オリーブの人気の理由は観葉植物としてだけではない?
オリーブは小さくコロンとした実と、細長い銀色がかったグリーンの葉が特徴の高木です。部屋やバルコニーをおしゃれに飾る観葉植物としてよく選ばれますが、人気の秘密は「見た目」だけではありません。オリーブのグリーンやブラックの実は体に嬉しい栄養がとても豊富です。
オリーブの実の栄養と効果
オリーブの実には「グリーン」と「ブラック」の2種類があります。含まれる栄養素はほぼ同じですが、含有量は異なります。求める効果や効能にあわせて実の色を選びましょう。
オリーブの実に緑と黒があるのは、品種の違いによるものですか?
オリーブの実の色の違いは種類によるものではありません。熟した直後の実は緑色を、さらに完熟していくと黒色に変色します。見た目だけでなく、栄養素や味、香りにも違いがあります。
栄養①オレイン酸
オレイン酸は、不飽和脂肪酸の中でも「オメガ9系」と呼ばれる、体内で生成できない栄養素のひとつです。善玉コレステロールを減らすことなく悪玉コレステロールを減らせるため、血液をサラサラにし血流促進効果が期待できます。ビタミン類の吸収をサポートする働きも持っており、体温調整や代謝アップ、体の調子を整える役割を果たします。
オレイン酸含有量(100gあたり) | |
グリーンオリーブ | 10g |
ブラックオリーブ | 8.5g |
栄養②ビタミンE
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれるほど、体内の酸化を防ぐ優れた働きを持っています。悪玉コレステロールの酸化や血管内への付着を防ぎ、末梢血管を広げる役割も果たすため、血流促進や冷え性改善効果への期待が高いです。肌を紫外線から守り、肌細胞の老化を抑制するため、美肌作りにも役立ちます。
ビタミンE含有量(100gあたり) | |
グリーンオリーブ | 5.5mg |
ブラックオリーブ | 4.6mg |
ボタニ子
栄養③βカロテン
βカロテンは、体内に入るとビタミンAに変換される抗酸化物質です。皮膚や目の粘膜の健康維持や活性酸素を抑制するのが主な働きで、免疫力アップ、美肌作り、老化防止などに効果的です。オリーブの中でもグリーンオリーブにしか含まれない成分のため、βカロテンを摂取したい人はグリーンのものを選びましょう。
βカロテンの含有量(100gあたり) | |
グリーンオリーブ | 450㎍ |
ブラックオリーブ | 0㎍ |
栄養④ポリフェノール
ポリフェノールにはいくつか種類がありますが、オリーブに含まれているのは「ヒドロキシチロソール」と「オレオカンタール」の2種類です。ビタミンCの約10倍の抗酸化作用を持ち、体内の不要なたんぱく質除去や血管の健康促進、関節痛予防、肝機能アップへの効果が期待されています。美白や美肌サポートの役割も果たすため、特に女性からの支持が高いです。
ボタニ子
オリーブに含まれるポリフェノールは、完熟するにつれて減っていくんだって!ブラックよりもグリーンオリーブのほうが含有量が豊富だよ!
栄養⑤食物繊維
オリーブには、食物繊維の中でも「不溶性食物繊維」が豊富です。不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やし大腸を刺激します。また有害物質を吸着させて体外に排出する手助けもするため、整腸作用、便秘予防、便秘解消効果への期待が高いです。乳酸菌のような体によい善玉菌のエサにもなり、お腹の調子を整える手助けもしてくれます。
食物繊維含有量(100gあたり) | |
グリーンオリーブ | 3.3g |
ブラックオリーブ | 2.5g |
栄養⑥カルシウム
カルシウムは、骨や歯の形成や維持に不可欠な栄養素です。そのほかにも、神経や筋肉の働き、細胞分裂の活発化、血液凝固作用を持っています。カルシウムが不足すると骨や歯がもろくなるだけでなく、神経過敏、高血圧、免疫力低下などの症状を引き起こします。特に骨や筋肉の成長期である子どもには必須の栄養素です。
カルシウム含有量(100gあたり) | |
グリーンオリーブ | 79mg |
ブラックオリーブ | 68mg |
オリーブの実の食べ方【下処理】
ツヤツヤとしてきれいなオリーブの実ですが、じつはとても渋いです。この渋みは、成長過程で鳥や虫、動物からの食害を受けないように、木自身が作り出したものです。オリーブは一般的に、塩漬けやオイル漬けなど瓶詰めに加工されます。生の状態では渋くて食べられないため、調理加工する前に渋抜きをしましょう。
アク抜きの方法①塩水で
準備するもの
- オリーブの実
- 水
- 塩
- 保存容器
- ボウル
渋抜きのやり方
- オリーブの種を抜く
- ボウルなどの容器に、オリーブがひたひたに浸かる分量の水を用意する
- 塩分濃度が7~10%になるように、2に塩を入れてかき混ぜる
- 清潔な保存容器にオリーブを詰め、3を注ぎ入れる
- 冷蔵庫で保管する
塩水で渋抜きするときの注意点
オリーブの分量は、好みの量で構いません。種は抜かなくても渋抜きできますが、抜いたほうが早く渋みが抜けます。保存容器に浸けている際に空気に触れるとカビてしまうため、塩水はたっぷりの量を用意しましょう。渋が抜けるまで半年~1年ほどでかかります。途中で何度か様子を確認し、実が空気に触れそうであれば塩水を足してください。
アク抜きの方法②重曹で
準備するもの
- オリーブの実
- 食用の重曹
- 水
- 保存容器
渋抜きのやり方
- 保存容器にたっぷりと水を入れる
- オリーブの実の種を取り、1に入れていく
- 3%の濃さになるように、2に重曹を入れて混ぜて一晩おく
- 3の上から流水を注ぎ、内部の水を真水に変える
- 3%の濃さになるように4に重曹を入れて混ぜる
- 4~5を10日ほど繰り返す
重曹で渋抜きするときの注意点
オリーブは好みの分量で構いません。重曹は食用のものを用意し、事前に3%の濃度になるように量っておきましょう。オリーブは空気に触れると変色するため、重曹水を変えるときは実を保存容器から取り出さないでください。渋は10日ほどで抜けますが、食べてみてまだ渋みを感じる場合は、浸ける期間を2~3日延ばしても大丈夫です。
アク抜きの方法③苛性ソーダで
準備するもの
- オリーブの実
- 苛性ソーダ
- 水
- バケツ
- ホース
- 落とし蓋
- ビニール手袋
渋抜きのやり方
- オリーブのヘタを取り除く
- バケツに、実が完全に浸かるほどたっぷり、1.8%の苛性ソーダ水を用意する
- 2に1を入れて、2時間おきにかき混ぜる(素手は厳禁)
- 8時間~12時間ほど浸ける
- 1粒取り出してカットし、苛性ソーダ水が染み込んでいるか確認する
- バケツの水が透明になるまで、ホースで流水を注ぎ続ける
- 水が透明になったら落し蓋をする
- 水が濁らなくなるまで、1日3回流水で水を換える
苛性ソーダで渋抜きするときのポイント
苛性ソーダはアルカリ性が強く、素手で触るのは危険です。また、ガスも発生する恐れがあるため、屋外で作業しましょう。排水する際も酢酸で中和する必要があります。ほかの渋抜きの方法より早く渋が抜けますが、苛性ソーダの扱いは難しく、初心者の人には向いていません。
ボタニ子
次も引き続き、オリーブの実の食べ方について紹介していくよ!
オリーブには、1日に必要な摂取量の70~80%のビタミンEが含まれているよ!脂肪と一緒に摂るのが効果的なんだって!