スイレン(睡蓮)の増やし方
スイレンの増やし方には、いくつかの方法があります。一般的には11月頃に生育が止まり、休眠期に入った球根を土から掘り出して、親株と子株を切り分ける株分け方法が主流です。
増やし方①株分け
スイレンの増やし方は球根の株分けによって簡単にできます。3年に1回程度の割合で行いましょう。株に古い根が残っていると、新しい根が生えてくる邪魔をするので根っこは全て切り、根茎を折らないように注意しながらナイフなどで株を切り分けます。このとき株1つにつき、芽が1~2つは付くようにしましょう。熱帯性スイレンの場合、手で株にできた子株を切り分けることもできます。株分けした株は乾燥させずに、すぐに土へ植え付けましょう。
株分けの時期
- 熱帯スイレンの場合は5~7月
- 温帯スイレン(耐寒性スイレン)の場合は3~4月
増やし方②種
あまり知られていませんが、スイレンの花には種子がつきますので、種からの栽培も可能です。しかし、種からの栽培は難易度が高く、種ができることで逆に球根が弱ってしまうので、花が咲き終わったら花茎ごと株元から切り取る「花がら摘み」を行いましょう。球根を大きく育てた上で、株分けして増やすのが一般的です。
増やし方③ムカゴ栽培
熱帯スイレンには、葉から分岐する苗が生まれるムカゴ種があります。ムカゴ種の増やし方は簡単です。比較的大きく育ったムカゴのある葉を親株から切り離して、葉を“裏”むけにして水面に浮かべるだけで、新芽、根が伸び出し苗ができます。根が伸びた苗は別の鉢植えに植え付けましょう。時期は水温が十分にある7~8月頃の夏がベストです。
次のページからは、スイレン(睡蓮)栽培をよりいっそう楽しむ方法をご紹介します。
スイレン(睡蓮)栽培を楽しむ
スイレンのような水性植物を身近で育てる醍醐味は、植物の育成を楽しむ他に、ビオトープとしてメダカや金魚などの水辺の生き物たちと一緒に共生させ、小さな自然の楽園を再現できることです。広いスペースや池がなくても、庭やベランダの片隅で睡蓮鉢を使って誰でも簡単にビオトープを始めることができます。
ビオトープとは
- ビオトープとは、植物や生物群集の生息、生態系空間をあらわす言葉です。
メダカと一緒に育てる
スイレンは、常に水を張った栽培となります。夏場など、ボウフラや害虫への対策が心配ですが、睡蓮鉢の中にメダカを泳がせることでメダカが害虫を食べてくれるので、衛生管理の面でメリットがあります。またスイレンとメダカを一緒に育成することで、鉢の中が小さなビオトープのようになり、生態系のある豊かな自然空間を観賞できる楽しみが増えます。
メダカ飼育には赤玉土がいい
メダカを室内ではなく屋外の睡蓮鉢で飼うことのデメリットは、ろ過システムがないのでメダカの糞尿による水の濁りが心配ということです。そのため、赤玉土を睡蓮鉢の底土に使ってバクテリアを定着させれば、水の浄化を助けて水が濁りにくい環境を作ることができます。しかし、すでに睡蓮鉢にスイレンの鉢植えを沈め栽培している場合には、スイレンの鉢植えの土の中に潜んでいるバクテリアなどがメダカの糞尿や死骸までもキレイに分解してくれますので、特に心配はありません。赤玉土を睡蓮鉢の底土に敷くかは観賞目的などお好みで選択してください。
おわりに
スイレン(睡蓮)は、主に「花が水面に浮かんでいるように咲く」ことが特徴の水性植物です。エキゾチックな色で咲く花は何千年もの歴史の中で人々の心を魅了してきました。現代では姫睡蓮という小型品種を選ぶことで、玄関やベランダなど省スペースで育てることも容易になり、栽培もしやすい植物です。さっそくご自宅を、スイレンの咲くオアシス空間に変えてみてはいかがでしょうか。
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出典:BOTANICA