。
ボタ爺
葉の形がワライカワセミの羽根に似ていることから、フィロデンドロン・クッカバラという名はつけられたのじゃ。
⑩フィロデンドロン・アンドレアヌム(ビロードカズラ)
フィロデンドロン・アンドレアヌムはコロンビア原産のつる性のフィロデンドロンです。ビロードのような光沢があり、緑色に白い葉脈が映える葉は、上品なインテリアにもピッタリです。流通量も多く手軽に手に入ります。室内でハンギングで飾るときは、エアコンの風で空気が乾燥しないように気をつけて管理しましょう。
⑪フィロデンドロン・ビレッティア
フィロデンドロン・ビレッティアは巨大な矢じりのような形の葉を持ち、オレンジ色の葉柄と大きく個性的な葉の組み合わせが美しい品種です。耐陰性があるために室内のインテリア向きです。流通量が少なく、なかなか手に入りづらいため、レアな品種とされています。
ボタニ子
フィロデンドロンの希少種は観葉植物の専門店に相談すると購入しやすいですよ。
⑫フィロデンドロン・シャロニアエ
フィロデンドロン・シャロニアエは、エクアドル原産の屋根のようなデコボコがある大きな葉が特徴的な品種です。葉の大きさは1m程度まで大きくなるときもあり、フィロデンドロンのファンの間では人気がありますが、流通量は少なくとてもレアな品種とされています。
⑬フィロデンドロン・ジョーピー(ムーネニー)
フィロデンドロン・ジョーピーは葉の形が個性的なフランス領ギアナ原産の品種です。若いうちは葉の切れ込みは少なめで、成長するにしたがい、大きく細長く独特の形に変化します。25℃以上で勢いよく成長し、20℃を下回ると成長の速度が落ちるために、1年で数枚しか葉が出ない場合もあります。
ボタニ子
フランス領ギアナで発見されたときは、虫が葉を食べてしまったと思われていたそうですよ。
ボタ爺
フィロデンドロン・ジョーピーは白い花序の花が咲くのじゃ。
出典:写真AC