待雪草(マツユキソウ)とは
待雪草とは「スノードロップ」の和名で、2月〜3月に下垂した姿と花弁が特徴的な花を咲かせる球根植物です。児童書の「森は生きている」に出てくる「マツユキ草」でも知られています。育て方も簡単なので庭植えや鉢植えで人気があり、小さな花束に加えて飾るのも素敵です。どんな植物なのか、ご紹介します。
待雪草の特徴
名称 | 待雪草(雪待草) |
別名 | スノードロップ、コモンスノードロップなど |
学名 | Galanthus nivalis |
原産地 | 東ヨーロッパ〜コーカサス山脈 |
形態 | 球根植物 |
開花時期 | 2月〜3月 |
日本で一般に「スノードロップ」の名前で親しまれている種は、ガランサス・エルウェシー(Galanthus elwesii)です。スノードロップはその他では、「コモン・スノードロップ」として、ヨーロッパで代表的に扱われるガランサス・ニヴァリス(G. nivalis)など、原産地では約15種あるといわれています。球根には強い毒性を持つ物質が含まれているので注意しましょう。
名前の由来
待雪草は原産地の雪が降ったり解けたりする気候の中、雪の中で花をつけるところからその名がついたと言われています。英語名「スノードロップ」という名前の由来は、17世紀頃ヨーロッパで人気だったイヤリングからです。下垂する形はかわいらしく、イヤリングにはぴったりです。
待雪草の種類
「待雪草」にはいくつか種類があります。日本で市販されている代表的な品種を紹介します。
ガランサス・ニヴァリス
ガランサス・ニヴァリスの花は下垂し、八重咲きで内側の花弁に緑の斑が入ります。草丈は5cm〜10cmと小さめです。
ガランサス・エルウェシー
ガランサス・エルウェシーは日本では最も多く流通し、丈夫で育てやすい種です。内側の花弁の付け根と先端に緑の斑が入ります。待雪草の球根は乾燥しがちですが、この種は球根がほかの種と比べて大きいため、休眠期の乾燥にも強いです。
待雪草の見分け方
待雪草は特徴的な花をもつ植物ですが、球根植物は春に芽を出し、開花するものも多くあります。間違えやすい植物との見分け方をご説明します。
オオマツユキソウとの違い
「オオマツユキソウ」は「スノーフレーク」の和名です。ヒガンバナ科スノーフレーク属の球根植物で、3月〜4月に下垂する白い花を咲かせるため待雪草と間違われることがあります。花弁がはっきりと分かれていて、茎に1つ花がつくのが待雪草です。オオマツユキソウは花弁が釣鐘状ですずらんのような花が1〜4個付きます。草丈も待雪草より高めです。
水仙(スイセン)との違い
スイセンも球根植物であり、開花時期も12月〜4月ごろと待雪草と似ています。スイセンは種類が多くありますが、だいたい草丈が30cm前後と高く、花色が多くあり、花が下垂していません。スイセンの中でもナルキッスス・バルボコディウムは草丈が低いもので10cmくらいですが、芽出しが秋なので待雪草と見分けることができます。
待雪草の育て方
待雪草は2月〜3月に花を咲かせ、6月ごろに葉と茎が枯れて休眠期に入ります。庭植えにしたり、鉢植え、寄せ植えなど楽しめます。待雪草の育て方をご紹介します。
栽培環境
用土
待雪草を植え付けるには水はけと通気性がよく、適度な保水性のある土を選びましょう。市販されている草花用、球根用の用土で育ちますが、赤玉土小粒5:腐葉土3:軽石2で用土を作ってもよいでしょう。
植え付け
待雪草の球根は秋に植えます。庭に植え付けるならば、夏は日陰、秋から早春にかけて日当たりがよくなる場所を選びましょう。落葉樹の下などが適しています。夏以降、葉が枯れて休眠しますが、落葉によって適度な湿度が保たれます。鉢植えの場合は、通気性の良い鉢を選び植え付けます。丈夫なので寄せ植えにしてもよいでしょう。秋から早春に開花するまで日当たりのよい場所に置き、花後は半日陰に移動させましょう。
植え替え
待雪草は毎年、球根を掘り上げる必要はありません。2年〜3年に1回、掘り上げ、球根が増えていたら分球し、乾燥しないようにすぐに植え付けます。
水やり
待雪草の水やりは半日陰の庭植えの場合は、特に乾燥している時だけで構いません。花後は水やりの量も減らします。鉢植えの場合は、乾きやすいので表土が乾いたら、たっぷり与えるようにします。花や葉に水がかからないように気をつけましょう。
肥料
待雪草は肥料を多く与える必要はありません。庭植え、鉢植えともに植え付けの時に緩効性化成肥料を土に混ぜておくとよいでしょう。花後は液体肥料を少量与えます。肥料の与え過ぎは球根を痛めたり、花付きが悪くなるので気を付けます。
病気・害虫
待雪草に目立った病気や害虫は見られません。特に気を付けることはありませんが、花が終わったら、種子を取らない場合は茎から取り去りましょう。種子を作るために球根が弱り、また稀に灰色かび病が発生します。
増やし方
待雪草は葉、茎が枯れ休眠期の夏以降に球根を掘り出します。子球が1~2つ付いているので、1cmほどの大きさのものなら親球から分けます。乾燥に気を付け、すぐに植え替えましょう。子球は植え替えてから2年ほどで花が咲きます。小さすぎる子球は分けずに親球と共に植え直しましょう。
待雪草の花言葉
待雪草の花言葉は「希望」「慰め」「恋の最初のまなざし」です。春一番に花を咲かせる待雪草は「恋の最初のまなざし」の花言葉がとても合っています。また球根に強い毒を持つことから「あなたの死を望みます」と取られることもあります。球根をプレゼントとして選ぶときは気をつけてくださいね。
まとめ
待雪草はスノードロップとして庭植えや鉢植え、寄せ植えでも楽しめる球根植物です。育て方も増やし方も簡単で、春一番に白い可憐な花を咲かせてくれます。小さな花束にして部屋に飾るのも素敵でしょう。落葉樹の下や寄せ植えに待雪草を選んで育ててみてください。