サイネリアの育て方④病害虫対策
サイネリアがかかりやすい病気
サイネリアはうどんこ病と灰色カビ病が発生しやすいです。うどんこ病はカビが原因で、9~10月に葉の表面が白い粉をふいたようなります。被害がひどい葉は取り除き、薬剤を使用して治療しましょう。灰色カビ病は9~12月頃に発生し、葉や茎が溶けるように腐ったり、花に白い斑点ができたりします。灰色カビ病は治療不可能です。病変が広がらないように、発生した部分は切り取ります。
予防・対策
うどんこ病も灰色カビ病も多湿を好むカビです。花がら摘みや花茎の剪定や切り戻しをこまめに行って株の通気性をよくし、風通しのよい場所に置くと予防できます。鉢花で入手した場合のラッピングも外した方が、病気予防になり、日常の手入れもしやすいかもしれません。ラッピングをして飾る場合は数日に一度の頻度で外し、風を通して株の様子をチェックします。
サイネリアにつきやすい害虫
サイネリアが悩まされる害虫には、アブラムシやコナジラミがあります。アブラムシは葉や茎から、コナジラミは葉の裏から養分を吸い取るため、生育が悪くなります。それだけではありません。アブラムシやコナジラミの排泄物はすす病菌の大好物で、すす病の原因となります。アブラムシやコナジラミを発見したらテープで取ったり、薬剤で駆除しましょう。風通しのよい環境づくりは、これらの害虫の予防にも有効です。
切り戻しでサイネリアの花をより長く楽しむ
花がら摘みと花茎の剪定を高頻度でしていても、いつかは花が一通り咲き終わるときがきます。剪定が行き届かなくて、花が早く終わってしまうこともあるかもしれません。そんなときには切り戻しを行うと、花後にもう一度花を咲かせられます。
切り戻しのやり方
花後に茎の根元をよく見てみましょう。根元から新しい芽や蕾が出始めています。これを伸ばすために、新しい芽の上で茎を思い切って切り取るのです。肥料も補ってあげると、新しい芽が伸びてもう一度花を楽しめます。
サイネリアの増やし方
日本の夏の気温と湿度はサイネリアにとっては厳しいため、夏前に枯れる一年草だと思う方が気が楽だといわれています。しかし、増やしながら夏越しできる可能性がないわけではありません。4月下旬~5月に挿し芽(挿し木)をするのです。
挿し芽(挿し木)の手順
花後に、根元の新しい芽の上で茎を切り落とすと、2~3週間後に株元から新しい芽が出てきます。これを手で摘み取って葉を3枚ほど残して切り、30分ほど水に浸けて水上げさせましょう。挿し穂をよく湿らせた小粒の赤玉土に挿しておくと、3週間程度で発根します。
発根後の管理
夏の温度と湿度を避けるため、挿し芽(挿し木)は風通しのよい明るい日陰か半日陰で管理するのが大切です。成長に応じて大きな鉢に植え替えたり、肥料を与えたりして育てます。夏越しは手間がかかって難しいといわれますが、気に入った色の株があったら挑戦するのもよいかもしれません。種の採取は、微細で病害虫に弱いため、家庭では難しいとされています。
サイネリアとシネラリア
サイネリアとシネラリアは同じ植物を指しています。サイネリアの本来の名称が「シネラリア(Cineraria)」なのです。しかし「死ね」と連想されて縁起が悪いことから、「サイネリア」という流通名が使われています。昔は縁起の悪いイメージを払拭するために、花屋では「富貴菊(フウキギク)」「富貴桜(フウキサクラ)」という縁起のよい名前で呼ばれましたが、今ではこの名はほとんど使われていません。
サイネリアの花言葉
サイネリアの花言葉は「いつも快活」「喜び」です。冷たい冬に華やかな花をたくさん開花させることに由来するといわれています。英語の花言葉は「いつも愉快(always delightful)」です。それゆえ、イギリスなどでは「早く元気になって」というお見舞いの意味をこめて、花束を病気の方に贈ります。しかし日本ではシネラリアの「死ね」という語呂から、お見舞いやお祝いの贈り物としては不向きとされるので注意が必要です。
まとめ
サイネリアは冬の鉢花として親しまれている花です。温度、日当たり、水やりや肥料の頻度など育て方に気配りが必要で、中級者向けの鉢花とされています。花がら摘みや花茎の剪定を高頻度で行い、花後に切り戻しを行うと、花を長く楽しむことが可能です。一年草として扱われますが、原種と交配した丈夫な品種も出てきています。室内だけでなく屋外でも楽しみやすくなってきているのです。挿し芽(挿し木)で増やしながら夏越しすることも夢ではありません。
サイネリアは高価な花ではないので、冬を彩る鉢花としてぜひ育ててみてはいかがでしょうか。ドーム状にまとまって、株を埋め尽くすほどに咲く色とりどりの花は、室内を明るく優しい雰囲気にしてくれることでしょう。
出典:写真AC