チューリップに存在しない色とは？青や水色のチューリップの花言葉は存在する？

チューリップは色数が非常に多く、赤や白、ピンクに黄色などのポピュラーな花色だけでなく、緑や茶色など珍しい花色もあることで知られている植物です。しかし、チューリップにも存在しない色があります。それは青や水色です。理由はチューリップが持つ色素が関係しています。

青や水色のチューリップは存在しません。チューリップを含めた植物には、いろいろな種類の色素が存在しています。これらの色素が機能することで、鮮やかな花色が生まれます。そのなかで青色を出すのに必要な色素が「デルフィニジン」です。この色素がない場合、青色や水色の花は咲きません。チューリップはデルフィニジンは持っています。しかし、肝心の青色を出す機能が不十分であるため、青や水色の花は咲かせられません。

じつは「青いチューリップ」と、かろうじていえる品種が存在しています。もっと正確にいうと、存在しないのは「花びら全体が青いチューリップ」で、「部分的に青いチューリップ」ならあります。原種系のチューリップ「アルバコエルレアオクラータ」です。白い花びらの底が青いという珍しい特徴を持つ希少種で、球根の流通量も少ないです。

現時点では「花びら全体が青、または水色のチューリップ」は自然界に存在していません。そのため現在も多くの専門家・育種者たちによって、完全に青い花や水色の花を咲かせる品種を作出するための研究が進められています。余談ですが、青色色素を持たず、自然界に青・水色の花がないバラやカーネーションは、遺伝子組み換え技術によって青色色素を持つ品種が作出されました。

黒い花色はチューリップに限らず、自然界では珍しい色です。じつは自然界の植物に、本当に黒い花色を出す色素は存在していません。人間が「黒い花」と呼んでいるのは、赤や紫の色素が非常に濃くあらわれたものです。そのため光の加減によっては、黒とは違う色に見えることがあります。この複雑な色合いが、ほかの花色とは違う雰囲気や魅力を生み出しています。

チューリップには花びら全体が青、または水色という品種はありませんが、花色の種類は非常に豊富です。赤や白、ピンクといったポピュラーなものから、緑色や茶色という珍しいものまであります。咲き方も品種によって違うので、同じ花色でも随分と印象が違いますよ。なお、自然界に現存するチューリップの花色の種類は9種類です。下記の表をご覧くださいね。

チューリップ全般の花言葉は「名声」「思いやり」「愛の告白」「博愛」です。これらの花言葉の由来は、オランダの古い伝説とされています。求婚者たちを傷つけたくないという思いから、一輪のチューリップに姿を変えた娘の優しさと、その後、娘の化身であるチューリップを大切に育てたという求婚者たちの愛情から、これらの花言葉が生まれました。

その昔、とある町にとても美しい娘がいました。娘はその美しさから、年頃になると3人の立派な騎士に求婚されます。騎士たちは娘に求婚すると同時に、それぞれ「王冠」「剣」「黄金」を贈りました。しかし、娘は誰も選びませんでした。誰を選んでも、選ばれなかった人たちが悲しむと思ったからです。娘は花の女神フローラに願い、チューリップの花に変えてもらったのでした。

とある村にファルハドとシリンという男女がいました。ある日、2人が暮らす村の井戸が枯れてしまいます。村を救うためには新たな井戸を掘らなければなりません。ファルハドは新たな井戸を掘る大仕事に身を投じます。長い時間をかけ、井戸掘りには成功しましたが、その間にシリンが亡くなりました。ファルハドは恋人を失った悲しみにたえられず、崖から身を投げてしまいます。

現時点では自然界に存在しない青・水色のチューリップには、花言葉はつけられていません。ただし、バイオテクノロジーで誕生した青いバラには「不可能」「夢かなう」「奇跡」、青いカーネーションには「永遠の幸福」という花言葉があります。将来、青・水色のチューリップが誕生したときは、同じような意味の花言葉がつけられる可能性があるでしょう。

「虹色」という自然界に存在しない色の花言葉があります。「レインボーチューリップ」という虹色の品種です。この花色は染色したもので、自然界には存在していません。レインボーチューリップの花言葉は「希望の架け橋」です。

チューリップは花色だけでなく、特徴や性質も品種によってさまざまです。知れば知るほど、その魅力と奥深さに驚かされるでしょう。最初は好みにあった一品種から育てて、慣れてきたらいろんな色や形のチューリップが咲く、華やかな花壇に挑戦してみてくださいね。