ラベンダーの代表格・ラバンディン
系統別でもご紹介しましたが、ここではラベンダーの代表格とも言えるラバンディンについて詳しく考察していきます。
ラバンディンってどんな品種?
イングリッシュラベンダーとスパイクラベンダーの交雑種であるラバンディンは、自然交配と人工交配の両種類あり、数あるラベンダーの中でもその形態が様々で、花の美しいもの、耐暑性のあるもの、香りのよいものと、その特徴も多様です。
ラバンディンの咲き誇る、北海道・富良野のラベンダー畑
日本でラベンダーといえば、富良野のラベンダー畑が有名ですよね。こちらのラベンダーはラバンディン系が主流です。大株になるのが特徴でもあるグロッソやスーパーセビリアンブルーが一面に並び育っている様子は、誰が見ても写真に納めたくなりますよね。イングリッシュガーデンとはまた違った趣ですが、ラベンダーのみで作られた一面紫色の景観は、生涯忘れられない風景となることでしょう。
育てやすいラバンディン
育てやすいのもラバンディン系の特徴の一つです。草丈は1mほどの大株になるのですが、育てやすさから庭園にもよく用いられています。育て方のポイントとしては
- 中性~アルカリ性の土壌を好むこと
- 庭植えの場合、植え付けの時以外は水やりはほとんど必要ないこと
- 根腐れ防止のため、乾燥気味に育てること
- 害虫がつくことはほとんどないこと
- 肥料のやりすぎは、逆にラバンディンの成長を妨げること
などがあげられます。こうして連ねてみると、ラバンディンの栽培って本当に手がかからないですね。ほとんど植えっぱなしの状態でどんどん成長していきますから、初心者でも始められやすいでしょう。それから気をつけておきたいことは、大きく成長しても大丈夫なスペースをあらかじめ確保しておくことです。大株に育ってしまってから移植することは難しいですからね。
ラベンダーの用途
精油(エッセンシャルオイル)
ラベンダーの用途として一番にあげられるのは精油としての活用でしょう。ラベンダーの精油の原料には、主に収穫量の多いラバンディン系が用いられ、日常に潤いを与えると同時にストレスを解消する役割を担っています。特徴的な香りとして、ラバンディンでは薬のような匂いのカンファ―とシネオールの成分を含み、イングリッシュラベンダーでは、よい香りとされる酢酸リナリルの成分が多く含まれます。
バスソルト
バスソルトとは精油と天然塩を合わせたもののことですが、中には重曹やクエン酸を加えたものもあります。ラベンダーの精油の効能は肌のトラブル改善。もちろん香りによるリラックス効果や、頭痛の鎮静作用などもありますから、うまく活用していきたいものですね。
サシェ
サシェとは日本でいう「匂い袋」のことで、海外ではクローゼットやバッグなどに入れて使われます。乾燥させたラベンダーの花に精油を数滴垂らしておくと、その香りも長持ちします。人工的ではないラベンダーの香りは、心身ともにリラックスさせてくれることでしょう。
ラベンダーを栽培するにあたっての注意
育て方
ラベンダーの生育に適した地中海性気候は、夏は乾燥、冬は温暖多湿と日本の気候とは大きく異なります。そこでまず一番に考えたいことは蒸れ対策です。株の尖端の方は青々と茂っているのに、根元から中ほどまでが、ちりちりと茶色く縮れて、剪定もままならない状態になっているラベンダーを見たことはありませんか?これは蒸れによって内側が枯死してしまった状態と考えられます。そうなる前にこまめに剪定してラベンダーの株を保ちましょう。
剪定のタイミング
ラベンダーの剪定の時期は秋と新芽が動き出す前の早春。花が咲き終ったら、株を2/3ほどを残して強めに剪定しておくことが望ましいです。その際に枝をすかしておくことも蒸れ防止対策となります。強剪定をすることによって新しい芽を伸ばし、株全体をリフレッシュさせることが目的です。
乱れる樹形
ラベンダーを育てたことのある方ならお分かりでしょう。さほど手間もかからず、どんどん成長していくラベンダーですが、数年も経つとその樹形は徐々に乱れ始めます。大株になりすぎると株全体としてのまとまりは失われ、収拾がつかなくなってきます。そうなる前にこまめに剪定すると同時に挿し木などで新しい株を作っておき、3年ぐらいで新しいものを更新していくとよいでしょう。
まとめ
ハーブの中でも馴染みのあるラベンダーですが、栽培するに当たっては、お住まいの地域の気候に適した品種を選ばれるとよいですね。ご近所を探検して、地植えされているラベンダーがどの品種なのか、育ち具合を観察するのも一つの手かもしれません。
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出典:写真AC