ナワシロイチゴ(苗代苺)とは?
名前 | ナワシロイチゴ(和名:苗代苺) |
別名 | ワセイチゴ:サツキイチゴ |
学名 | Rubus parvifolius |
分類 | バラ科:キイチゴ属 落葉小低木 |
原産地 | 日本:朝鮮:中国 |
高さ | 20cm~30cm |
開花時期 | 5月~6月 |
バラ科の落葉小低木
ナワシロイチゴ(和名:苗代苺)はバラ科の植物で、紅葉の季節になると葉が鮮やかに色づき、樹高はそれほど高くならない落葉小低木の野いちごです。キイチゴ属に分類されるはナワシロイチゴは開花後に赤い実をつけ、実は食べることができます。
苗代の季節が由来に関係している
和名の「苗代苺」や、別名の「早生苺(ワセイチゴ)」「皐月苺(サツキイチゴ)」の由来は季節が関係し、苗代の季節(田んぼの苗作りをする時期)にナワシロイチゴの実が赤く熟すことからきています。
学名の意味
ナワシロイチゴの学名は「Rubus parvifolius」ですが、「Rubus(ルブス)」は ラテン語が語源で「赤」や「野苺」を意味し、「parvifolius」には「小さな葉の」という意味があります。
ナワシロイチゴの特徴1:「茎」と「とげ」
ツルのような「茎」と下向きに生じる「とげ」
ナワシロイチゴの茎は地面を這うツルのように伸び、立ち上がって成長はせず、新しい茎の色は緑色で、成長が進むと木質化し赤や茶色に変わります。茎や葉柄には、下向きに生じる鋭いとげがたくさんつき、とげには茎や葉が動物に食べられてしまうのを防ぐ役目や、ほかの植物にとげを絡めて成長する役割を持っています。
ナワシロイチゴの特徴2:「葉」と「葉裏」
「葉」と「葉裏」の形や色
葉柄は茎に対し互い違いに生じ、葉柄の先で三つ又に分かれる3出複葉になっています。葉の形はひし形に近い卵形で、縁には重鋸歯があり内側に向かってゆるやかに丸みを帯びます。葉表は緑色で光沢はなく、葉裏にはびっしりと白い綿毛がついています。葉裏の綿毛には、雨の水をはじく、水分を発散させやすくする、虫などの食害を防ぐやなどの役割があります。
ナワシロイチゴの特徴3:「花」と「ガク」
「花」と「ガク」の色や大きさ
開花時期は5月~6月です。花色は赤紫色で大きさは約7mm、5枚の小さな花びらは開花しても開かず、そのままの状態で花期を過ぎ花びらを落とします。ガクの色は淡いクリーム色で大きさは約2cm、花びらと同じ枚数のガクは開花とともに大きく開き受粉後に閉じます。
受粉後のガク
ナワシロイチゴの花は受粉のあとガクを閉じて幼果となります。幼果の大きさはつぼみより弱冠サイズが大きく、受粉後にいったん閉じてから果実ができるころにまたガクが開きます。
ナワシロイチゴの特徴4:「実」と「種子」
「実」は集合果になっている
6~7月にできる実は粒が固まってできる集合果で、集合果の大きさは約1.5cmほど、1個の粒の大きさは7mmほどです。粒は丸く尖った先端を持ち、先端からは短い毛が生え、全体的に赤くひと粒ひと粒にツヤがあります。
「種子」の形や大きさ
完熟後、実から果肉の部分がなくなり、中から種子がでてきます。種子は楕円形で大きさは約1.5mmほど、色は薄い茶色で白いしわ模様があります。
ナワシロイチゴの栽培方法1:場所
日当たりのよい場所で管理
ナワシロイチゴは日光を好む植物です。日陰になる場所で栽培すると、茎の成長や実のつきが悪くなるので、日当たりのよい場所で栽培や管理をしましょう。
ナワシロイチゴの栽培方法2:水やり
地植えと鉢植えの水やりの仕方
地植えの場合はとくに水やりの必要はなく、降雨でじゅうぶんです。鉢植えは土が乾いたら、鉢の底から水がでてくるまでたっぷりと与えましょう。
ナワシロイチゴの栽培方法3:土
適した土質は?
ナワシロイチゴは水はけのよい土質を好みます。市販品を使う場合は、水はけがよいタイプの山野草用土を使用します。
ナワシロイチゴの栽培方法4:肥料
時期と与える肥料は?
芽のでる時期と花が咲いたあとに、効果がゆっくりとでる固形の緩効性肥料を与え、寒肥として有機肥料を与えます。
続いては、ナワシロイチゴの増やし方をご紹介!
ナワシロイチゴの増やし方1:種子
種子で増やせる
ナワシロイチゴは種子で増やすことができます。インターネットで種子の購入ができますが、花後に採れる種子を使って栽培することも可能です。種子の採取は完熟した実から果肉がなくなり、地面に種がこぼれ落ちる前に採りましょう。
ナワシロイチゴの増やし方2:挿し木
挿し木で増やせる
ナワシロイチゴの枝を使い、挿し木で増やすことができます。挿し木枝は葉がついている部分を使い、水はけがよい用土か挿し木用の土を使いましょう。
増やし方の注意点は、種子から育てた株や挿し木枝には小さなとげがあるので、植え付けや植え替えのさいに怪我をしないよう注意して作業しましょう!
ナワシロイチゴの味は?
果実の気になる味は?
果実は酸味が強く、あまり甘みを感じません。食用にする場合は、砂糖を加えて煮詰めジャムにして食べるのがよいです。
野いちごの品種
たくさんある野いちごの品種
ナワシロイチゴ以外にも、「バライチゴ」「クサイチゴ」「ヘビイチゴ」「ニガイチゴ」「フユイチゴ」など、野いちごにはたくさんの品種があります。それぞれの品種は日本各地で見られ、野いちごジャムとして販売されているものもあります。
野いちごを採るときの注意点
自然のなかで育つ野いちごを採取するさいに、注意する点が4つあります。
- 野いちごの茎についているとげで怪我をしないよう、注意して採取する。
- 草のなかにヘビなど、噛みつかれる心配がある動物がいないか確認してから採取する。
- 車や散歩する犬が多い道路沿いの野いちごは、あまり採取しないようにする。
- 野いちごのなかに虫がいないか、実を割って確認してから食べるようにする。
まとめ
初夏に赤く熟す実を食べることができ、秋には美しく色づく葉を観賞することもできるナワシロイチゴ。季節によってさまざまな変化があり、日本各地に自生することから、散歩がてら探してみるというのも楽しい植物です。低木とはいえ立ちはせず、地面を這うように成長するので、ナワシロイチゴを探すときは足元を観察しながら探してみてくださいね。
出典:写真AC