はじめに
みなさんは、「ヘビイチゴ」という植物をご存知でしょうか?名前だけ聞くと、「蛇」がつくため不気味な印象もありますが、ヘビイチゴはとても可愛らしい花や実をつける日本ではポピュラーな植物です。そんな可愛らしい見た目の植物に、なぜ「蛇」という名前がついているのか疑問ですよね。今回は、ヘビイチゴの特徴や名前の由来、用途や食用になるかなどをご紹介します。
ヘビイチゴ(蛇苺)の概要
名 | ヘビイチゴ (蛇苺) |
科目 | バラ科 キジムシロ属 |
草丈 | 5cm~10cm | 形態 | 多年草 |
開花時期 | 4月~6月ごろ | 花の色 | 黄色 |
花の大きさ | 直径1.5cmほど | 用途 | 漢方など |
ヘビイチゴはバラ科キジムシロ属の多年草で、日本国内ではどこの地域でも見かけるポピュラーな植物です。黄色く直径1.5cmほどの大きさの可愛い花は4~6月ごろ開花し、花期を終えるとぷっくりと丸い赤い実をつけます。あっという間に地を履い広がっていくため、あぜ道や野原などに自生していることが多い植物です。
ヘビイチゴ(蛇苺)には毒性がある!?
ヘビイチゴは、別名「ドクイチゴ」と呼ばれることがあります。「ドクイチゴ」と聞くと有毒性の植物だと思いますが、ヘビイチゴに毒性はなく、人間が食べても無害のため心配いりません。毒性がある植物だという俗説が広まったことで「ドクイチゴ」と呼ばれるようになったといわれています。
ボタニ子
ドクイチゴって聞いたらドキッとしちゃうよね。毒性がなくて安心したよ。
ボタ爺
大丈夫じゃよ。よく見かける草花だからこそ、毒と聞くだけで怖くなるんじゃよな。
ヘビイチゴ(蛇苺)の名前の由来
ヘビイチゴは見た目の可愛さとは違い、なぜ「蛇」という名前がついたのか気になりますよね。その由来はたくさんの説がありますが、
- 漢方・生薬の名前「蛇苺(じゃも、中国語)」を日本語の読み方に変えた
- 蛇が食べるイチゴだから
- 湿地帯や日陰を好む蛇の生育環境とヘビイチゴが自生している環境が似ている
- ヘビイチゴを食べに来た小動物を蛇が狙っているから
- 地をぐんぐん這い生育する姿が蛇に似ている
蛇は「ヘビイチゴ」を食べられるか?
ボタニ子
人間にはヘビイチゴはまずいけど、蛇には美味しいだろうっていう由来の説もあるんでしょ?
ボタ爺
「蛇が食べるのに丁度よい大きさ」だとか、ヘビイチゴの由来にはいろんな説があるんじゃよ。実際蛇が食べるかといわれたら、食べないんじゃな、これが。
ヘビイチゴ(蛇苺)は美味しい?まずい?
ヘビイチゴの実は味はなく、ボソボソした食感でまずいです。そのため食用としては扱われません。食用ではありませんが、毒性はないため人間が食べても問題はありません。スポンジの様なパサパサした食感と、無味の果実は好まれず、食用よりも民間療法の「薬」というイメージが強いことでしょう。食べる場合は砂糖を入れて甘く煮詰め、ジャムにすることが美味しい食べ方といわれています。
ヘビイチゴの食べ方:ジャム
「ヘビイチゴのジャム」レシピ
- 材料:ヘビイチゴ(蛇苺)、砂糖、水、レモン汁(すべて適量、お好みで)
- 作り方:材料をすべて鍋に入れ、煮詰めて水分を飛ばしたら完成!
ヘビイチゴジャムのポイント
- 煮詰めると甘くなるため、味見しながら煮詰めよう
- レモン汁を入れると色が鮮やかに。入れすぎると酸っぱくなるので注意
ボタニ子
食用ではない、まずいと言われていても、工夫すれば食べることができるんだね!ジャムなら簡単に作れそう!
ボタ爺
そのまま食べるとスポンジみたいじゃから、甘く煮る食べ方がいちばん美味しいぞ。
ヘビイチゴ(蛇苺)の用途
ヘビイチゴ(蛇苺)の用途①虫刺されに
ヘビイチゴの実をホワイトリカーに漬けるだけで、「かゆみ止め」の薬になります。蚊に刺されたら、幹部にヘビイチゴ液を塗るとかゆみも止まり、腫れもひいていきます。医学的にどんな成分が効果があるのかなどは解明されていませんが、民間療法として古くから抗炎症に用いられています。
ボタニ子
肌が弱くて心配な人は、パッチテストなどを試してから使おうね。
ボタ爺
ヘビイチゴをホワイトリカーに漬け込んで3週間ほどで使えるようになるぞ。使用期限はだいたい1年くらいじゃな。
ヘビイチゴ(蛇苺)の用途②装飾として
ヘビイチゴの草丈はもともと低めなので、ちょこっと切ったヘビイチゴを他の花と生けると赤く鮮やかな実がアクセントになり、花とあわせて飾ると可愛らしくコーディネートすることができます。上記の写真のように、黒い花瓶などと合わせるとモダンな印象でぐっとお洒落に見えますね。
ヘビイチゴ(蛇苺)の用途③グランドカバー
ヘビイチゴは地を這うようにどんどん広がっていく特徴があるため、グランドカバーとして用いることができます。春には黄色の小花が咲き、花が終えると大小さまざまの大きさの赤い実がたくさんつき、黄緑色の葉は、秋になると紅葉します。ヘビイチゴは見た目も可愛いく季節を感じられる植物のため、人気があります。
ヘビイチゴ(蛇苺)の用途④漢方・生薬
ヘビイチゴは漢方や生薬として使われます。解熱や咳止めに乾燥させた全葉を用いたり、痔にはヘビイチゴを煎じた汁で幹部を洗うなどの用途で使われてきました。中国ではヘビイチゴを乾燥させたものを「蛇苺(じゃも)」と呼び、その漢方の名前を日本読みにしたものが先程紹介したように、ヘビイチゴの名の由来になったという説もあります。
ボタニ子
ヘビイチゴの漢方や生薬は、漢方薬局などで相談してね。
まとめ
いかがでしたか?春になると庭や野原、あぜ道などで見かける可愛らしいヘビイチゴの実は、蛇が食べるからというような由来で名前がついていたんですね。実際は、甘くもなく味もないため、そのままで食べるのは難しい果実です。ヘビイチゴの生育は旺盛なため、グランドカバーや切り花として可愛らしく飾ったり、果実がたくさん収穫できたらジャム作りも挑戦してみましょう。
出典:写真AC