ミゾソバ(溝蕎麦)とは?特徴や見分け方を紹介!蕎麦との関係は?

ミゾソバ(溝蕎麦)とは?特徴や見分け方を紹介!蕎麦との関係は?

用水路や小川のそばに生息するミゾソバ(溝蕎麦)は、水の多い場所を好む植物です。春から夏にかけて花の上部がピンクや薄紫色、下部が白い可憐な花を咲かせます。ここではミゾソバの基本情報や特徴、食べ方やソバ(蕎麦)との関係を紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.ミゾソバ(溝蕎麦)の基本情報
  2. 2.ミゾソバ(溝蕎麦)植物の特徴
  3. 3.ミゾソバ(溝蕎麦)の食べ方
  4. 4.ミゾソバ(溝蕎麦)とソバ(蕎麦)の関係
  5. 5.まとめ

ミゾソバ(溝蕎麦)の基本情報

出典:写真AC

ミゾソバ(溝蕎麦)は、茎や葉が四方八方に伸びて地面を覆うように成長したのち、紅葉後に地上部が枯れる一年草の植物です。

基本情報

名前 ミゾソバ
和名 溝蕎麦
学名 Persicaria thunbergii
分類 タデ科:イヌタデ属
一年草
草丈 30cm~1m
開花時期 7月~10月

原産地と生息地

日本・中国・朝鮮半島を原産とし、田んぼわきの用水路や小川、沼や湖の水のほとりで多くみられます。水のある場所を好む性質です。

ミゾソバ(溝蕎麦)植物の特徴

出典:写真AC

特徴①茎

ほふくする茎には節があり、節から根をだして地中内の養分や水分を吸収します。地面を這う茎から立ち上がって伸びる茎は高さが30cm~70cmほどになり、たくさんの葉をつけます。茎には点線状に並んでつく無数の小さなとげがあり、とげの先端はすべて下向きになっています。

枝分かれ部分の「葉鞘(ヨウショウ)」

枝分かれ部分がさや状の葉に包まれた「葉鞘(ヨウショウ)」になっています。葉鞘や葉鞘のふちから伸びる長い毛は、茎を守る役目をはたします。

特徴②葉

Photo by harum.koh

芽吹いたばかりの葉や幼い葉の形はほぼ円形で、成長すると葉柄側に大きなくびれができ先端が尖ります。葉表にはうっすらと光沢がありますが、葉裏にはなくマットな色合いです。表裏ともに短い毛がついています。

紅葉期の変化

10月ころから紅葉がはじまります。成長期の緑色から寒さを増すごとに黄色く葉色が変化し、紅葉終盤は鮮やかな赤色になり、その後茶色く変色して枯れます。

特徴③花

Photo by harum.koh

7mm~8mmほどの小さな花が花柄の先に10個ほどかたまってつく様子は、お菓子の金平糖に似ています。花は上部がピンク色または薄紫色で下部は白く、5枚の花びらが開いた状態を真上から見ると星のような形をしています。花の中央に8本の雄しべと、先端が三つ又に分かれた雌しべがあります。

特徴④実

果皮はつぼみと同じような形の円錐形で、赤みをおびた茶色にツヤがあります。果皮の中には5mmほどの果実が1つあり、果実は3つの角と先端から細く伸びる毛をもっています。完熟しても果実の色は緑のままです。

ミゾソバ(溝蕎麦)の食べ方

出典:写真AC

新芽や柔らかい葉、花など少し苦味はありますが、春の山菜のように食べることができます。ここでは手軽に調理できる「おひたし」と「天ぷら」の作り方を紹介していきます。

食べ方①おひたし

材料

  • ミゾソバの新芽(または柔らかい葉の部分)
  • 醤油(または麺つゆ)
  • お好みで鰹節など

作り方

  1. 水を沸騰させます。
  2. お湯に塩と新芽(または柔らかい葉)をいれて茹でます。
  3. 茹であがったら水にさらし、あら熱をとります。
  4. 食べやすい大きさに切り、醤油や麺つゆで和えて器に盛りつけます。

ボタニ子

ボタニ子

苦味が気になる人は、鰹節などのトッピングをかけて食べると苦味が和らぎます。

食べ方②天ぷら

材料

  • ミゾソバの新芽・柔らかい葉・花
  • 天ぷら粉
  • 天つゆ(または塩・醤油)

作り方

  1. 新芽・柔らかい葉・花は茹でたりせずそのまま使います。
  2. 天ぷら粉に水を適量いれて衣を作ります。
  3. 油を適温まで温めます。
  4. よく洗った新芽や花などに衣につけて油にいれます。
  5. 衣がキツネ色になったら、キッチンペーパーやバットにあげて油をきります。
  6. 油がきれたら器に盛り、天つゆなどで食べます。

ミゾソバ(溝蕎麦)とソバ(蕎麦)の関係

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

白い絨毯を敷きつめたようなソバの花畑。

ソバ(蕎麦)の基本情報

Photo byHans

名前 ソバ
和名 蕎麦
学名 Fagopyrum esculentum
分類 タデ科ソバ属
一年草
草丈 60cm~130m
開花時期 6月~10月

日本で馴染み深い食品として古くから食されてきたソバ(蕎麦)は、中国が原産の植物です。とても成長が早く、短い期間で開花し結実、収穫ができます。乳白色の花を咲かせますが、花びらのように見えるものはガク片で、ソバには花びらがありません。

ミゾソバとの関係

1,名前の由来

ミゾソバ(溝蕎麦)の名前の由来は、自生する場所が用水路などの「溝のそば」であることと、植物全体の姿がソバ(蕎麦)によく似ていることからきています。また果実の形がソバの実に似ていることも関係しているといわれています。

2,食用

古く日本での飢饉時には稲耕作とともに田んぼわきでミゾソバが栽培され、貴重な救荒食としてソバの実のように食べられていました。現在ではミゾソバは雑草という見方のほうが強く、実が食用になることはありません。

見分け方①葉の形

出典:著者イラスト

ミゾソバは大きなくびれがあるのに対し、ソバは三角形に近い形をしています。

見分け方②花

出典:写真AC

ソバは細い柄の先に花がつきますが、ミゾソバはガク片のじかに花がついています。

見分け方①実の色

実が熟しても色が変わらないミゾソバに対して、ソバは完熟すると色が黒褐色に変わります。

まとめ

出典:写真AC

田んぼわきの用水路や小川のふちなど水辺に自生するミゾソバは、夏から秋にかけて花を咲かせます。小さな花の集まりはまるで金平糖のような形で、群生して咲く時期は水辺をにぎやかにします。古く飢饉時に救荒食として食べられていたミゾソバの実を現在食べることはなくなりましたが、新芽や柔らかい葉などは今も食用にされています。水辺で見つけたら、春の食材に取りいれて味わってみてくださいね。

Lemona
ライター

Lemona

菊のよさに気付いてきた今日この頃。2020年は菊の栽培にチャレンジするぞ!

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