ウグイスカグラ(鶯神楽)とは?赤い実の特徴や育て方をご紹介!

ウグイスカグラ(鶯神楽)とは?赤い実の特徴や育て方をご紹介!

雅やかな雰囲気のある名前がつけられたウグイスカグラ(鶯神楽)は、ピンクの花と赤い実が特徴の植物です。そして山歩きがお好きな方なら、きっとその赤い実を食べた経験があることでしょう。今回は和の趣のあるウグイスカグラの特徴と育て方、またその近似品種をご紹介します。

記事の目次

  1. 1.ウグイスカグラ(鶯神楽)をご存じですか?
  2. 2.ウグイスカグラの名前にまつわる話
  3. 3.ウグイスカグラの生態
  4. 4.ウグイスカグラの育て方
  5. 5.ウグイスカグラの近似品種
  6. 6.まとめ

ウグイスカグラ(鶯神楽)をご存じですか?

ウグイスカグラの基本情報

出典:写真AC

ウグイスカグラ(鶯神楽)【Lonicera gracilipes var. glabra】
別名 ウグイスノキ ゴリョウゲ 
植物分類 スイカズラ科スイカズラ属
園芸分類 落葉低木
原産地 日本(北海道~九州)
樹高 3m
耐寒暑性 耐暑性:強い 耐寒性:強い

茶花や盆栽としてとよく使われるウグイスカグラ

もともとは雑木という扱いであったウグイスカグラですが、花木で趣のある佇まいから茶花や盆栽として活用されています。愛らしいピンク色の花と赤い実が、控えめで主張しすぎない和の雰囲気に調和するのでしょう。大輪の花のような華やかさはありませんが、日本人受けするのにも納得できますね。

ウグイスカグラの名前にまつわる話

勘違いされやすい名前

ウグイスカグラが正式名称。ウグイスカズラは間違いです

ウグイスカグラはスイカズラ科の落葉低木です。言いやすさとスイカズラ科の植物であることから、ついついウグイスカズラと言ってしまいそうになりますが、カズラ(蔓)はつる性植物につけられる名称です。ご覧の通りの立派な落葉低木ですからウグイスカズラというのはおかしいですね。正式名称は鶯神楽(ウグイスカグラ)です。鶯蔓(ウグイスカズラ)という植物はありません。

名前の由来

Photo by sussexbirder

名前の由来は鶯(ウグイス)に関わりがあります

鶯神楽の名前の由来は諸説あります。

  • ウグイスが鳴きはじめる頃に花を咲かせるから
  • ウグイスがこの木の葉の間に隠れるようすから
  • ウグイスがこの木を飛び歩くようすが神楽を舞っているようだから

といったところでしょうか。こうして季節に合わせた風流な名を付けられているところからも、趣のある花木として昔から人々に愛されてきた植物だということがよく分かりますね。

ウグイスカグラの生態

ウグイスカグラの花

出典:写真AC

星形の5枚の花弁

ピンク色の星がそのまま花になったようなウグイスカグラの花。小さなユリの花を思わせる細長い漏斗型で、先端が5つに裂けた形状になります。少しうつむいたように咲くところが控え目な印象です。開花期は3~4月ごろで、これはちょうどウグイスの繁殖期と重なります。ウグイスに関連付けた先人のネーミングセンスに拍手したくなりますね。

ウグイスカグラの葉

ウグイスカグラの葉に毛はありません

「ウグイスカグラの葉に毛はありません」とは妙なタイトルだな?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは後述する近似品種との大切な見分け方となる特徴なんです。葉は対生で広楕円形です。新芽から若い葉にかけての時期は葉の縁が赤くなることが多くみられます。画像の黄緑色の若葉の縁が赤いことにお気づきでしょうか?

ウグイスカグラの実

出典:写真AC

グミとよく似た実

ウグイスカグラの実が収穫できるのは5~6月ごろ。花が終わったあとに楕円形の赤い液果を実らせます。山歩きのお好きな方でしたら一度は食べたことがあるのではないでしょうか?ウグイスカグラの実はグミとよく似ていますが、味はグミほどの濃さはなく、ほんのりのした甘みの優しい味だといわれています。この実は地域によってはアズキグミ、アズキイチゴなどと呼ばれることもあります。

ウグイスカグラの育て方

育て方のポイント

出典:写真AC

自生する場所に近い環境づくり

先にも述べたように、ウグイスカグラは元々雑木として日本に自生していた植物ですから、日本の風土に合った性質を持っています。過剰に保護する必要はありませんが、自生していた山中を想定して生育環境を整えてあげましょう。

ウグイスカグラの好む環境

  • 水はけのよい土壌を好みます。
  • 肥料の必要はありません。どうしてもという場合は寒肥を二月ごろに与えましょう。
  • 湿った環境は好みません。地植えの場合は不要です。鉢植えの場合も表面が乾いてから与えましょう。
  • 日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。

こうして並べてみると一般的な植物と同様ですね。水やりと肥料の手間がないぶん、野性的といった感じでしょうか。

ウグイスカグラの栽培

放任でも丈夫な性質

ウグイスカグラは病害虫の心配もほとんどありませんが、まれにアブラムシやカイガラムシがつくことがあります。また、株分けや挿し木で増やすこともできます。ひこばえなどの付近の根元に土をかけておくと根が出てきますので、十分に根の付いた部分を切り離して植えつければ完了です。根の張りが浅めな性質なので植え付け直後は支柱を立ててあげるとよいでしょう。

自然のままに育てる

ウグイスカグラの特徴として、根元からのひこばえや徒長枝が多く出ますが、それも風情の一つですので剪定は最低限として自然の姿を生かしましょう。それからウグイスカグラはかなりボリュームの出る株立ちとなりますので複数株を植える必要はありません。雑木の雰囲気を楽しみたいのでしたら、単体で植えることをおすすめします。

ウグイスカグラの栽培歴
1~3月 植えつけ期 剪定と肥料は2月ごろ。剪定は枝の更新の意味で。挿し木は3月ごろ。
4~5月 開花期 日当たりがよいと花つきも実のつき具合もよい。
5~6月 果実成熟期 種をまくならこの時期に。果肉を取り除いて乾かさずにまくこと。
11~12月 植えつけ期 落葉期であればいつでもOK

ウグイスカグラの近似品種

ヤマウグイスカグラ

ピンク色の花と赤い実はウグイスカグラ同様

ウグイスカグラとヤマウグイスカグラの違いは葉にあります。葉の表面が薄っすらと毛羽立っているのがお分かりになるでしょうか?ウグイスカグラが無毛なのに対してヤマウグイスカグラの表面には細かい毛が生えています。植物としては、元々ヤマウグイスカグラが存在していたところに、その変種としてウグイスカグラが現れたとされています。

ミヤマウグイスカグラ

腺毛(せんもう)が特徴の品種のミヤマウグイスカグラ

上の画像を見てお分かりのとおり、ミヤマウグイスカグラは葉や茎だけでなく実までもびっしりと毛で覆われていますね。これは腺毛(せんもう)と呼ばれるもので、植物の表面に生えた毛の先端から分泌物が出ている状態になります。ミヤマウグイスカグラは、ウグイスカグラ、ヤマウグイスカグラよりもさらに毛の多い品種になります。自生しているのは名前の通り深山です。奥深い山中に入らないとお目にかかれないというわけですね。

ウグイスカグラと近似品種の見分け方

三品種の線引きは微妙

ピンク色の花と赤い実というのは三品種とも共通で、ウグイスカグラ、ヤマウグイスカグラ、ミヤマウグイスカグラの見分け方は、全体的に毛が生えているかどうかということになります。上の画像のつるりとしたウグイスカグラの実と、一つ前の画像のミヤマウグイスカグラの実のようすを比較してみればその差は歴然ですね。ただ個体差もありますので、どの品種に属するのかあいまいな点も否めません。

まとめ

Photo by titanium22

ガーデニングというと草花に目が向かいがちですが、花木にも魅力的な花をつける植物がたくさんあります。和風洋風の隔たりなく、自然な庭がつくれたら最高ですね。ウグイスカグラには、他にもひょうたん型の赤い実をつけるひょうたんウグイスカグラや、ピンクではなく白花を咲かせるシロバナウグイスカグラもあります。近似品種を調べて比較してみるのも、植物の楽しみ方のひとつかもしれませんね。

藤茶話
ライター

藤茶話

失敗の多い園芸オタク。今年はギボウシの庭をつくります!

関連記事

Article Ranking