南天(ナンテン)の剪定手順を図解でご紹介!
(1)幹の調整から始めます。
< 図 解 >
①高さが3mあり、太さも直径約3cmの幹です。不釣合いなので根元から切り取り全体の高さを調整します。
※ 高さが気にならないのであれば横から出ている枯れた、いらない枝を切り取ります。
②以前、切り戻した幹なので先から新しい芽が出て大きく育ち、二股になった枝です。 葉が茂り、斜めに傾いてしまいました。 このままだとますます傾いてしますのでこの幹は根元から切り取ります。
③葉や枝が茂り密集している幹です。高さはよいのですが斜めになっているので、この幹も根元から切り落とします。
幹の剪定方法
【手順】
- 幹の間引き剪定にあたるもので込み合ってる不要な幹を選び、少し寂しくなりすぎたと思う程度の間隔にまで仕上げます。
- 幹のできるだけ根に近い位置をノコギリを使って取り除きます。
- 残す幹の数はめでたい植物なので吉をもたらすといわれる奇数にしてみるのもよいでしょう。
(2)枯れ枝、元気のない枝をさがして剪定をしていきます。
複葉の剪定方法
【ポイント】
- 枯れ枝や元気の無い葉を見つけとりのぞく作業です。
- 葉軸が交差し重なりあっている複葉を整えます。
- 風通しがよくなったと思えるぐらいまで取り除く剪定をします。
【手順】
- 葉が繁り過ぎて重たい部分や勢いのない樹形を見つけます。
- 基本の剪定を参考に葉軸全体を取り除きます。
(3)最後に樹形を整える剪定です。
【ポイント】
- 勢いよく葉を広げて空に向かって稔る真っ赤なナンテンの樹形を想像して剪定します。
- ナンテンの特徴は真っすぐ伸びた幹と空に向かって立ち上がる花穂、その下に葉が傘のように繁っている姿に整えます。
- 株が大きい場合は株全体の高さを2~3段に分けた樹形を考えて整え、特徴をだします。
【手順】
- 全体の樹形がナンテンの特徴がでているかを観察し整えていきます。
- 残した幹の地面に近い位置から必要な複葉の間にある枝や葉軸を取り除く剪定をします。
- 枯れたものは手で、下方に向かってちぎるように動かすと取りはぶけますが、剪定バサミを使って見栄えが悪いもの取り除いてスッキリさせます。
樹形が乱れた時の剪定
樹形の乱れは日当たりの違いによって複葉の左右のバランスが崩れたり、栄養分が多いと葉軸の間隔が広がりおおざっぱな複葉になります。幹どうしが交差している場合も樹形が乱れて見えます。思い切って間引き剪定をするとよいでしょう。6月ごろから夏の時期の作業になります。
南天(ナンテン)の育て方
ナンテンの育つ環境
ナンテンは土質を特に選びませんが、午前中に陽が当たる半日陰地で適度な湿度を好みますが生命力が強いので水はけがよい土地でも育ちます。基本的には植木鉢で育てている以外は水やりもとくに必要としませんが夏期は気をつけてあげましょう。
肥料
緩効性化学肥料
手入れや肥料も必要がないといわれるぐらい強い植物ですが冬に追肥をおこなったほうが実も大きくなり見事です。有機質肥料(鶏ふんなど)と緩効性化学肥料を使います。
肥料の種類
肥料には有機肥料と化学肥料があります。化学肥料には固形と水溶液があり、与えるとすぐに効果があらわれる速効性肥料、ある期間効果の続く緩効性肥料に分かれています。水溶性の緩効性肥料の効果は1週間程度ですが容器を工夫しより持続期間が長くなるよう工夫されたものがあります。
害虫
初夏から秋にかけて、カイガラムシが発生することがあります。葉が縮れるモザイク病やハマキ虫の被害も発生しますがナンテンは一般的に病害虫が少ないとされています。
増やし方
種を蒔く
ナンテンの赤い実は蒔いて増やすことができるので11月(終秋)頃に熟した実を採り、保管して翌年の春(3~4月)に蒔き増やします。日陰で水を与えながら気温15~25℃を保つと発芽が促されます。
挿し木
ナンテンの挿し木は3月と秋(9月)、複葉の一部を残した幹を深さ5cmに開けた用土の穴にやさしく差し込みます。用土は腐葉土や牛糞をませたもの、鉢植えではカリ、リン酸を多めに含む肥料を用土に混ぜて使います。
まとめ
ナンテンは生命力のある丈夫な木です。育て方にかかわらず美しい枝ぶりを楽しめる育てやすさから剪定作業を忘れがちになったり、おめでたい植物とされているので切り取る作業を躊躇(ちゅうちょ)しがちですが、思い切った剪定をしてみてナンテンらしい上品な樹形を楽しめるようにするとよいでしょう。
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出典:筆者撮影