杏の種類
まず、杏には様々な種類(品種)があります。それぞれを一覧にしました。
種類 | 日本での栽培開始 | 味 | 出荷・収穫時期 |
平和 | 大正時代 | 酸味が強い | 6月下旬~7月下旬頃出荷 |
昭和 | 昭和15年頃 | 酸味が強い | 7月上旬~中旬頃収穫 |
新潟大実 | 昭和初期 | 酸味が強い | 7月上旬頃収穫 |
信州大実 | 1980年 | 酸味は少なめ | 7月中旬頃収穫 |
山形3号 | 昭和初期 | 甘みはあるが酸味が強い | 6月下旬頃出荷 |
信山丸 | - | 酸味はやや強め | 6月下旬頃出荷 |
ハーコット | 1979年 | 酸味は少なく甘みが強い | 7月上旬頃出荷 |
ゴールドコット | 1967年 | 酸味が少なく甘みが強い | 7月中旬頃収穫 |
杏の歴史
杏はバラ科アンズ属で6~7月頃に多く出回ります。主な産地は青森県、長野県、福島県です。また、中国北部、中央アジア、ヒマラヤ西北部が杏の原産地といわれています。杏が栽培し始められた年はいくつか説がありますが、中国では2000年以上も前だそうです。その後、中国からヨーロッパ、中東、アフリカへと広まっていき、18世紀頃にアメリカに渡ったとされています。
杏の用いられ方
昔は杏仁(きょうにん)という杏の種子の中にある白い実を収穫するために栽培されていたようです。それを食用として用いるのではなく、主に咳を止めるための漢方薬として用いられていました。
日本に渡った時期
日本に渡ってきた年代は定かではありませんが、平安時代の文献に「唐桃(カラモモ)」という和名で出現していることから、その頃には既に栽培が始められていたと考えられます。その頃はまだ中国と同じく、杏仁を収穫するために栽培されていました。また奈良時代に、梅と一緒に中国から渡来したとも言われています。
食用になったのは明治時代以降
日本で杏を食用として用いられるようになったのは、明治時代に入ってからのことで、本格的に栽培が行われるようになったのは、ヨーロッパ品種が盛んに持ち込まれたとされる大正時代からといわれています。
杏の食べ方
杏の食べられる季節は限られます。酸味が強いため、そのまま食べるよりもジャムやお酒などに加工されることが多い果物です。例えば、杏露酒という酒があります。しかし、中には酸味の少ない生のまま食べられる種類もあります。熟した果実は傷みやすいので、冷蔵庫で保存し2~3日以内に食べると良いでしょう。他にも、飴やジャム、シロップ漬け、ワイン、ドライフルーツとしても食べられます。
美味しい杏の選び方
- 形のよいもの
- 皮の色が濃いもの
- 光沢のあるもの
杏がもたらす効果
杏には、高血圧予防や疲労回復などにも効果があるといわれています。他にも、殺菌作用があり胃腸の働きが良くなるともいわれており、多くの栄養素が含まれています。また、上記の通り、杏の種には咳や痰を止める効果があるとされています。
杏の花の特徴
杏の花はおよそ5~10メートルあり、バラ科サクラ属です。花びらの形は丸く、5枚あります。葉は楕円形で、縁がギザギザしています。梅の花と似ていますが、樹木の姿が直立していることや、幹の表面に縦の筋があることなどから見分けることができます。
杏の花の開花時期、季節
杏の開花時期は、一般的に3~4月とされていますが、年ごとにかなり変わります。おおざっぱに言うと杏の開花時期は、梅と桜の開花時期の間ぐらいです。季節は春です。
杏の由来
中国では、杏子の「杏」は「木」を、「子」は「実」を意味します。漢名である「杏子」は中国語の発音から「あんず」と呼ばれるようになったことが由来です。また、甘酢梅(あまずうめ)が変化したことが由来ともいわれています。「木」という漢字の下に、「口」という果実を示す漢字を組み合わせて、おいしい実が実る植物という意味もあります。
名前にも使われる杏
杏の漢字を使った名前の人が身近に一人はいるのではないでしょうか。例えば、芸能人でもモデルの「杏」さんがいますね。杏の漢字のついた名前からは可愛らしい印象を受けるのではないでしょうか。
杏の花言葉
杏の花言葉には、「乙女のはにかみ」という意味があります。桜よりも少し早くはにかむように咲くようだったためつけられました。見た目も花言葉もとても可愛らしいですね。また、英語の花言葉には、「timid love(臆病な愛)」「doubt(疑い)」「distrust(疑惑)」という意味があります。
アプリコットとは
杏は英語でアプリコットと呼ばれます。また、アプリコットは他にも熟した杏の実の「色」の名前のことでもあり、化粧品などでよく耳にするかもしれません。
アプリコットの香り
アプリコットはよく芳香剤に使われます。他にも香水、アロマキャンドル、お線香の香りに使われたりもします。甘酸っぱい香りがしますが、そこまで強い匂いはしません。杏にはラクトンという成分が含まれており、若々しい匂いがします。
杏から取れる油
杏の種子にはあんず油という油が含まれています。あんず油は保湿力が高く髪につけると、つや髪になれると言われています。べたつきもせず、匂いも自然な甘い香りなので使いやすそうです。
まとめ
杏の特徴や由来などについて紹介しましたが、いかがだったでしょうか。杏の実は食用としてだけではなく、その匂いや保湿力をいかしてアロマなどの芳香剤や、ヘアオイルなどに使われることが分かりましたね。杏の季節が楽しみになってきましたね。皆さんもぜひ杏の香りを使ったものを試して若々しくなってみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC