アストランティア(アストランチア)とは
アストランティア(アストランチア)は、セリ科アストランティア属、学名Astrantiaの多年草の草花です。「マスターウォート」という別名を持ち、ヨーロッパ中部から東部の寒冷地を原産地とし、ナチュラルで愛らしい姿からガーデニングやドライフラワーなどのアレンジ素材としても人気があります。
特徴
草丈は、花茎が伸びた状態で40~80cm程になります。すらりと放射線状に枝分かれして伸びる花茎で、5~7月に半球状の繊細な花が咲くと風に揺れて、とてもかわいらしい印象です。深い切れ込みのある羽状(掌状)の葉は、地際でよく茂ります。花色には、白、ピンク、ワインレッド(赤)があります。
ボタニ子
環境がよいと秋にも花が咲くことがあるんだって!
花の仕組み
半球状に丸くふわっと開いた花は、カサカサと軽い質感です。しかし、このカサカサとした花弁のような部分は、総苞(がく)で、中心部分に小さな花がたくさん集まっています。また、この集まりの中で、数本長く飛び出しているものが雌しべです。
ボタニ子
総苞も含めて花径2~3cm程でかわいい雰囲気だね!
花言葉
アストランティアの花言葉には、「愛の渇き」「知性」「星に願いを」があります。ささやかでも優しく、美しい星のような花姿で、名前の由来は、ギリシャ語のAster(星)からきていると言われています。
アストランティアの育て方
アストランティアは、耐寒性が強く冷涼でやや湿った場所を好みます。反対に温暖な地域の夏の暑さや蒸れ、乾燥に弱いので、適切な栽培環境を選ぶことが重要なポイントになります。しかし、寒冷な土地でしか栽培できないというわけではなく、育て方や管理のコツさえ押さえれば、温暖な地域での栽培も可能です。
育て方①栽培環境
まずは、栽培場所が温暖な地域の場合、夏越しを考えた場所選びをしましょう。夏場の直射日光の当たる場所を避けて、風通しのよい半日陰か午前中の日当たりがあり午後からは日陰になるような場所を選んで下さいね。寒冷地の場合、植えっぱなしでも株は年々大きく生長するのでスペースの確保も重要です。
育て方②用土と肥料
アストランティアの栽培には、冷涼、温暖な環境に関わらず、根腐れを避けるための水はけのよい土壌と苦手な乾燥を避けるための保湿性のある用土選びが大切です。鹿沼土4:赤玉土(軽石)3:腐葉土3、程度の割合の用土を用意しましょう。肥料は、春と秋に緩効性の肥料を施しましょう。
育て方③植え付け
植え付け場所選びで重要な土壌問題解決のために、深く広く土壌を耕して、水はけをよくする他に、レイズベッド(レンガや石、木材を積んだ囲いで高さを持たせた花壇)に植え付けるとより効果的です。鉢植えの場合は、用土の配合によって調節しましょう。
育て方④水やり
アストランティアは、乾燥にとても弱いので、土が完全に乾いてしまわないよう、日頃の観察と水やりが重要です。湿った状態を保てるよう乾いてきたら保水するようにしましょう。ただし、根腐れにも注意が必要です。排水をしっかり確認しましょう。
アストランティアの管理
アストランティアの性質と育て方が分かったところで、株の生長を促す栽培やお手入れポイント、また、長持ちさせるために大切な管理のコツを確認していきましょう。
管理ポイント①夏越しのための置き場所選び!
温暖な場所の夏越しを考えて、日陰になる場所を定植地に選ぶべきですが、日当たりも生長には欠かせない大切な要素です。アストランティアは、日当たりが全くない場所では、生育、花付きともに悪くなります。そのため、半日は日の当たる涼しい場所が置き場として最適です。
ボタニ子
夏の西日は、アストランティアにとっては強すぎるよ!午前中の優しい日当たりのある置き場を選んでね!
管理ポイント②乾燥に気を付けよう!
アストランティアが乾燥によって弱ってしまうのを防ぐために、土が乾ききる前の水やりを心掛けましょう。また、水分の蒸発を抑えるために、株元の土に腐葉土やバークチップをマルチングするとよいでしょう。特に腐葉土は、肥料にはなりませんが、土中の微生物の活性化と土の保湿に役立つ優れものです。
管理ポイント③病気と害虫に注意!
アストランティアは、特に病気の心配はありません。用土の排水が悪いと根腐れを起こすので注意しましょう。害虫には、セリ科特有の毛虫やネコブセンチュウなどによる食害を受けることがあります。よく苗の状態を観察して、見つけ次第早急に対策をしましょう。
ボタニ子
種を取る予定がなければ、花がらを摘み取りる作業も忘れないようにしないとね!
アストランティアの植え替え
アストランティアは、2~3年経つと株が衰えてきます。株が衰えると花付きも悪くなるので、株の衰えが出てくる前に「株分け」をして、新しい株をそれぞれの場所に植え替える作業が必要になります。
アストランティアの増やし方
アストランティアには、2種類の増やし方があります。株の劣化を回避し、株の更新にも役立つ「株分け」と基本的な「種まき」のやり方と植え付け方法をご紹介しましょう。
増やし方①株分け
アストランティアの根は、太い根っこ状の根茎がいくつも枝分かれして伸びています。そして、太くよく伸びた根茎が地表に伸びて芽を出すので、新芽の集まりを見付けて3~5枚の芽が1株になるように分け、それぞれの新しい場所に植え替えます。株分け作業は、株の生長が盛んな春か秋に行いましょう。
増やし方②種まき
アストランティアは、発芽率が低く、種から育てるのはなかなか難易度が高めです。通常、秋に種まきをしますが、幼苗は繊細で、植え替えによって枯れてしまうことも多いようです。そのため、こぼれ種で自然に育てた方が生長しやすいのかもしれません。また、種を寒さにさらすことが発芽率を上げるポイントになります。
ボタニ子
より自然な状態で、冬の寒さに当てて厳しく育てる方がいいだね!
収穫
数年栽培して、大株になるとたくさんの花を収穫することができます。収穫した花は、切り花としてもドライフラワーとしても魅力的です。ハンギングドライで簡単にドライフラワーになり、色合いや質感もほぼ変わらないので、長くアストランティアの美しさを保てますよ。
ボタニ子
ハンギングドライ法やシリカゲルドライ法があって、花の半球状を保ちたい場合は、シリカゲルドライ法で乾燥させるといいよ!
まとめ
約10種類の原種があると言われ、ヨーロッパのお庭では昔からナチュラルなテイストで親しまれているアストランティア。日本ではまだ知名度は低いかもしれませんが、アストランティアマヨールという薄ピンク色の種類は、栽培もしやすく、ドライフラワーとしても人気があります。ぜひ、ご家庭でも栽培してみて下さいね。
出典:写真AC