コバノズイナの育て方
植え付け
植え付けは、葉が枯れる冬の2月下旬~3月中旬頃が適期です。根鉢の2~3倍程度の大きめの植え穴に苗木を植え付けます。土は腐葉土やたい肥に石灰を混ぜ、少し高めに植えてやりましょう。植えたあとは水をたっぷりとやり、根と土を十分に馴染ませましょう。
水やり
コバノズイナは多少乾燥に弱い面があります。庭植えでは基本的に自然に降る雨だけでかまいません。ただし、夏場の乾燥が激しい時期には、様子を見ながら、水やりをしてあげることも大切です。その際は、根が傷まないよう早朝か気温が下がった夕方などに与えましょう。
肥料
コバノズイナはあまり肥料を必要としません。むしろ、肥料が多すぎると葉ばかり茂って花付きが悪くなったり、きれいに紅葉してくれません。与える肥料も少量が基本です。6月の開花が終わる時期に緩効性化成肥料か油かすを少量与えます。くれぐれも多肥にしないように気を付けましょう。
剪定・ヒコバエ
ヒコバエが発生しやすい
コバノズイナはヒコバエが発生しやすい樹木です。ヒコバエとは、根の成長が活発な時期である春から夏にかけて株元から発生する枝のことです。庭植えでは株元から離れたところから枝が出てくることもあります。主幹の栄養を奪ってしまうといった理由もありヒコバエが出たらすぐに剪定する場合もありますが、自然樹形を楽しむ樹木の場合は、剪定せずそのまま育てます。
剪定はあまり必要ないが出やすいヒコバエは整理
コバノズイナは自然に樹形が整うため、基本的には剪定は不要です。ただ、自然に株立ちになるところが魅力の樹木ですが、生育が旺盛なため、特に庭植えでは地下茎でどんどん増え株元から盛んにヒコバエを出します。もともと小形な木のため、そのままでも「邪魔で仕方がない」というほどにはなりませんが、気になる場合は、根元から枝を剪定して間引きます。その際、混み合っている枝や絡み合った枝などがあれば一緒に剪定しておきましょう。剪定時期は開花の終わった6月~7月頃が適期です。
増やし方
増やし方は挿し木が簡単です。時期は落葉期の2月下旬~3月上旬もしくは6月下旬が適期となります。枝先を10cm~15cm程度切り取って挿し穂を用意します。下葉を切り取って水揚げをしたら、挿し木専用の用土に挿します。挿したあとは、根が出るまで乾かさないように明るい日陰で管理しましょう。また、ある程度成長し株が充実してくると、地下茎でどんどん増えヒコバエを盛んに出します。そのヒコバエを掘り上げる増やし方でもいいでしょう。
コバノズイナの品種
原種のコバノズイナも、野趣あふれる自然な佇まいに心惹かれるものですが、実は他にもいくつか種類があるのをご存知ですか。今からご紹介するどの種類もコバノズイナの強健な性質はそのままで、管理もしやすく手がかからないものとなっています。ぜひ、それぞれに特徴を持ったコバノズイナにチャレンジして、お庭をすてきにデザインしてみませんか?
ヘンリーズガーネット
ヘンリーズガーネットの葉は細く、花穂は長く垂れるように咲きます。株は横に這うようにして成長していき、紅葉は「ガーネット」と呼ばれるように濃く深い赤紫に色づくため、非常に人気がある種類です。初夏に咲く白く長い花穂が風にそよぐ姿は風情があり、秋の赤紫の紅葉も圧巻です。紅葉は暖地でも同様に色づくため、地域による差がないのもうれしいところですね。
サライブ
サライブの咲き始めは花穂のガクと柄がピンク色をしていますが、咲ききると白に変化します。ヘンリーズガーネットと比べ、株は上へすっと成長し花穂も少し上向きになってから垂れるかたちになります。花穂の長さも株の大きさもヘンリーズガーネットより少々コンパクトなため、より狭い場所に植えるとその真価を発揮できそうな種類といえますね。
リトルヘンリー
リトルヘンリーはその名の通り、ヘンリーズガーネットを小さくした矮性の種類です。樹高も1m前後で、鉢植えで管理できるくらいのサイズになります。庭植えできないといった人や鉢植えでコンパクトに育てたいといった人には向いているのではないでしょうか。紅葉はヘンリーズガーネットと同じように濃く深い赤紫に色づきます。
コバノズイナの花言葉
コバノズイナの花言葉は、「少し欲望」です。コバノズイナ自体が控えめでナチュラルな印象の木なので、「欲望」という言葉がどことなくしっくりしない、そんな感じがしませんか?ところが、他の植物を引き立てる感じや中高木の側に植えるとアクセントになりその真価を発揮するようなところは、「少し」だけ「欲望」があるのかもしれませんね。
まとめ
それでは、コバノズイナの育て方やポイントをまとめてみました。耐寒暑性が強く、育てやすい樹木なので、初心者には特におすすめです。すでに植えている方でも別の種類を植えてみると、その微妙な違いに新たな発見や楽しみを感じることができるかもしれません。
- 植え付けは、2月下旬~3月中旬頃の時期が適期。大き目の植え穴に苗木を植え付け、土は腐葉土やたい肥に石灰を混ぜ高めに植え付ける。
- 通常は自然降雨で大丈夫。ただし乾燥に少し弱い面があるため、夏場の乾燥に注意し、様子を見て適宜水を与える。
- 肥料はあまり必要ない。多肥になると病害虫が発生したり、葉ばかり茂り、花がきれいに紅葉しなくなる。与える場合、少量の緩効性化成肥料か油かすをを6月の開花終了後の時期に。
- 自然樹形が美しい樹木のため剪定はあまり必要ない。株が充実するとヒコバエが出やすいため、不要なヒコバエは根元から剪定して整える。
- 増やし方は挿し木が簡単。それ以上にヒコバエが出やすいため、そのヒコバエを掘り上げると簡単に増やせる。
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出典:写真AC