亜麻仁油(あまにゆ)とは?効果・使い方や適切な摂取量をご紹介!

亜麻仁油(あまにゆ)とは?効果・使い方や適切な摂取量をご紹介!

亜麻仁油とは健康効果が期待されているオメガ3系の脂肪酸(α-リノレン酸)が多く含まれる食用油です。管理栄養士の立場から、亜麻仁油とはどんな特徴を持ち、身体への効果や副作用などがあるのかをご説明します。またおすすめの使い方や飲み方を併せてご紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.亜麻仁油とは
  2. 2.亜麻仁油の効能や効果
  3. 3.亜麻仁油の適切な摂取量と使い方とは?
  4. 4.まとめ

亜麻仁油とは

出典:写真AC

オメガ3系脂肪酸の健康効果に注目が集まり、亜麻仁油やえごま油を店頭でよくみかけるようになりました。日本ではまだ馴染みが浅い亜麻仁油ですが、海外では「フラックスシードオイル」と呼ばれていて、油の利用だけでなく原料の種子もスーパーフードとして人気の食材です。亜麻仁油は乾性油に分類され、空気中で乾きやすい性質を生かして以前はインクや塗料の原料として利用されてきました。必須脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含むことが周知されてからは、生活習慣病の予防やダイエット、肌質の改善などの効果が期待される食用油として注目を浴びています。

亜麻仁油とは①基本情報

オイルデータ

学名 Linum usitatissimum
原料 アマ科 種子
原産 エジプト
主な産地 カナダ
分類 乾性油
抽出方法 低温圧搾法

栄養成分

  • 9kcal(10gあたり)
  • コレステロール0.2mg(10gあたり)
  • α-リノレン酸(オメガ3系)45~58%含む
  • リノール酸(オメガ6系)18~28%含む
  • ビタミンE、ビタミンK、β-カロテンが含まれる

亜麻仁油とは②特徴

Photo byRitaE

風味と性質

商業用の亜麻仁油は独特の青臭い香りがありますが、食用は味や香りのくせが和らげられています。精製方法の違いにより、風味を楽しめるものから無味無臭のものなど、さまざまな商品が販売されています。熱や光、空気接触の影響で酸化しやすく、味や風味が損なわれてしまうため非加熱での使い方が適しています。酸化防止や飲みやすさに配慮されたカプセル状のサプリメントも多く出回っています。

選び方

日清アマニ油 145g

参考価格: 836円

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遮光性の高い容器に入っていて、約1か月程度で使いきれる容量のものを選びましょう。光や空気にさらされると酸化が進み風味が悪くなります。香りや味で選ぶ場合は精製方法を確認しましょう。「未精製」の商品は亜麻仁油が持つ特有の風味が味わえます。香りや味が苦手な方は「一番搾り」や「精製」と表示された商品がくせが無くおすすめです。

保管方法

暗く涼しい場所で保管しましょう。夏場は冷蔵保存をおすすめします。酸化を防ぐには適切な環境での保管が重要です。蓋の閉め忘れは酸化の原因となりますので、しっかりと蓋を閉めて空気にふれないように注意してください。また、開封後は1か月を目安に早めに使いきるようにしましょう。

亜麻仁油とは③エゴマ油との違い

エゴマ油とは、亜麻仁油と同様に必須脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含むことから健康効果が期待されている植物油です。両者の脂肪酸組成はとてもよく似ていて酸化しやすい性質も同じです。α-リノレン酸を含む割合は、エゴマ油のほうがやや高いです。エゴマに含まれるルテオリンというフラボノイドの一種が、花粉症などのアレルギー症状を抑えると注目されています。

亜麻仁油の効能や効果

身体に嬉しい効果

出典:写真AC

亜麻仁油に含まれる3つの脂肪酸の健康効果についてご説明します。

α‐リノレン酸の働き

・血液を固まりにくくし動脈硬化や血栓を防ぐ
・血圧を下げる
・LDLコレステロールを下げる
・免疫応答の改善
・肌荒れ予防

亜麻仁油に多く含まれるα-リノレン酸とは、オメガ3系の必須脂肪酸です。体内に入ったα-リノレン酸は一部IPAやDHAに変換されます。体内で作り出すことができない脂肪酸のため、食物から摂取する必要があります。欠乏すると肌荒れや皮膚炎等を引き起こします。α-リノレン酸の健康効果には各国が注目しており、生活習慣病の予防や、がんの発症抑制との関連性など、さまざまな研究が進められています。厚生労働省の健康情報サイトからも情報を得ることができます。

α-リノレン酸・リノール酸・アラキドン酸は体内で合成できないため、必須脂肪酸と呼ばれています。
これらは動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用を持っています。

リノール酸の働き

・血中の総コレステロールの減少

リノール酸はオメガ6系に分類され、α-リノレン酸と同じく必須脂肪酸です。不足すると髪のパサつきや傷の修復遅延がみられます。過剰摂取はアレルギーとの関連性が強く炎症を引き起こす恐れがあります。オメガ3系脂肪酸と競合関係にあるため、バランスの良い比率で摂ることが大切です。オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸を1:4の比率で摂取することが理想的といわれています。

オレイン酸の働き

・LDLコレステロールを下げる

オレイン酸は一価不飽和脂肪酸に分類され酸化しにくい脂肪酸です。オリーブ油に多く含まれていることで有名ですが、亜麻仁油にも微量に含まれています。善玉といわれるHDLコレステロールを減らすことなく悪玉のLDLコレステロールのみを減らす特徴があり、動脈硬化を予防するといわれています。

身体に望ましくない影響

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亜麻仁油の摂取による副作用はほとんど報告されていません。ただし、亜麻仁油も油の一種ですので、摂りすぎは脂質異常症の悪化や軟便の原因になることがあります。ダイエット効果があるとの情報もありますが、カロリーは他の油と同程度なので摂りすぎに注意し、栄養バランスが偏らないようにしましょう。また、酸化した油の摂取は下痢や嘔吐などの食中毒に似た症状が現れることがあります。

次のページでは、亜麻仁油の適切な摂取量と使い方をご紹介します。

亜麻仁油の適切な摂取量と使い方とは?

1日の適量

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1日小さじ1杯(4g)が適量です。栄養バランスの良い脂質の摂取量は、体格や年齢に見合った必要エネルギーの20~30%といわれており、オメガ3系の脂肪酸は成人男性で2.1g、成人女性では1.8gの摂取が勧められています。亜麻仁油には小さじ1杯に対しオメガ3系のα-リノレン酸が2.5g程度含まれています。

厚生労働省ホームぺージ 「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」

おすすめの飲み方

非加熱調理が適しています。手軽に習慣化しやすい摂取方法は飲み物に混ぜることです。とくに緑黄色野菜を使った野菜ジュースに混ぜるのがおすすめです。緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンやトマトに含まれるリコピンは、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。朝食のヨーグルトに亜麻仁油を混ぜて食べるのも便秘解消におすすめです。適度な油の摂取は便を柔らかくし、排便を促します。乳製品に混ぜると亜麻仁油の味や風味も気になりません。

相性のよい食材

脂溶性ビタミン(A、Ⅾ、E、K)は油と一緒に摂ると吸収がよくなります。

  • ビタミンAを多く含む食材…緑黄色野菜、牛乳、鶏レバー
  • ビタミンDを多く含む食材…きのこ類、鶏卵、さんま
  • ビタミンEを多く含む食材…ナッツ類、かぼちゃ、さつまいも
  • ビタミンKを多く含む食材…緑茶、紅茶、納豆

おすすめのレシピ

フリー写真素材ぱくたそ

手作りドレッシングがおすすめです。酢やレモン汁と亜麻仁油を混ぜて塩コショウで味を調えれば、簡単にフレンチドレッシングが作れますし、香味野菜を加えれば亜麻仁油のくせも気になりません。酸化してしまうので作り置きは厳禁です。食べる直前に調理しましょう。簡単なドレッシングのレシピをご紹介します。手順は材料をすべて混ぜ合わせるだけです。

ドレッシングレシピ①中華風

材料(一人分)

  • すりおろしにんにく…小さじ1/2
  • すりおろししょうが…小さじ1/2
  • すりごま…小さじ1
  • しょうゆ…小さじ1
  • レモン汁…小さじ1
  • はちみつ…小さじ1/2
  • 亜麻仁油…小さじ1

ドレッシングレシピ②和風

材料(一人分)

  • 大根おろし…大さじ1
  • ポン酢…大さじ1
  • 亜麻仁油…小さじ1

まとめ

Photo byRitaE

亜麻仁油については、さまざまな研究が進行中です。今後、より多くの健康効果の解明が期待されます。油の摂りすぎはよくありませんが、油の特徴に合わせた調理方法で適切な量を摂ることは、体調の維持や健康的なダイエット、肌美容に欠かせません。欠食しがちの方や魚料理が苦手な方は必須脂肪酸が不足しやすいので、ぜひ手軽に摂れる亜麻仁油を活用して栄養バランスを整えていただきたいです。加熱調理の必要がないので、忙しい方や調理習慣のない男性にもおすすめです。自分に合った亜麻仁油の摂り方を試してみてくださいね。

tajima naoko
ライター

tajima naoko

生物や生化学が好きで植物、食物、身体のしくみに興味があります。栄養士として病院給食の調理に携わっていましたが、植物への興味が止められず花屋に転職し8年ほど勤めました。その後栄養士職に復帰し、管理栄養士の資格を取得後は高齢者の在宅栄養管理支援に携わってきました。

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