レンギョウの名前の由来
レンギョウは中国、日本、そして韓国でも人気のある樹木です。名前の由来にはそれぞれの国で伝えられる物語や言い伝えが背景にあるようで、これも人々に愛されるがゆえと言えるでしょう。
中国でのレンギョウの名前の由来
その昔中国河南省の伯岐山には、有名な医学家の伯岐が住んでいました。伯岐には孫娘がおり、名前を連翹といいました。ある時伯岐が薬剤の研究中に誤って中毒症状を起こしてしまいます。連翹の機転で、そばにあった植物の葉を手でもみほぐし伯岐の口に入れると、命を取りとめることができました。
伯岐はその後元気になり、再び研究に打ち込むようになりました。このため伯岐の命を救った植物は連翹と名付けられたと言われています。漢方の世界でレンギョウが生薬として使用されるようになったのは言うまでもありません。今も伯岐山のあたりはレンギョウの名所で、開花の季節には人々が花を観賞に訪れるということです。
日本でのレンギョウの名前の由来
レンギョウ(連翹)の翹という漢字の意味は「跳ね上がる」です。日本では、ちょうど連翹の枝が上へ跳ね上がった鳥の尾のように見える、ということから連翹と言われるようになったとされています。
韓国で愛されるレンギョウの花
日本でも、桜と同じ時期に満開になるレンギョウはなじみの花ですが、お隣の韓国ではさらに人々に身近な花、愛される花です。ソウル市の市花はチョウセンレンギョウ(개나리・ケナリ)で、市内にはいくつかレンギョウの名所があります。日本で「桜前線」があるように、レンギョウも開花の時期は韓国市民の関心の的です。
レンギョウの開花の季節になり満開の時期が来ると、人々は「レンギョウ祭り」に出かけ春を楽しみます。日本では桜の花の季節に入学式がありますが。韓国ではケナリ(レンギョウ)の咲き誇る中を入学式へ向かう思い出がある方が多いとのことです。
レンギョウの花言葉
レンギョウの花言葉は大変ポジティブです。日本での花言葉は主に下の3つにまとめられます。
- 希望
- かなえられた希望
- 期待
レンギョウの利用
温かな色合いで人気のレンギョウですが、実際はその特徴から様々な場所で利用されている植物です。1つずつ見てみましょう。
生薬として利用
レンギョウは古くから漢方の世界で生薬として使われていました。炎症を抑える、解毒作用、頻尿の治療に使われます。利用するのは主に花の後にできる実です。レンギョウ、シナレンギョウ、チョウセンレンギョウは3月から4月の間に開花し、7月から9月の間に実がなります。この実を乾燥させ、生薬として使うのです。
レンギョウの実がなっているのを見たことがない、とおっしゃる方があるかもしれません。日本で植え込みや生け垣に使われているレンギョウは、遺伝的に同じ種類のものが固まって植わっていることが多いのです。そのため結実することができず、なかなかレンギョウの実を見ることができないと言われています。
レンギョウの根も生薬として使われる
レンギョウはその根も実と同様に生薬として使われています。レンギョウの根なので、翹根(ギョウコン)という名前です。高血圧や肥満から引き起こされる動悸、のぼせを解消する漢方薬の材料として使われます。
地表の浸食防止に利用
開花の季節には多くの人を引き付け、漢方でも利用されるレンギョウですが、それだけではなく地球環境のためにも役立つ植物です。
レンギョウは非常に丈夫な植物です。暑さ寒さに耐え、植栽に使っても水やりに気をつかうことがありません。さらに根が強く地中に張るので、土地の保水に役立ち、表土が流れてしまうのを防ぐことができます。中国の黄河流域では黄砂を防ぐためにレンギョウを多く植えて環境の変化に対応していると言われています。強い根がしっかり地面の土をつかんでくれているのでしょう。
まとめ
日本では春の花と言えば桜が真っ先に思い浮かびますが、レンギョウも花の季節の到来を教えてくれる植物だということがわかりました。次の春には、英語でゴールデンベルと呼ばれる黄金色の花をじっくり見て、様々な背景に思いをはせてみてもいいでしょう。花の世界がまた一つ広がりますね。
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出典:pixabay