ソルゴーの栽培方法
播種方法
ソルゴーは低温伸長性が弱いため、気温が15℃を超えた時期に播種してください。目安としては、桜が開花してから1カ月経過してからになります。また、ソルゴーの種は小さいためカビによる発芽不良になりやすく、上に土をかけすぎると発芽しません。夏以外の時期に播種するのであれば、覆土は1~3cm程度にとどめてください。
発育を揃えるためには鎮圧が重要
ソルゴーは高さにそろえて障壁や防風対策として用いるため、発芽を均一にすることが重要です。そのような生育のためには、播種後の鎮圧作業が重要になります。手作業で播種する場合は、上から長くつやクワで踏みならす方法や、一輪車のタイヤによって鎮圧作業ができます。これにより、発芽をそろえられるだけでなく、土壌処理剤などの除草剤の効果も高められます。
播種量
ソルゴーの播種量は、撒き方によって異なります。圃場全体にランダムにまき散らす散播であれば、10aあたり3~5kgの播種量になります。また、筋状に播種をする条播では、畝間が60cm~70cmの設定で10aあたり2kg~3kgの播種量になります。気温が低いときほど播種量を多くしてください。
施肥量
ソルゴーの施肥量は、堆肥などを全く入れてない場合はチッソリン酸カリが各10kg程度必要になります。この成分を施用するためには、チッソリン酸カリが14%ずつ配合されている高度化成を10aあたり70kg投入するとよいです。それまでに圃場に投入された肥料がある場合は、投入量にあわせて減らしてください。また、ソルゴーが5〜7葉期に窒素成分を5kg施用すると子実量や生育速度が高まります。
ソルゴーの利用方法①障壁栽培
障壁栽培とは
障壁栽培とは、園芸作物の周りにソルゴーを二条もしくは一条植えることで、ナスやキュウリなどの害虫の天敵を誘引する栽培方法です。これは、ソルゴーに集まったアブラムシを狙ってテントウ虫などの天敵を誘引し、その後野菜の畑にも入ってもらい害虫を食べてもらう仕組みです。
障壁栽培の効果
障壁栽培の最も大きな効果が、害虫防除のための殺虫剤の使用を減らせることです。これは、資材費の削減だけでなく薬剤抵抗性のある害虫を生み出させないなどのメリットになります。障壁栽培であれば、ソルゴーを植えている期間は天敵を留めているため害虫発生を確認してから対策を講じる必要がありません。そのため、このソルゴーをバンカー(貯蓄)プランツともいわれています。
障壁栽培の注意点
障壁栽培の注意点ですが、ソルゴーに殺虫剤を散布しないことが重要です。せっかく天敵を呼び寄せるためのアブラムシが付かなくては、意味がありませんよね。また、ソルゴーの子実が熟してしまうと、鳥がついばみにやってきます。糞が野菜についてしまうのを防ぐためにも熟す前に穂を切り落としましょう。
障壁栽培に向いた品種
障壁栽培に向いた品種は、アブラムシが寄りやすい茎葉が多汁性の子実型ソルゴーかソルゴー型ソルガムがおすすめです。ソルゴー型ソルガムの『風立』は倒伏性に優れ、出穂しない品種ですのでおすすめです。
ソルゴーの利用方法②防風対策
防風対策の方法
播種量は防風対策や障壁栽培用の用途であれば、10aあたり1kgになります。撒き方の例としては、株間8cmで2~3粒撒きがおすすめです。また、ミニポットで10cm程度まで育ててから、移植する方法もあります。初期の雑草防除の必要がなかったり、生育を均一にしたりできることがメリットです。
防風対策の効果
ナスや柑橘類は風で葉や実がすれることで実に傷が付いたり、かいよう病などの病気が発生してしまいます。ソルゴーを風除けとして植えることで、植物への防風対策とすることができます。特にナスに関しては、害虫の天敵も呼び寄せてくれるため、ソルゴーととても相性のい作物です。
防風対策に向いた品種
風除けに特化したソルゴーを選択する場合は、初期生育も早く茎の数も多い、スーダン型ソルガムがおすすめです。厚く壁を作れることで、風除けだけでなく除草剤などの農薬のドリフトも防止してくれます。タキイ種苗の『ソルガム・ウインドブレイク』は初期生育も早く出穂が遅いタイプなのでおすすめの品種です。
ボタニ子
次のページでは、ソルゴーの畜産業における利用や食用利用について紹介するよ。