ミラクルフルーツとはどんな果物?
学名 | Synsepalum dulcificum |
英名 | miracle fruit |
原産地 | 西アフリカ |
分類 | アカテツ科 |
ミラクルフルーツは西アフリカを原産とする果物です。樹高は野生の環境下では6mもの高い木になりますが、栽培下では1.5m前後にまで成長するといわれています。何か月もの長い期間に渡って白い小さな花をつけたあと、コーヒー豆のような、直径2~3㎝程度の赤い実をつけます。果実の収穫期は1年におよそ2回雨季の後に収穫期を迎えます。
ミラクルフルーツの別名
ミラクルフルーツは別名ミラクルベリーとも呼ばれます。画像にあるように、赤い小さな実を「ベリー」と呼ぶのはうなづけます。いずれにせよ、「ミラクル(奇跡)」という名前がついているのが気になりますね。一体、どのあたりが「ミラクル」なのか、その特徴について迫っていきましょう。
ミラクルフルーツの特徴とは?
ミラクルフルーツの最大の特徴は、「ミラクルフルーツを食べたあとに口に入れたものを甘く感じさせる」というまさにマジックのような効果を持つことです。詳しく見ていきましょう。
一緒に食べるとレモンが酸っぱくない!?
ミラクルフルーツ自体はほんのりと甘い程度で、何個でも食べたくなるようなおいしいものではありません。しかし、このミラクルフルーツを食べた後であれば、たとえ酸っぱいレモンだとしても、そのレモンが甘くなるというのです。まさに驚きの「ミラクル」フルーツと言えるでしょう。
ミラクルフルーツは探検家によって発見された
ミラクルフルーツが発見されたのは1725年。探検家シュヴァリエ・デ・マルシェが発見しました。現地民たちがミラクルフルーツを食べてから他の食べ物を口にしているのを見、この不思議な果物がもたらす効果に気づいたとされています。現地民たちは発酵パンやヤシ酒といった普通に食べると酸っぱいものをミラクルフルーツの力を使って甘く感じさせていたようです。
味が変わる原理
レモンのような酸っぱい果物でさえ、甘く感じさせるミラクルフルーツ。一体どのような原理なのでしょうか?それは、ミラクルフルーツに含まれる「ミラクリン」という特殊な糖タンパク質の働きよるものなのです。このミラクリンが舌の表面にある小さな穴の形をした味蕾に結合し、このような効果を生み出しているとされています。味蕾は舌の表面に無数に存在しており、その穴に物質が触れることで味を感じ取っています。
ミラクリン発見者は日本人!
ミラクルフルーツがもたらす不思議な効果が、「ミラクリンという物質(糖タンパク質)によるものであること」、そして「ミラクリンが舌の味蕾と結合することで感じる味覚を変化させているということ」この2点を明らかにしたのは、日本人である故栗原良枝氏(横浜国立大教授)によるものです。
ボタニ子
ミラクルフルーツの生き残り戦略
進化の過程でなぜこのような不思議な効果を身に着けたのか、疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。一説には、果実が甘くなるのは動物に食べてもらい、その種を動けない自分(植物)に変わり遠くまで運んでもらうことが目的と考えられています。しかし、果実を甘くするためには植物は多くのエネルギーを消費します。ミラクルフルーツは、そのエネルギーをなるべく減らしながらも、動物に食べてもらうためにこういった効果を持つ物質(ミラクリン)を獲得したと考えられています。
近年はダイエット効果も期待
酸っぱいものを甘く感じさせる効果の他に、ミラクルフルーツには食欲抑制効果があることも明らかになりつつあります。サプリのように手軽に摂取できるタブレット化された商品も販売されています。食生活にうまく取り入れることができれば、糖分の摂取量も大幅に抑えることができるでしょう。これからの展開に期待大です。
栗原先生の功績についてさらに詳しく知りたい方は「ミラクルフルーツ協会」のページをご覧くださいね。