ノビルの食べ方
ノビルは、外側の皮とネギボウズ以外はすべて食べられるおいしい野草です。全体的にはネギに近い風味で、場所によっては違った食感を楽しめます。球根は、ラッキョウや玉ねぎのような食感と風味があります。一方、茎はニンニクの芽のようなキュッキュとした歯ごたえが魅力です。しかしネギボウズができた茎は硬くなっているため、まだ若いものを選びましょう。
あく抜きは必要ない
ノビルにはあくがないため、あく抜きは必要ありません。一番外側の薄皮をむいて全体をよく洗えば、それだけで下処理が終わります。まるで野菜のような下処理の手軽さが嬉しいですね。ただし、ニンニクなどと同じように硫化アリルを含むため、食べすぎには注意しましょう。
ノビルの食べ方①炒めもの
ノビルの油炒めも相変わらずクソ美味いな pic.twitter.com/qgjI7HnYiZ
— たま屋敷 (@pomiformis_tama) March 3, 2017
ノビルの香りは、油とあわせるとよりよく引き立ちます。そのため、はじめて食べるときにはまず炒め物にするのがおすすめです。ノビルだけを炒めるときは長いまま、ほかのものと一緒に炒めるときは食べやすい大きさに切ってから炒めるとよいでしょう。球根も一緒に入れると、食感の違いが楽しいですよ。
ノビルの食べ方②天ぷら
ノビルの球根の風味は、天ぷらにすることでより一層楽しめます。サクッとした衣の中から、ショリショリとした食感とノビルの香りが飛び出してくる、春を楽しめる一品です。また、ざく切りにした葉を小エビと一緒にかき揚げにするのも、春の魅力を存分に味わえますよ。
ノビルの食べ方③パスタ
というわけで出来ました。有川せんせの「植物図鑑」のノビルパスタ。
— さとり (@str1783) February 24, 2021
セイヨウカラシナがみっからんかったのでわさび菜で代用です。 pic.twitter.com/TI0pZxUF2l
ノビルがたくさん手に入ったときは、オイルパスタにするのもおすすめです。フライパンにオリーブオイルを温め、ベーコンを炒めます。ノビルの球根を足してさっと炒めたら、一口大に切ったノビルの葉を加えます。ゆでたスパゲティを入れて全体をよく混ぜたらできあがりです。ベーコンによって塩気が違うため、味が薄いときには塩を加えてください。
ノビルの食べ方④餃子
ネギやニラを使う料理なら、ノビルの葉をそのまま置き換えて使えます。卵焼きに入れたり味噌汁の薬味にしたりと、普段の料理として気軽に食べられます。もちろんネギがメインの料理でも大丈夫、酢味噌和えやチヂミにしてもよいですね。特に餃子にたっぷりと加えると、肉汁の旨味でノビルの風味がぐっと引き立ちますよ。
ノビルと間違いやすい植物
ノビルはどこでも手に入る植物ですが、よく似た毒草が多いという欠点があります。注意して気をつけていれば見分けがつくものですが、知らずに食べてしまい中毒を起こす事故が毎年全国で発生しています。ノビルはおいしい野草だからこそ、正しい知識を持って採取することが大切です。
ノビルと間違いやすい植物①タマスダレ
タマスダレは、ヒガンバナ科タマスダレ属の植物です。夏の終りごろに白くきれいな花を咲かせますが、春先の若い姿がノビルとよく似ています。しかし草全体にリコリンを含み、食べると嘔吐や痙攣などの症状を引き起こします。
ノビルと間違いやすい植物②スイセン
スイセンは、ヒガンバナ科スイセン属の植物です。寒い季節に花を咲かせるため、冬場になると花壇などに植えられています。草全体にリコリンやタゼチン・ガランタミンなどを含み、ときに死亡事故の原因となるのです。しかし葉がノビルやニラと似ているため間違えられやすく、有毒植物による食中毒の中でも特に高い割合を占めています。
ノビルとほかの植物の見分け方
ノビルをほかの有毒植物と見分けるためには、まず葉をちぎって匂いをかいでみましょう。ノビルにはニラのようなにおいがありますが、タマスダレやスイセンにはそれがありません。また、葉にツヤがない点も見分ける一つのポイントです。きちんと球根まで抜くことで、より確実に確かめられます。ノビルの球根は白くて丸い形をしていますが、タマスダレやスイセンの球根は茶色い鱗片形です。
ボタニ子
毒のある植物を食べて食中毒を起こしたニュースは毎年見かけるけれど、身近な花がこんなに毒を持っていたからなのね。
ボタ爺
とにかくにおいと球根を確認するようにすれば、毒草と間違えることはないぞ。確認をおこたらないことが何より大切なんじゃ。
ノビルの駆除
味がよく人気の高いノビルですが、どこにでも生えるというのはときに問題にもなりえます。畑や空き地などに一度定着すると、なかなか駆除できないからです。球根でも増えるため地上部を刈るだけでは対処できないこと、一年の中でも特に雑草の増える夏場には地上部が枯れていることも駆除の妨げの一つです。
畑にとっては厄介もの
ノビルは秋に発芽し、冬の終わりにはネギやニラに似た葉が伸びてきます。初夏には小さな花やムカゴをつけ、梅雨入りのころに地上部が枯れて休眠します。すなわち、ノビルは球根・種・ムカゴの3つの方法で子孫を増やすのです。特に種とムカゴは水に浮くため、雨や川の流れで広範囲に広がっていきます。
ラウンドアップが有効
増えすぎたノビルの駆除には、ラウンドアップが効果的です。これは地上部と地下部の両方で増えるため、根から駆除するタイプの除草薬が必要になるからです。秋のうちに地上部を刈り取ったあと、50倍に希釈したラウンドアップを散布するとよいでしょう。秋から冬にかけては雑草が増えにくい時期のため、ノビルが生えている場所がわかりやすくおすすめですよ。
ラウンドアップ
ラウンドアップ
参考価格: 1,873円
ラウンドアップは、非常に強力な除草剤です。ノビルのように球根などで増えていく雑草は、地上の葉を枯らしても地下に残っている場合が多くあります。しかしラウンドアップは、地下の細かい根や球根まで駆除します。かなり強力な薬品のため、畑に野菜がない状態で使用しましょう。
ノビルで春の香りを楽しもう
ノビルは、ニラのような香りと丸い球根が特徴的な、身近な野草です。人間が暮らしているところなら大抵の場所に生えており、春先には旬の風味を存分に楽しめます。しかし丈夫なため、畑などに侵入されると非常に厄介です。また、よく似た毒草があることにも気をつけなければいけません。正しい知識を使ってノビルの季節を楽しみましょう。
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出典:写真AC