明日葉とは
明日葉は関東より南の温暖な海岸付近に広く自生する日本の山野草です。そんな明日葉の種まき、育苗、植え付けなど栽培方法やおいしい食べ方をご紹介します。
栄誉豊富な山野草
セリ科シシウド属の植物、明日葉はセリに似た香りをもち、カロテン、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンEなどのビタミン類、鉄やカルシウムなどのミネラル類も豊富で、滋養強壮に効果があると伝えられ、薬効のある山野草として古くから利用されてきました。
名前の由来
若い芽を摘んでも明日になれば新しい葉がついているという生命力の強さから「明日葉(あしたば)」と呼ばれます。八丈島では明日葉が野菜として常食されており、明日葉の有名な産地のひとつでもあります。このような理由で明日葉には八丈草という別名もあります。
系統
明日葉は茎の色によって2つに系統に分かれます。1つは伊豆大島系、他は八丈島系です。伊豆大島産は赤系、八丈島産は青系と呼ばれます。市場評価では赤系より青系の方が風味はよいとされます。赤系は寒さに強いという特徴をもち、味に少々の苦みがあります。
明日葉の栽培に必要な環境
明日葉は日本の伊豆諸島、紀伊半島を中心とした温かい海岸地方に自生する植物で、栄養豊富な山野草として栽培されています。寒さと水はけに注意が必要ですが、鉢植えやプランターでも簡単に栽培することができますよ。明日葉の栽培方法について詳しく解説します。
栽培環境
明日葉の根は地中深く伸びるので、鉢植えの場合は8~10号の大きさで深さが30cm以上の鉢を、プランターなら65cm程度大きめのものを選びます。日当たりがよい場所を好みますが、夏場は風通しのよい半日陰に移動させます。ベランダや軒下での栽培が適しています。
温度管理のコツ
寒さに弱く、温暖な気候を好むので寒さ対策が必要です。霜にあたると地上部が枯れてしまいます。根が枯れていなければ翌年に芽をだしますが、地面が凍りつくような寒冷地では室内での冬越しが必要となります。冬に株元を腐葉土で覆うのもよいでしょう。
用土
保水性がよく水はけのよい用土を準備します。土の酸度は中性から弱アルカリ性が適しています。鉢植えやプランターで栽培する場合は、市販の花や野菜用の用土、あるいは小粒の赤玉土7、腐葉土1、川砂2の割合でまぜて使います。地植えする場合は水はけを改善するために川砂をまぜ、土がやせているようなら腐葉土で養分を補給します。
水やり
土が乾いたら水やりをします。水を与えすぎると根腐れをおこしやすいので、鉢植えやプランターの土がしっかり乾いたら、たっぷりと水を与えます。地植えの場合は一般的に水やりがなくても生育します。雨が長く続くなどすると根腐れを起こしやすいため、軒下に移動させて過湿を防ぎます。畑なら溝をつくるなど水はけをよくする工夫が必要です。
肥料
過剰に肥料を与えると根腐れを起こしてしまうことがあるので、用土に少量の有機肥料を施します。植え付け後1~2カ月に1度くらいのペースで鶏糞や油粕などを与えましょう。液肥は根が肥料負けを起こすことがあり、生育不良につながるので避けることをおすすめします。
明日葉の栽培法①種まき
明日葉は温度管理と水やりをコントロールできれば種からでも簡単に栽培できます。種の採取に成功すれば、種から育てることをおすすめします。
開花時期
明日葉の開花時期は種まき後2~4年経った9~10月です。茎の先端にセロリやパセリの花と同様の薄黄色の小さな花が傘状に次々と咲きます。開花した後は緑色の粒状の種子をつけ、その後扁平な茶色に変化して枯れてしまいます。成熟して風でこぼれた種子から発芽して増えていきます。
ボタニ子
次ページからは明日葉の種の取り方を紹介します!
出典:写真AC