マツバボタンの概要
マツバボタン(松葉牡丹)は南アメリカ原産の一年草です。一日花ですが花つきがよく、開花時期の間は次々と花を咲かせるので、寂しさを感じさせません。花色も咲き方も豊富なのが特徴です。暑さと乾燥に強く、栽培環境がよければほとんど手間がかかりません。夏のガーデニングや、ガーデニング初心者に安心しておすすめできる植物です。
名前の由来
和名のマツバボタン(松葉牡丹)は、花が牡丹の花に、細い葉が松葉に似ていることに由来しています。別名のツメキリソウ(爪切草)は、茎を爪で切って挿しても増やせるほどの強い生命力と繁殖力が由来です。ヒデリソウ(日照草)は、真夏の暑さや乾燥に強い特徴にちなんでつけられました。
マツバボタンの基本データ
学名 | Portulaca grandiflora |
科名 | スベリヒユ科 |
属名 | スベリヒユ(ポーチュラカ)属 |
和名 | マツバボタン(松葉牡丹) |
別名 | ツメキリソウ(爪切草)、ヒデリソウ(日照草)、ホロビンソウ(不亡草) |
原産地 | ブラジル、アルゼンチンなど南アメリカ |
開花時期 | 6月~9月 |
花色 | 赤、白、ピンク、黄、オレンジ、複色 |
マツバボタンの特徴
特徴①花色も咲き方も豊富
マツバボタンは花色の種類が豊富です。市販されている種は、花色混合で販売されています。耐暑性が高く乾燥にも強いので、真夏のガーデンを鮮やかに彩ってくれるでしょう。真夏の暑さと乾燥に耐えられる植物は意外に少ないので、それらに強く、しかも花色が豊富な植物は貴重です。おまけにマツバボタンは咲き方も一重咲き、八重咲き、万重咲きという種類があるので、好みに合った品種が選べます。
一日花で、すぐにしぼんでしまうマツバボタンですが、近年は夕方遅くまで咲いてくれる園芸品種も誕生しています。
特徴②横にはって伸びる
茎が枝分かれしながら、横にはうように広がり、花を咲かせる性質を持っています。このためお庭の空いたスペースを埋めるのにもおすすめです。栽培環境さえ合えば、持ち前の生命力と繁殖力でどんどん育ちます。横に広がる性質のため草丈は低く、生長しても10cm~25cmほどです。花壇に植える場合は前方がよいでしょう。
特徴③雄しべが動く
マツバボタンの雄しべには、指先でそっと触れるとモゾモゾと動き出すという性質があります。これはマツバボタンが指先を虫と勘違いした結果、受粉のために花粉を少しでも多く虫の体に付着させようとして動いているといわれています。
マツバボタンの種類・品種
ソーラーキッズ
八重咲き品種のマツバボタンです。花色混合の種が市販されています。鮮やかで種類も豊富な花色と、午後になっても花が閉じにくい開花時間の長さが特徴です。性質が強健でやせ地でも育ちます。花壇やコンテナ栽培だけではなく、ロックガーデンの石の隙間に植えても、個性的で趣あるガーデン作りを楽しめるでしょう。
ジュエル
一重咲きの品種です。花色は濃いピンクと白しかありませんが、花びらに光沢があるので、とてもよく目立ちます。開花時期が長く、通常のマツバボタンの開花時期は8月末までですが、ジュエルは10月初めまで開花することが可能です。また、マツバボタンのなかでは耐寒性があり、暖地であれば冬越しできます。ただし、土が凍結すると枯れてしまうので過信は禁物です。
ジュエルもソーラーキッズと同じく、春に花色が混合した種が流通しているよ。
マツバボタンの花言葉
マツバボタンの花言葉は「無邪気」「可憐」「忍耐」です。「無邪気」「可憐」は牡丹の花を小さくしたような可愛らしい花姿に由来しています。「忍耐」は短気な青年が些細なことで友人とケンカになって、思わずピストルを抜こうとしたところ、足元に咲いていたマツバボタンの花を見て、我に返ったというエピソードが由来です。
マツバボタンの花言葉まとめ
- 全般の花言葉:「無邪気」「可憐」「忍耐」
- 種類別・色別の花言葉はなし
マツバボタンの育て方
ここからはマツバボタンの育て方について紹介します。マツバボタンは性質強健のため、栽培環境がよければ、ほぼ手間いらずで育つ植物です。ですが育て方のポイントをしっかり抑えて育てることで、より健やかな美しい花を咲かせます。育て方のポイントをしっかりおさえて、マツバボタンをより美しく輝かせましょう。
マツバボタンの一年間の栽培管理スケジュール
主な作業 | 作業の適期 |
種まき | 4月~6月 |
植え付け | 5月~7月 |
肥料 | 5月~9月 |
開花 | 6月~9月 |
上記の表はマツバボタンの一年間の管理スケジュールを大まかにまとめたものです。ただし栽培作業の適期は、栽培環境やその年の気候条件などでズレることがあります。あくまでも目安程度にとどめておきましょう。また、栽培作業はこの他にも、水やりや剪定、冬越しや植え付け・植え替えの方法など、たくさんあります。詳細は下記をご覧くださいね。
育て方のポイント
①栽培環境
もともと南アメリカ原産の植物なので、日当たりがよく、高温で乾燥した環境を好みます。日陰では育ちません。多湿な環境だと根腐れを起こして枯れてしまいます。土も水はけさえよければ性質は問いません。鉢植えの場合は、草花用培養土7~8:腐葉土または鹿沼土2~3でOKです。地植えの場合は、掘り上げた土に腐葉土か堆肥を混ぜ込んでおきましょう。
②植え付け・植え替え
種まきの場合
マツバボタンの種は非常に小さいので、花壇やプランターに直にまくか、育苗箱で苗を育てる方法がおすすめです。どちらの方法も、種まきの後、土をかぶせないようにします。種まきの適期は4月~5月です。気温が低いと発芽しないので注意しましょう。発芽後は日によく当てて、株が混み過ぎないように、様子を見て間引いていきます。
苗植えの場合
苗植えの適期は5月~8月です。鉢植えの場合は苗よりも一回り大きい鉢に植え付けましょう。地植えは日当たりも風通しもよい場所を選び、植え付けていきます。複数の下部を植え付ける場合は、株同士の間隔を20cm~40cm空けましょう。マツバボタンは一年草なので、基本的に植え替えは不要です。
③水やり
マツバボタンは乾燥を好み湿気を嫌う植物なので、乾かし気味にするのが基本です。土が湿った状態が続くと、根腐れを起こすので注意しましょう。鉢植えの場合は用土がしっかり乾いてから水やりします。地植えはほとんど必要ありません。
④肥料
性質強健で生命力が強いので、肥料もあまり必要ありません。地植えの場合は与えなくてもOKです。水やりのたびに肥料分が流れてしまう鉢植えの場合は、生育期に当たる5月~9月の間、2か月に1回のペースで緩効性化成肥料を置き肥、もしくは月に2回~3回のペースで薄めに希釈した液体肥料を与えましょう。
⑤摘心・花がら摘み
ある程度茎が延びてきたら先端を摘み取ります。適期は7月頃です。この摘心作業によって、脇芽が生えるので茎の本数が増えて花数が増えます。左右に広がっていくので株全体のバランスもよくなりますよ。また、枯れた花をそのままにしていると、株が蒸れて病害虫の原因になったり、種がついて株の養分が消費されてしまったりするので、花がら摘みもこまめに行いましょう。
⑥病害虫対策
病害虫の心配はほぼありません。ただし、多湿な環境が続くと病害虫が発生する原因になります。摘心作業でバランスのよい株を作り、枯れた花は花がら摘みでこまめに処理し、風通しのよい環境を維持しましょう。また、梅雨時は灰色かび病になりやすいので、発病した箇所があれば早急に除去します。
⑦冬越し
マツバボタンは耐寒性に乏しい一年草なので、基本的に冬越しはできません。比較的耐寒性のあるジュエルも、暖地以外での冬越しは難しいです。どうしても、という場合は室内や温室で管理しましょう。
まとめ
マツバボタンは、花数が少なくなる真夏のガーデンを鮮やかに彩ってくれる上に、栽培するのにほとんど手間がかからないという、ガーデニング初心者にとっては非常にありがたい植物です。かわいらしいカラフルな花をいっぱい咲かせて、真夏のお庭をにぎやかに演出しましょう。
出典:写真AC