センニンソウ(仙人草)とは
センニンソウとはどんな植物なのか、ここでは基本情報や名前の由来などについて詳しくご紹介します。
基本情報
学名 | Clematis terniflora |
科・属 | キンポウゲ科センニンソウ属 |
分類 | つる性の多年草 |
花期 | 7~8月 |
センニンソウはキンポウゲ科の植物でつる性の半低木です。原産地は中国、韓国、日本などで、日当たりのよい山野に自生し、クレマチスの原種です。つるを伸ばして広がっていき、白くてかわいらしい花がたくさん咲きます。キンポウゲ科の植物で有毒ですが、その毒性についてはまた後ほど説明しましょう。
名前の由来
センニンソウ(仙人草)と呼ばれる理由は、センニンソウの実にふわふわした白いひげのようなものがついているのを、仙人のひげに見立てたからだといわれています。面白い名前の植物ですね。クレマチスの種にもこのような白い綿毛がついているのですが、まるで動物の抜け毛のように風に吹かれて遠くまで飛んでいきます。
センニンソウの別名
センニンソウは「馬食わず」「牛のハコボレ(歯こぼれ)」という別名を持っていますが、それはセンニンソウの毒性によるものです。毒があるとわかっている馬はセンニンソウを食べませんし、牛が食べて歯が抜け落ちた、という由来があるためそのような別名で呼ばれています。葉が柔らかいので飼葉に使えそうに見えますが、家畜に与えてはいけない植物です。
花言葉
センニンソウの花言葉は「安全」「無事」「あふれるばかりの善意」です。毒があるのに安全とは、少し不思議な花言葉ですね。毒があるので人に贈るのは少々ためらわれますが、昔から土手や道端に咲くことが多いため、旅人の道中の安全や無事を願って、このような花言葉がつけられたのかもしれません。
センニンソウの特徴
センニンソウはつる性の種類の植物なので、庭木に絡みつくように花を咲かせているのをよく見かけます。2~3cmの白い花がたくさん咲き、まるで雪が降り積もったかのように見える様子はとても素敵です。大きさは3~4mにもなります。育てるのは比較的簡単で、庭に植えると毎年花を咲かせ、常緑の植物なので花期以外も緑の葉を楽しめます。
花
センニンソウの花は白い4枚の花弁でできています。十字をかたどった白い花がたくさん集まって咲くのが特徴で、開花時期には株を覆うように花がたくさん咲き、とても見ごたえがあります。また花だけでなく香りも楽しめるのも魅力です。キンモクセイに似たさわやかで甘い香りがします。夏の白い花は見た目に涼しいですね。
葉・茎
センニンソウの葉は無毛で卵型の葉が枝の左右に3~7枚ついている羽状複葉(うじょうふくよう)です。葉は変化することがあり、葉の先がとがったり、切れ込みが入ったり、斑点があらわれることもあります。茎は長く伸び、枝分かれして周囲に広がって繁殖し、つる状で周囲のものに絡みつくのが特徴です。
実
センニンソウは白い花が終わると実がなります。その実に白い毛のようなものがついているのが特徴です。毛のようなものがあるため風に乗りやすく、種が飛ぶことで繁殖します。センニンソウを原種とするクレマチスも、同じように実に白いひげのようなものがついています。
センニンソウの毒性
センニンソウは花と香りが楽しめて魅力的な植物ですが、毒性があるので注意が必要です。茎の切れ目や葉から出る白い汁は素手で触るとかぶれてしまいます。手入れの時は、かぶれないように手袋をして作業しましょう。口に入れると胃腸炎を起こすおそれがあるので、小さいお子さんがいる場合は気をつけてください。
根は中国で漢方薬に利用される
センニンソウの根は中国では「和威霊仙(ワイレイセン)」という生薬の材料になっています。トリカブトも同じように漢方薬の材料として有名ですが、人は昔から毒がある植物を薬として利用することもありました。ただしセンニンソウは毒性が強いため、日本では漢方薬の材料として使われていません。
10月頃に根及び根茎を掘り出し、水洗いした後、乾燥したものが生薬 「ワイレイセン(和威霊仙)」です。しかしその利用例はわかっていません。民間では、夏から秋にかけて採取したセンニンソウの生の葉を扁桃炎(へんとうえん)、神経痛、リウマチの痛みの患部に数分貼り付けるなど、少し手荒い療法があったようです。いずれにせよ、センニンソウは毒性が強いので、民間では絶対に飲用しないように注意が必要です。それゆえワイレイセンは、残念ながら漢方の生薬として日本では利用されていません。
次のページでは、センニンソウの育て方や増やし方についてご紹介します!