ブラックキャットの育て方【準備~育苗】
栽培環境
ブラックキャットの自生地は直射日光の当たらない、熱帯地方の森林のこもれびが落ちるような場所です。土は肥沃で温度、湿度ともに高い場所を好みます。ブラックキャットを日本で栽培する場合、温度と湿度、日当たりに気をつけることが大切です。屋外での栽培は直射日光を避け、夏場は寒冷紗などで日陰を作ります。室内ではレースのカーテン越しに、日差しが当たる場所がよいでしょう。
ボタニ子
ボタ爺
直射日光のような強い日当たりだと、葉がやけどしてしまうよ。やさしい日当たりの場所で管理しよう。
地植えより植木鉢で
- 夏場の直射日光を避けたり冬場室内へ移動したりすることを考えると、地植えよりも鉢植えがおすすめ
用土
ブラックキャットは水を好む植物ですが、水はけも大切です。専門の用土はないため、観葉植物用の用土で代用しましょう。自作する場合は、小粒の赤玉土、ピートバン、バーミキュライトをまぜたものや、赤玉土の代わりに鹿沼土を混ぜたものがおすすめです。軽石をまぜると、より水はけがよくなります。湿度を高めにたもって栽培するため、カビ防止のためにも清潔な土を選んでください。
水はけも大切
- 水はけが悪い用土を選ぶと根腐れの原因になる
植え付け
ブラックキャットの植え付けや植え替えは、4月~5月がおすすめです。ブラックキャットは熱帯植物で耐寒性が弱いのため、気温が15℃を下まわらなくなったタイミングで植え付けます。苗を購入した場合や根詰まりを起こしている際も、寒い時期は避けて暖かくなってから植え付けや植え替えをしてください。植え付けや植え替えをしたあとは、1週間~2週間半日陰で管理しましょう。
種から育てる場合
ブラックキャットの種からの育て方は、難易度が高めです。種自体も流通が少なく、種の鮮度によって発芽率が低くなります。ブラックキャットの種は新鮮なほど発芽率が高く、自家栽培で採種した種はすぐにまくのがおすすめです。採種したブラックキャットの種を保存する場合は、種がゼリー状のものでおおわれているため天日で乾かしましょう。
種まき方法
- 種を30℃~35℃の湯の中で24時間つけておく(ポットを使うとよい)
- 清潔な土をトレイやポットにしきつめ種をまく(底に穴のあいているもの)
- 25℃~28℃が発芽に適しているため保温する(ペット用のホットカーペットなどがよい)
- 種を乾かさないようにラップをする(穴はあけない)
- 発芽するまで、25℃~30℃のぬるま湯をこまめに水やりする(底面給水でも可)
- 明るい暖かい場所で管理する
- 1カ月~1年で発芽する
肥料
ブラックキャットには、植え付けのタイミングでリン酸多めの窒素、カリが入った肥料を与えます。肥料が入っている用土を使用する場合は、成長期~花期にかけて液体肥料を1カ月に1回~2回追肥してください。緩効性化成肥料を置き肥してもよいでしょう。ブラックキャットに追肥するのは成長期~花期の6月~10月までで、休眠に入る冬には与えません。
水やり
ブラックキャットの自生する東南アジアには、短時間にバケツいっぱいの水をひっくり返したようなスコールという雨が降ります。自生のブラックキャットは、降雨で水分を補給しています。ブラックキャットを栽培する際は、乾燥する前にたっぷりと水やりしましょう。植木鉢の底から水が流れ出すくらい与えてください。
ボタニ子
ブラックキャットにたっぷり水やりしたあと、鉢皿に水がたまっていたら捨ててね。
ブラックキャットの育て方【支柱立て~花後の処理】
支柱立て
ブラックキャットは葉や茎から花茎が出てくるわけではなく、地下茎から直接独立して花茎が伸びてきます。花茎が伸びてつぼみができたタイミングで、支柱を立てて花の重みで花茎が傾いてしまうのを防止しましょう。地中に支柱を差し込み、柔らかいヒモでブラックキャットの花茎と支柱を結んでください。ブラックキャットの花が開花したときに倒れるのを防げます。
花後の処理
ブラックキャットの花が咲き終わったら、花茎の元から剪定しましょう。ほかに蕾をつけていたり、咲き始めの花があったりする場合は、少し早めに剪定すると栄養がそちらへ行きわたります。また、ブラックキャットは個性的な花のため、いつが咲き終わりかわかりづらいかもしれません。中央の星形の花が全て下を向き、苞葉がしおれてきたタイミングで剪定してください。
ブラックキャットの育て方【特別な管理】
増やし方
ブラックキャットの増やし方は、種を採種して種まきから育てる方法と株分けする方法があります。株分けで増やす方法のほうが簡単で、おすすめです。ブラックキャットを植え替えるときに、地下茎がわかれている部分に清潔な包丁やナイフを入れて、適当な大きさにカットします。その際、1つの株に必ず芽を1つ以上つけておくのが、株分けのコツです。
ボタニ子
ブラックキャットの地下茎って、大きいんですって。原産地では、食用として育てていることもあるそうよ。
ボタ爺
中国ではブラックキャットの地下茎が、肝臓や胃の薬として扱われているという話もあるぞ。
株分けのコツ
- わけた株の下のほうの古い葉は剪定する
- 葉の量は1/3くらい残してカットすると水分の蒸発を防ぎ新しい芽に栄養がまわる
- 株分け後は1カ月くらい日陰で管理する
冬越し
ブラックキャットの冬越しは、温度によって変わってきます。育成温度の20℃以上と湿度を保てる環境では、冬越し中でも開花を続けます。15℃以上の温度をキープできれば、花は咲きませんが葉は常緑のまま冬越しできるでしょう。ブラックキャットの地上部が枯れてしまった場合、5℃以下にならなければ地下茎は生き続け翌年の春に新しい葉が出てきます。
病害虫対策
ブラックキャットには、とくに心配するような病害虫はありません。丈夫な点から、初心者にも向いているといえるでしょう。
ブラックキャットの育て方は難しくない!
ブラックキャットは希少種ですが、近年少ずつ出回っています。通販サイトで苗や種を販売している場合もあります。運よくブラックキャットが手に入ったら、ぜひ育てて花を咲かせてください。湿度と温度、日当たりの管理ができれば育て方はむずかしくありません。最適な環境を保てれば、一年中ブラックキャットのゴージャスな花を楽しめるでしょう。
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暗い場所だと成長があまりよくないわ。日陰や半日陰のような日当たりがちょうどよいわね。