アブチロンの概要
アブチロンは熱帯・亜熱帯に広く分布している植物です。低木種が多いですが、多年草または一年草扱いされている品種もあります。原種はメガポタミクムという半つる性植物と、ストリアツムという低木植物の交配で誕生しました。うつむいたように咲く花と、熱帯植物らしい鮮やかな花色が個性的な美をかもしだしていると、人気上昇中の花木です。
名前の由来
ギリシャ語のa(否定、無し)とbous(牝牛)とtilos(下痢)という3つの言葉に由来しています。これはアブチロンが、昔は家畜の下痢止めとして利用されていたからです。
アブチロンの基本データ
学名 | Abutilon |
科名 | アオイ科 |
属名 | イチビ属(アブチロン属) |
別名 | ウキツリボク(浮釣木)、ショウジョウカ(鐘状花)、チロリアンランプ |
原産地 | 熱帯・亜熱帯 |
草丈・樹高 | 20cm~150cm |
花色 | 赤、白、黄、オレンジ、ピンク |
開花時期 | 5月~11月 |
アブチロンの特徴
特徴①:開花時期が長い
アブチロンには開花期間が非常に長いという特徴があります。品種によって時期は異なりますが、春から秋まで咲き続けますよ。ハイビスカスと同じで、一つの花の開花期間は長くありませんが、次々と新しい花が咲くので、ずっと花が咲き続けているように見えるという訳です。
特徴②:日陰でも花が咲く
熱帯植物としては環境への適応力が高く、日陰でも花を咲かせる強い品種があります。これはハイビスカスなどの他の熱帯植物と比べて品種改良が進んでいるためです。また、鉢植え向きのコンパクトでよく開花する品種もあるので、庭が狭くてあまりスペースが取れないという方でも育てられます。
日陰に強いといっても、あくまでも「熱帯植物にしては」ということです。日照不足になると花つきや花色が悪くなったり、生育不良になったりするので、注意してくださいね。
特徴③:種類や品種が豊富
原種の交配親が半つる性植物と低木植物だったので、つる性品種も低木品種もあります。さらには草花として扱われている品種もあるなど種類が非常に豊富です。花色も豊富で、赤、白、ピンク、黄色と好みで選べますよ。
品種によって花形は少し違うけど、花びらが薄く、うつむいた感じで咲く特徴があるよ。だから花色が鮮やかでも、清楚で奥ゆかしい雰囲気があるんだね。
ハイビスカスなどと比べると、花が小さめであることも、控えめな印象を強めている要因ですね。でも新しい花が次々と開花するので、寂しい印象は与えません。
特徴④:寄せ植えにおすすめ
成句旺盛ですが、背丈が低くて鉢植え向きの品種もあるので、寄せ植えにもおすすめです。アブチロンは赤や黄色など鮮やかな花色が多いですが、薄い花びらでふんわりとうつむきがちに咲く花姿のため、悪目立ちせず他の草花と意外によく調和します。特につる性品種は、仕立て方次第でいろいろな変化をつけられるので、個性的な寄せ植えが作れますよ。
アブチロンは生長力が強いから、寄せ植えにする際は大きめの鉢を使うのがおすすめだよ。
100種類を超えると言われているアブチロンの園芸品種の中で、寄せ植えに最も適しているのは「チロリアンランプ」と言われています。アブチロンの中でも耐寒性があり、育てやすい点も魅力です。
アブチロンの種類・品種
アブチロンの園芸品種は非常に多く、100種類を超えると言われているほどです。ここでは、主な種類・品種を一部紹介しましょう。
ウキツリボク(浮釣木)/チロリアンランプ
アブチロンを代表する半つる性品種で、名前が別名のように扱われるほど広く流通しています。「チロリアンランプ」という名前の由来にもなった独特の花姿と、耐寒性があり、丈夫で育てやすいことから、とても人気が高い品種です。アブチロンの中でも開花時期が長く、5月から10月まで咲き続けます。枝の一部が寒さで枯れることはありますが、春になれば新芽を出す強い品種です。
耐寒性があるので関東以西の暖地なら、庭植えで冬越しも可能です。霜で落葉しても、春になれば新芽を出します。
鉢植えでも育つし、日陰でも花をつけるほど強い品種だけど、だからといって過信は禁物だよ。育てる際は、日当たりも風通しもよい場所を用意してあげようね。
ドワーフ・レッド
濃赤色の花を咲かせる木立性品種です。樹高が50cmから80cmと低く、花も直径3cmと小さいですが、非常に花つきがよく、春から秋まで絶え間なく咲きます。冬も暖かい室内であれば開花します。性質も丈夫なので育てやすい品種です。
初恋
低木性で花びらの色が大変特徴的な品種です。最初は黄色い花びらが、咲き進むとオレンジ色に変化します。花びらの色の変わりゆく様子が、とても繊細で美しいことから人気の高い品種です。樹高は50cmから100cmと、あまり大きくなりませんが非常に花つきがよく、驚くほど多くの花をつけます。
姫リンゴ
木立性の改良品種で、名前が示すように真っ赤なリンゴを思わせる、鮮やかな赤い花が特徴的です。矮小タイプの品種で樹高は20cmから90cmほどと、あまり大きくなりません。鉢植えや花壇の前方向きの品種と言えるでしょう。関東以西の暖地なら庭植えでも冬越しが可能です。
ホワイトキング
木立性で、真っ白な花びらと黄色いおしべとのコントラストが美しい品種です。繊細な雰囲気がありますが実際は生育旺盛な品種で、庭植えにすると樹高1m以上にまで生長します。暖地なら庭植えでの冬越しも可能な品種ですが、心配ならば室内で管理したほうがよいでしょう。
続いて、アブチロンの花言葉を紹介!
出典:写真AC