アレチウリの基本情報
アレチウリは北米原産の植物です。トゲの多い実をつけることで知られており、日本では「クズ」によく似ています。生育する際に周囲の栄養を吸い上げることと、高木にもまとわりつくことから生態系を破壊してしまいます。日本においては侵略的外来種として認定されており、地域によっては毎月駆除対象として指定されていることもあるようです。
名前 | アレチウリ/Sicyos-angukatus/burr cucumber |
分類 | ウリ科アレチウリ属 |
形態 | 大型のツル植物 |
生息地 | 北アメリカ・アフリカ・ヨーロッパ・アジアなど |
特徴 |
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影響 |
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防除方法 | 根ごと抜き取る |
繁殖期 | 8月~9月 |
アレチウリの実について
アレチウリの実の周りにはびっしりとトゲが生えそろっています。このトゲは非常に鋭く、多少厚手なくらいのジーンズであれば、あっさり貫通してしまうほどです。また、アレチウリは群生しやすいので、うっかりたくさん生えている場所に入るとかなり痛い思いをすることになってしまうでしょう。
アレチウリの繁殖期
アレチウリは、暖かく日当たりがよい場所に群生しています。世界中で広まっていることからもわかるように環境に対する適応力が高いのも特徴です。
繁殖期はいつ?
繁殖期は8月~10月で、この時期になるとトゲトゲのついた実を持ったアレチウリが現れます。この時期に分布を広めることも少なくありません。
アレチウリの分布
アレチウリは、その土壌への適応性の高さから現在では世界中に分布しています。元々は北アメリカが原産地だったものの、輸入した植物の中に紛れ、アジア、アメリカ、ヨーロッパなどに広がりました。
どんな場所に生えている?
アレチウリは、適応性の広さからどんな場所でも生育可能です。森や川の近くといった他の植物が好む場所はもちろん、路傍から荒地まで色々な場所で生育しています。その中でも特に好むのが日当たりのよい腐植質の多い土壌で、ゴミ集積地に群生しているのがよくみられます。
アレチウリの特徴
アレチウリは、小さなトゲに覆われた実が特徴として知られています。英名の「burr cucumber」は「刺々しいキュウリ」の意味ですが、この実を食べることはできません。花は白っぽい黄色で、園芸等に使われることはありませんが、つつましいその姿が好きな方も多いようです。
驚くべき繁殖力を有している
アレチウリはその繁殖力の高さでも有名です。一株あたり20,000個を超える種子をつけることもあり、土壌を選ばない性質もあいまって世界中に広がっています。種子が鳥のフンや靴の裏から別の場所に移動し、そこがアレチウリの群生地になることも少なくありません。
高木などに巻き付いて伸長する
アレチウリはツタ状の植物であるため、伸長する際に高木や電信柱といった高いものに巻き付きます。この特徴によってより広く繁茂することができ、さらに生命力も高くなるという特徴があるのです。
アレチウリの見分け方
アレチウリは外来種でありながら、在来種の「クズ」などとよく似た見た目をしています。その特徴的な果実を見れば判別は簡単ですが、結実していない状態でアレチウリを見分けるためには、アレチウリの見分け方をしっかりと把握しておかなければなりません。
アレチウリの特徴は葉!
結実していない状態のアレチウリを見分けるのなら、まず葉を見ましょう。アレチウリは茎の部分から1枚ずつ独立した葉を生やします。組になっている葉をつけているなら、それはアレチウリではなく別の植物です。
アレチウリの特徴は巻きひげ!
次に見るべき点は茎部分の「巻きひげ」です。巻きひげとは、ツタ系の植物が他の植物などに巻き付くために進化した器官のことをいいます。ツタから分化して細く丸まっている器官が、この「巻きひげ」です。見た目はバネのように丸まっています。「クズ」などと比べると、アレチウリにはこの巻きひげがあるので、簡単に見分けることができます。
アレチウリの駆除方法
アレチウリの見分け方がわかっても、駆除方法を知らなければ、アレチウリの問題を解決することはできません。というのも、アレチウリは土壌処理剤などへの耐性が強く、薬剤のみで除去することは困難だからです。よって、アレチウリを駆除する際は手作業による駆除を行わなければなりません。
アレチウリを駆除するときは手で引き抜く
アレチウリが雑草として生えてきた場合、効果的な駆除方法は手作業による除去のみです。しかも、多くの雑草に有効な刈り取りは効果的な方法とはいえません。というのも、アレチウリは根の一部やツタが残っただけでも、そこから再度増えてしまうからです。そのためアレチウリを除去するのなら、手で一本ずつ引き抜くのが最も有効な駆除方法です。
アレチウリを引き抜く方法
アレチウリを引き抜く際は、必ずつたを辿って根本がどこなのかを把握しておきましょう。アレチウリは群生していることが多いことからこの判別が非常に難しく、根本の特定に時間がかかってしまうことも少なくありません。根本を特定したら、千切れないように細心の注意を払いながら根っこを引き抜きましょう。
定期的な引き抜きが必要な場合も
前述したように、アレチウリは非常に高い生命力と繁殖力をもっています。そのため、1度引き抜いても、再び生えてくる可能性も少なくありません。アレチウリを駆除した場所では定期的に様子を見て、アレチウリが再び生えてきた場合はまた引き抜くようにしましょう。
処理と運搬の制限
通常の雑草は、引き抜く、もしくは刈り取ったあと、ひとまとめにしてどこかへ捨てるというのが一般的な処理方法です。しかし、アレチウリはこれ以上生息地を広げないように運搬が制限されているので、枯死するまではそこから動かしてはいけません。よって、引き抜いたあとは運んだりせず、その場で枯死させましょう。
アレチウリを枯死させるためには?
アレチウリを枯死させる方法はそうそう難しくありません。通常の雑草と同様に、根っこまで引き抜いたアレチウリを天日干ししましょう。30分程度で枯死します。もし曇っている等の理由で天日干しができない場合は、種子が飛び散らないよう、密閉できる袋に入れて枯死させてください。
アレチウリが引き起こす問題について
雑草として生えてきた場合は、これ以上繁茂しないようにしっかりと警戒をする必要があるアレチウリ。では、なぜここまで厳重な警戒が必要なのでしょうか。それは、アレチウリが持つ性質にあります。
アレチウリは生態系を破壊する
アレチウリは単なる雑草ではなく、生態系を破壊する侵略者でもあります。長野県千曲川の調査によると、アレチウリが群生している場所では、他の植物がほとんど姿を消していることがわかっているほど。そのため、花壇などにアレチウリが雑草として生えていると、花壇の植物がいつの間にか消滅してしまう恐れがあります。
アレチウリは他の植物を枯らす
アレチウリは広い葉をつけます。そのため、他の植物にも与えられるはずの日照を独り占めし、それによって他の植物を枯らしてしまうのです。また高木などにも巻き付いて伸長するので、高木の栄養を吸い上げ、付近にアレチウリを広めてしまいます。結果として、高木を住処としていた昆虫などの数が減少させてしまうのです。
まとめ
アレチウリは、日本生態学会によって「侵略的外来種」に認定されている植物です。そのため、庭や花壇に雑草として生えてきた場合も、しっかりとした対処が求められます。地域によっては定期的に駆除作戦が実施されていることからも、アレチウリの被害を鑑みることができるでしょう。見かけたら、しっかりとした方法で対処してください。
出典:写真AC