セラスチウムの概要
セラスチウムはどんな植物?
セラスチウムは南ヨーロッパ原産のナデシコ科ミミナグサ属の常緑多年草で、日本には明治時代に渡来したといわれます。学名をCerastium tomentosumといい、その果実の多くに角があることから、学名の「Cerastium」はギリシャ語の「cerastes(角状の)」に由来します。「tomentosum」は「ビロード毛のある」の意味です。開花時期の4~6月頃、可憐な白い花を咲かせます。葉っぱは通年シルバーで、グランドカバーや寄せ植えに用いられます。
セラスチウムの別名と語源
セラスチウムは和名を「シロミミナグサ(白耳菜草)」と呼びます。名前に「耳」がつくのは、葉っぱが細かい毛に覆われていて、ネズミの耳に似ているためといわれます。ほかに、英名の「Snow-in-Summer」から別名の「スノーインサマー」や「夏雪草(ナツユキソウ)」と呼ばれ、「ケラスチウム」、「シルバーカーペット」の名前でも知られます。
ボタニ子
バラ科の「キョウガノコ」の白花種も「ナツユキソウ」と呼ばれますが、姿かたちが全く異なります。
セラスチウムの特徴
シルバーリーフとしても人気!
セラスチウムは開花時期の4~6月頃に小さな白い花を咲かせます。「シロミミナグサ」の和名の通り、細かい毛に覆われた葉っぱが白っぽく見え、シルバーリーフとしても人気があります。草丈は10~20cmほどで小さく、成長するにつれて地下茎でほふくして増えるため、グランドカバー向きの植物です。多年草に分類されますが、関東以西では夏越しが難しく、一年草扱いされることが多いです。
セラスチウムの基本情報
- 科名・属名:ナデシコ科ミミナグサ属
- 分類:常緑性多年草
- 学名:Cerastium tomentosum
- 和名:シロミミナグサ(白耳菜草)
- 別名:スノーインサマー、ナツユキソウ、ケラスチウム・シルバーカーペット
- 原産地:南ヨーロッパ
- 開花時期:4~6月
- 花色:白
- 葉の色:シルバー
- 草丈:10~20㎝
- 花言葉:幸福、才能、思いがけない出会い
- 用途:ロックガーデン、グランドカバー、寄せ植え
- 耐暑性:弱い
- 耐寒性:強い
セラスチウムの育て方
育てるポイント
乾燥気味に管理し、花後は剪定を!
セラスチウムは高温多湿が苦手なため、乾燥気味に管理します。また、株が蒸れて傷まないよう、花後に剪定を行います。
ボタニ子
成長するとより蒸れやすくなるので、剪定は必要ですね!
用土
市販の草花用培養土か赤玉土と腐葉土(パーク堆肥)を2:1の割合で混ぜ合わせたものを使います。鉢植えで水はけを向上させたい場合は、草花用培養土にパーライトを混ぜるか、赤玉土6:腐葉土3:パーライト1の割合で配合します。
増やし方
①種まきで増やす
セラスチウムは種まきで増やせます。花後、花袋の中にできた種を採取し、9~10月頃に箱まきし、発芽後に本葉が3~4枚になったらポリポットに移植して育苗します。
②さし木で増やす
セラスチウムはさし木でも増やせます。適期は5月~6月と9月下旬~10月です。花後に剪定した枝を使うこともできます。枝を10cmの長さに切り、水揚げさせてからさし木用土にさします。発根までは明るい日陰で水切れに注意して管理します。
③株分けで増やす
株分けで増やすこともできます。適期は植え替え時の10月~11月で、掘り上げた株を分けて植え付けます。
ボタニ子
種は忘れずに採取しておかなくちゃ!採取した種は秋にまきましょう。
水やり・肥料
乾燥気味に管理し、鉢植えの場合は表面の土がしっかりと乾いてから水をあげましょう。庭植えの場合は降雨のみで十分です。肥料はあまり必要としません。鉢植えは春と秋に緩効性化成肥料を少量だけ与えます。庭植えは植え付け時に元肥を施しておけば、追肥は不要です。
寄せ植えの仕方
シルバーリーフを活かす!
セラスチウムの葉っぱは常緑性で、通年楽しめます。草丈が10~20cmほどで小さく、成長するにつれて横に広がり、ボリュームが出てきます。鉢は大きめのものを用意し、花壇であれば前列、手前に植えると良いでしょう。一緒に寄せ植えする花は、背丈が低すぎるとセラスチウムに隠れてしまいがちなので、少し大きめのものを選べばバランスが取れます。
セラスチウムが楽しめる公園
目黒天空庭園(東京都目黒区)
東京都目黒区にある「目黒天空庭園」はその名の通り、首都高速道路大橋ジャンクションの上に建設された天空庭園です。周辺環境への配慮やヒートアイランド現象の緩和を目指し、2013年にオープンしました。園内には約200種類の樹木や花が植えられ、開花時期の6月頃にはセラスチウムが楽しめます。
目黒天空庭園
【住所】東京都目黒区大橋一丁目9番2号
【開園時間】午前7時から午後9時まで
【アクセス】東急田園都市線池尻大橋駅下車約3分、東急バス「大橋」下車約3分
【お問い合わせ】03-3464-1612(自動音声案内のみ)
まとめ
様々な名前で親しまれ、東京では天空庭園でも楽しむことができるセラスチウム。シルバーリーフが美しく、成長するにつれボリュームが出て、寄せ植えやグランドカバーにおすすめです。種を採取しておけば翌年にまた花を楽しめます。お庭にセラスチウムの白いカーペットはいかがですか?
出典:写真AC